ホームゾウゾクノート / 家族信託の受託者とは

信託の運用中

家族信託の受託者とは?なれる人・5つの義務・報酬・やることの年間スケジュールをわかりやすく解説

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 8分で読めます

家族信託の登場人物は3人です。財産を託す人=委託者(親)託されて管理する人=受託者(多くは子)利益を受ける人=受益者(通常は親本人)。この記事は、その中心にいる受託者――親から「頼みたい」と言われたあなた、あるいは子に頼もうとしている親御さんのための解説です。

先に実像をお伝えします。受託者の義務は法律上しっかり定められており、「名前だけ貸す」役ではありません。一方で、実務は仕組み化すれば月30分程度に収まり、過度に恐れる必要もありません。役割・義務・年間スケジュール・報酬・辞め方まで、引き受ける判断に必要な情報をまとめます。

受託者の役割:何をする人か

  • 信託契約に定められた目的(例:親の生活・介護のため)の範囲で、信託財産の管理・処分を行う人。預金の管理・支払い、契約に権限があれば自宅の売却まで担います
  • 名義は受託者に移りますが、自分のものになるわけではありません。財産の利益はすべて受益者(親)のものです
  • なれる人:成人であれば家族・親族でOK(未成年者は不可)。信託業の免許がない専門家(司法書士等)が「業として」受託者になることはできません。だからこそ「家族」信託なのです

受託者の5つの義務

  1. 善管注意義務:他人の大切な財産として、注意深く管理する義務です。
  2. 忠実義務:受益者(親)の利益のためだけに行動する義務です。自分や家族のための流用は厳禁です(利益相反行為の制限)。
  3. 分別管理義務:自分の財産と混ぜない義務です。金銭は信託口口座での管理が原則です。
  4. 帳簿等の作成・保存義務:日々の入出金を記録し、書類を保存する義務です(信託法37条)。
  5. 報告義務:受益者の求めに応じ、また年1回、信託事務の状況を報告する義務です。

年間スケジュール:実際の作業量

時期やること
日々信託口口座からの支払い(介護費・生活費等)と、レシート・請求書の保存。帳簿への記録はためずに月1回が続けるコツです
年1回信託事務報告書を作成し、受益者と(推奨)家族全員に共有。透明性が疑念を防ぐ最大の武器です
毎年1月信託財産に年3万円超の収益(賃料等)があれば、信託の計算書を1月31日までに税務署へ提出します。金銭+自宅のみの信託なら多くは不要です
随時大きな判断(不動産売却等)は契約の権限を確認し、監督人がいれば同意を得ます
年間を通じた実務の全体像。日々の作業は支払いの記録が中心です。

負担の実像:帳簿・報告書は当サイトの無料ツールで型化でき、慣れれば月30分程度の仕事です。重いのは作業量より「親の財産を預かる」心理的な責任のほう。だからこそ、家族全員の合意(合意書ツール)と定期報告で「一人で抱えない構造」を最初に作ることが、受託者自身を守ります。

報酬・費用の扱い

  • 報酬:契約で定めれば受け取れます(定めがなければ無報酬)。月5,000円〜3万円程度の定額を定める例が多く、「タダ働き」にしない設計は長続きと家族の公平感の両面で重要です(受託者の報酬は受託者の所得として課税される点に注意)
  • 実費:管理にかかった交通費・書類取得費等は信託財産から支出できます。領収書を帳簿とセットで保存してください

引き受ける前のチェックリスト

  • □ 契約書の権限の範囲(売却可否)と自分の義務を読んで理解したか
  • 予備的受託者(自分に何かあった時の後継)は決まっているか
  • □ 兄弟など他の家族は契約内容を知っているか(知らない家族が最大のリスク)
  • □ 報酬・実費の扱いは決めたか
  • □ 帳簿・報告の運用ツールは準備したか
zouzokuのご案内

受託者の実務を、無料ツールで型化する

受託者の実務は、信託帳簿・支出台帳ガイドと信託事務報告書ツール(無料・登録不要)で今日から型化できます。毎年1月の計算書は信託の計算書ガイドをご覧ください。これから契約するご家庭は、家族信託契約書ツールに報酬条項・予備的受託者のステップが含まれています。

よくある質問(FAQ)

受託者になると、自分の財産と相続に影響はありますか?

信託財産は受託者の固有財産とは分別され、受託者自身の相続財産にはなりません。また受託者個人の債務で信託財産が差し押さえられない(倒産隔離)のが原則です。ただし分別管理が崩れているとこの保護も揺らぎます。

兄弟2人で受託者になれますか?

共同受託も可能ですが、原則として意思決定に過半数の合意が必要になり、機動力が落ちます。実務では1人+予備的受託者、または役割分担(受託者+監督人)の形が扱いやすい設計です。

途中で辞めたくなったら?

委託者・受益者の同意(または裁判所の許可)で辞任できます。後任が就くまで義務は続くため、辞任と新受託者の就任をセットで進めます。負担が理由なら、報酬条項の追加や事務の軽量化で続ける道も検討してください。

まとめ

  • 受託者は「親の財産を、親のために管理する」役。名義は移るが自分のものにはならない
  • 義務は5つ。核心は分別管理(信託口口座)と帳簿・報告
  • 実務はツールで型化すれば月30分。重いのは責任=家族の合意と透明性で分散する
  • 報酬条項・予備的受託者・運用ツールを揃えてから引き受ける

信託事務報告書を、無料でつくりませんか

入力するだけ。会員登録不要。

あわせて読みたい

この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です(2026年8月時点の内容にもとづきます)。個別の判断は司法書士・弁護士・税理士等にご相談ください。作成した書類の下書きは、専門家のチェックを受けたうえでご利用ください。