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相続発生後

暗号資産(仮想通貨)の相続|秘密鍵がわからないとどうなる?

公開日 2026年8月30日 ・ 更新日 2026年8月30日 ・ 9分で読めます

亡くなった親のパソコンから取引所からの通知が見つかった。あるいは、故人がビットコインの話をしていた記憶がある——暗号資産(仮想通貨)は、通帳も証書もない相続財産です。存在に気づかれないまま失われることも珍しくありません。

しかも暗号資産は、どこでどう持っていたかによって、引き継げるかどうかが根本から変わります。ネット口座やスマホも含めた探し方の全体像は「デジタル遺品の整理ガイド」に譲り、この記事では暗号資産に絞って、手続き・評価・申告と生前の備えを解説します。

この記事の要点

①国内の暗号資産取引所の口座なら、銀行や証券と同じように相続手続きで引き継げる ②自分で管理するウォレットは、秘密鍵やリカバリーフレーズがわからないと事実上取り出せない ③取り出せなくても相続財産であることは変わらず、課税の対象になり得る。扱いは税理士・税務署に確認 ④評価のめやすは亡くなった日の取引価格。生前の備えは財産目録に「どこに・何を」を書いておくこと

持ち方で結果が変わる——取引所か、自分の財布か

持ち方相続での扱い難易度
国内の取引所の口座取引所の相続手続きで残高証明を取り、引き継ぎや売却・払い戻しができる手続き可能
海外の取引所の口座相続対応の窓口や書類が国内と異なり、対応してもらえない場合もある難航しやすい
自分で管理するウォレット秘密鍵・リカバリーフレーズが分かれば引き継げるが、分からなければ事実上取り出せない鍵次第
持ち方ごとの扱いのめやす(2026年8月時点)。取引所ごとに手続きは異なります。

暗号資産は銀行預金と違い、「業者に問い合わせれば何とかなる」とは限らない財産です。まず故人がどの持ち方をしていたかの確認から始まります。

取引所の口座は相続手続きできる

国内の暗号資産取引所(暗号資産交換業者)は、銀行や証券会社と同じように相続の窓口を設けています。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 取引所を特定する——郵便物・メール・スマホの取引アプリ・銀行口座の入出金履歴から探します。口座の有無を一括で照会できる公的な仕組みはないため(2026年8月時点)、心当たりの各社に個別に確認します
  2. 死亡の連絡と残高証明の取得——戸籍などの必要書類を案内どおりに提出し、亡くなった日時点の残高証明を取ります。この証明が遺産分割と申告の基礎資料になります
  3. 引き継ぎまたは売却・払い戻し——相続人の口座への移管か、売却して日本円で受け取るか。対応方法は取引所によって異なります

流れ自体は「証券口座・株式の相続手続き」とよく似ています。凍結前に勝手に売却・送金しないこと——相続人の一人が独断で動かすと、遺産分割のトラブルの火種になります(「亡くなった直後にやってはいけないこと」)。

秘密鍵がわからないと取り出せない——それでも課税はあり得る

自分で管理するウォレット(スマホの財布アプリや専用の端末)に入っている暗号資産は、秘密鍵またはリカバリーフレーズ(復元用の12〜24個の単語の並び)が分からなければ、誰にも動かせません。取引所と違って運営会社に「再発行」を頼む仕組みがなく、鍵が失われた暗号資産は、事実上永久に取り出せなくなります

それでも法律上は相続財産です。国税庁は、秘密鍵を把握していない場合でも相続税の課税対象となるという考え方を示しています(2026年8月時点)。取り出せないのに課税され得る——この厳しい扱いがあるため、鍵が見つからない場合の申告は、必ず税理士や税務署に相談して進めてください。故人の遺品から、紙に書かれた単語の列・専用端末・保管用の金属プレートなどが見つかることもあります。処分する前に必ず確認を。

売却したときの税金も別にかかる

相続した暗号資産を後で売ると、値上がり分に所得税がかかります。株式と税金の区分や計算が異なる点に注意してください(株の場合の考え方は「相続した株を売却したときの税金」)。暗号資産の売却益の扱いは改正の議論が続いている分野のため、売る前に最新の取り扱いを確認しましょう。

評価・申告の考え方と、生前の備え

相続税の評価は、亡くなった日の取引価格がめやすです。取引所の残高証明に死亡日時点の評価額が記載されるのが一般的で、これが申告の基礎になります。価格変動が激しい財産なので、申告までの値動きで納税資金の計画が狂わないよう注意してください。

そして最大の備えは、存在を家族に伝わる形にしておくことです。財産目録に「取引所名・おおよその内容」を書いておくだけで、家族は窓口にたどり着けます。秘密鍵やリカバリーフレーズそのものを目録やノートに書き写すのは避け、保管場所のヒントだけを残すのが安全です(書き方の考え方は「エンディングノートの書き方」)。

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よくある質問(FAQ)

親が暗号資産を持っていたかどうか、どうやって調べればいいですか?

手がかりは4つです。①郵便物やメールに取引所からの通知がないか ②スマホやパソコンに取引アプリが入っていないか ③銀行口座の入出金履歴に取引所への振込や入金がないか ④確定申告書に暗号資産の記載がないか。口座の有無を一括で照会できる公的な仕組みはないため(2026年8月時点)、心当たりのある取引所へ個別に相続の問い合わせをすることになります。

秘密鍵が見つからず取り出せません。それでも相続税はかかりますか?

かかる可能性が高い前提で動いてください。国税庁は、相続人が秘密鍵を把握していない場合でも暗号資産は相続税の課税対象となるという考え方を示しています(2026年8月時点)。取り出せないことを理由に申告から外すと、後で問題になるおそれがあります。評価額や申告の仕方は事情によって異なるため、鍵が見つからない場合は必ず税理士か税務署に相談し、経緯の記録を残しながら進めてください。

相続税の評価は、いつの価格で計算しますか?

亡くなった日の取引価格がめやすです。取引所に残高証明を請求すると、死亡日時点の数量と評価額が記載された書類が発行されるのが一般的で、これが申告の基礎資料になります。複数の取引所に口座がある場合はすべて取り寄せます。暗号資産は価格変動が大きいため、評価額と納税時の時価が大きくずれることがある点も、納税資金の計画に織り込んでおいてください。

生前にどう備えておけば、家族に迷惑をかけずに済みますか?

2段構えにします。まず財産目録に「取引所名と、自分で管理する財布の有無」を書く——家族が存在に気づき、窓口にたどり着けることが第一です。次に、秘密鍵やリカバリーフレーズは目録やノートに直接書かず、保管場所のヒントだけを書く——紙や端末そのものは金庫など安全な場所に保管します。高齢になったら取引所の口座に集約しておくのも、家族の負担を減らす現実的な選択です。

まとめ

暗号資産の相続は、持ち方がすべてです。国内取引所の口座なら残高証明を取って引き継げますが、自分で管理するウォレットは秘密鍵がわからないと取り出せず、それでも課税の対象になり得ます。評価は亡くなった日の取引価格がめやす。遺品の紙切れや端末を処分する前に必ず確認し、鍵が見つからない場合の申告は専門家に相談を。そして生前の備えは、財産目録に「どこに・何を」を書き、鍵は書かずにヒントを残す——これだけで家族の負担が大きく変わります。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務の個別助言を行うものではありません。特例の適用可否や手続きは個別の事情により異なります。実行にあたっては必ず専門家にご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)