相続手続きの印鑑証明書|必要な場面・枚数・有効期限・取れない人の代替
相続の手続きで必ず求められる相続人全員の印鑑証明書。「何枚要るのか」「有効期限は」「遠方の兄弟にどう頼むか」で止まる家は少なくありません。
必要な場面と不要な場面、枚数、窓口ごとに違う有効期限、取り方、取れない人の代替手段、原本還付を整理します。協議書の作り方全体は「遺産分割協議書の書き方とひな形」をどうぞ。
①印鑑証明書は実印が本人のものである証明。協議書に実印を押す相続人全員分が、協議書を使う手続き(銀行・相続登記・株式・相続税申告)で求められる ②不要な場面:相続放棄、受取人指定の保険金の請求、法定相続分どおりの登記、遺言執行者による手続き ③有効期限は窓口が決める。法務局と税務署は期限なし、銀行・証券会社は3か月または6か月以内が多い。手続きの直前にまとめて取る ④枚数は「原本が戻らない窓口の数」。法務局は原本還付できる。海外在住者はサイン証明、未成年者は特別代理人、認知症の相続人は成年後見人の印鑑証明書で代替
必要な場面・不要な場面——「協議書を使う手続き」に要る
| 手続き | 印鑑証明書 | 誰の分 |
|---|---|---|
| 遺産分割協議書(作成時) | 必要 | 協議書に実印を押す相続人全員 |
| 銀行・証券会社の相続手続き | 必要 | 相続人全員(協議書提出時)。銀行所定の相続届に全員が実印を押す場合も全員分 |
| 相続登記(協議書を添付) | 必要 | 協議書に押印した相続人全員。不動産を取得する人の分も含む |
| 相続税申告(協議書を添付) | 必要 | 協議書に押印した相続人全員 |
| 相続放棄の申述 | 不要 | 申述人の署名押印は認印で可 |
| 受取人指定の生命保険金の請求 | 不要(多くの場合) | 受取人の本人確認書類で足りる。保険会社により求められることも |
| 法定相続分どおりの相続登記 | 不要 | 協議書がないため。ただし登記後の処分に全員の関与が要る |
| 遺言執行者による手続き | 不要(相続人分) | 遺言執行者の印鑑証明書は必要 |
基本は「協議書を使う手続きには、協議書に実印を押した全員の印鑑証明書が要る」です。
枚数のめやすと、原本還付で使い回す方法
枚数は「原本が戻ってこない窓口の数」で決まります。
- 銀行・証券会社——1機関につき1通が原則。原本確認後に返却する金融機関も増えているため、「原本還付できるか」を確認する
- 法務局(相続登記)——1通。原本還付の手続きをすれば登記完了後に返却される
- 相続税申告——1通。税務署は返却しない
原本還付——法務局には「原本と相違ない」と記載した写しを添付すれば、登記完了後に原本が返されます。戸籍は相続関係説明図を添付すれば還付されます(「相続関係説明図の書き方」)。銀行も同様に、原本を提示して写しを取ってもらう扱いに応じることがあります。手続きの順番を「原本還付できる窓口→返却されない窓口」にすると、取得枚数を減らせます。
有効期限——法務局は期限なし、銀行は3〜6か月
有効期限は提出先の窓口がそれぞれ決めています。
| 提出先 | 期限の扱い |
|---|---|
| 法務局(相続登記) | 協議書に添付する印鑑証明書は期限なし。ただし申請人自身の印鑑証明書が要る一部の申請は3か月以内 |
| 銀行・信用金庫 | 発行から3か月以内または6か月以内が多い。金融機関ごとに違う |
| 証券会社 | 3〜6か月以内が多い |
| 相続税申告(税務署) | 期限なし |
| 保険会社 | 3〜6か月以内が多い(求められる場合) |
協議がまとまる前に集めると、銀行の期限が切れて取り直しになります。協議書に押印する段階で全員が用意し、1〜2か月のうちに銀行の手続きを済ませるのが効率的です。
取り方・代理取得・取れない人の代替手段
取り方——住民登録している市区町村の窓口で印鑑登録証を提示して取得。1通300円程度。マイナンバーカードがあればコンビニでも取れます。印鑑登録をしていない人は登録から。
代理取得——本人の印鑑登録証を代理人が持参すれば、委任状なしで取得できる市区町村が大半です。登録証がなければ本人でも取れません。
取れない人の代替
- 海外在住の相続人——日本に住民登録がないと印鑑証明書は取れない。代わりに在外公館で「署名証明(サイン証明)」を取り、協議書に添付する(「海外在住の相続人がいる相続手続き」)
- 未成年の相続人——15歳未満は印鑑登録できず、親権者が代理するが利益相反があれば特別代理人を選任し、その人の印鑑証明書を使う(「未成年の相続人がいる遺産分割」)
- 認知症の相続人——成年後見人が代理し、後見人の印鑑証明書を添付する
押印と印鑑証明書を、同じ週に——相続人全員の署名押印欄と添付書類の一覧を備えた遺産分割協議書の下書きを、画面のステップに沿って無料でつくれます。遠方の相続人にも送りやすい形に。
遺産分割協議書をつくるよくある質問(FAQ)
印鑑証明書は、故人の分も必要ですか?
不要です。印鑑登録は死亡で抹消されるため取れませんし、求められません。故人は戸籍(除籍)謄本や住民票の除票で特定します。登記上の住所と最後の住所が違う場合は、除票や戸籍の附票でつながりを示します。
銀行に出した印鑑証明書は返してもらえますか?
金融機関によります。原本を確認後にコピーを取って返却する金融機関と、原本を提出させる金融機関があります。窓口で「原本還付できますか」と確認し、返却されるなら1通を複数の銀行で使い回せます。返却されない場合は銀行の数だけ用意します。最近は原本確認後の返却に応じる金融機関が増えていますが、事前に確認するのが確実です。
兄が印鑑証明書を出してくれません。協議書は作れますか?
兄の実印と印鑑証明書がなければ完成しません。出さないのは「合意しない」意思表示と同じです。理由を聞き、財産を開示し、分け方を調整したうえで応じなければ調停を検討します。調停や審判が成立すれば、調書・審判書で手続きが進み、兄の印鑑証明書は不要になります。
コンビニで取った印鑑証明書は、法務局や銀行で使えますか?
使えます。窓口交付と同じ効力があり、法務局・銀行・税務署のいずれでも受け付けられます。マイナンバーカードと暗証番号が必要で、印鑑登録をしていない人は取れません。
まとめ
印鑑証明書は遺産分割協議書に実印を押した相続人全員分が、協議書を使う手続き(銀行・登記・株式・相続税申告)で必要です。相続放棄や受取人指定の保険金には不要。枚数は「原本が戻らない窓口の数」で、法務局は原本還付、銀行は原本確認後の返却に応じることがあるため、順番を工夫すれば減らせます。有効期限は法務局と税務署が期限なし、銀行は3〜6か月以内が多く、協議がまとまってから取るのが原則。海外在住者はサイン証明、未成年者は特別代理人、認知症の相続人は成年後見人の印鑑証明書で代替します。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。