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家族信託の受託者は兄弟でどう決める?共同受託を避けるべき理由と揉めない4つの設計

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 9分で読めます

子が2人以上いる家庭で家族信託を設計するとき、最初につまずくのが「受託者を誰にするか」です。長男に任せると次男が不満を持ちそう、かといって連名(共同受託)にできるのか――この悩みは、家族信託が頓挫する原因の定番でもあります。

結論から言うと、受託者は1人に決めるのが原則です。共同受託は法律上可能ですが、実務上のデメリットが大きく、ほとんどの専門家が推奨していません。ただし「1人に決める」と「他の兄弟を蚊帳の外に置く」は別の話です。この記事では、共同受託を避けるべき理由と、兄弟全員が納得できる4つの設計を解説します。

共同受託(兄弟連名)を避けるべき3つの理由

  • ①意思決定が止まる:受託者が複数いる場合、保存行為を除き信託事務は過半数で決めるのが原則です(信託法80条)。受託者2人で意見が割れると、賛成1・反対1で何も決められなくなります。親の介護方針で対立した瞬間、信託ごと機能停止します
  • ②信託口口座がほぼ開設できない:共同受託者名義の信託口口座に対応する金融機関は極めて限られます。口座が作れなければ分別管理が崩れ、信託の実務が回りません
  • ③責任が連帯になる:共同受託者は信託財産に関する債務について連帯責任を負います。兄が起こしたミスの賠償責任を弟も負う構造は、兄弟仲を守るどころか壊す火種です

「公平だから連名に」という発想は自然ですが、公平さは受託者の人数ではなく、情報の透明性で確保するのが正解です。

揉めない4つの設計

兄弟がいる家の受託者設計で共同受託を避ける4つの型。予備受託者、信託監督人、帳簿の共有、財産で分担
図:兄弟がいる家の受託者設計 ― 共同受託を避ける4つの型。公平さは「人数」ではなく「透明性」で確保します。

設計①:1人受託者+予備受託者(基本形)

受託者は1人(例:長男)、予備受託者(第二受託者)にもう1人(例:次男)を契約書に定めます。長男が先に亡くなったり病気になったりしても、信託を止めずに次男が引き継げます。受託者選びの基準は長男・長女という順番ではなく、①親の近くに住んでいる ②お金の管理がまめ ③本人に引き受ける意思があるの3つです。

設計②:信託監督人に他の兄弟を就ける

受託者にならなかった兄弟を信託監督人にすれば、「任せきりで見えない」不安が「監督する立場」に変わります。帳簿の閲覧・報告請求の権限が法律上与えられるため、単なる口約束より強力です。

設計③:帳簿と年1回報告の共有をルール化する

兄弟間の対立のほとんどは、財産の使い込みそのものではなく「何に使っているか見えない」という情報の非対称から生まれます。信託契約書に「受託者は年1回、受益者および兄弟に信託事務の報告を行う」と明記し、帳簿を共有フォルダで見られる状態にしておくのが、最も安上がりで効果的な紛争予防です。

設計④:財産ごとに信託を分けて分担する

アパートは不動産管理の経験がある次男に、預金と自宅は近居の長女に――というように財産ごとに契約を分けて受託者を分担する方法もあります。ただし賃貸物件を複数の契約に分けると、契約をまたいだ損益通算ができない税務上の不利益があるほか、口座・帳簿・登記もすべて倍になります。分けるのは「管理の性質が明確に異なる財産」に限るのが無難です。

受託者を決める家族会議の進め方

親が元気なうちに、親自身の口から「誰に任せたいか」を言ってもらうのが鉄則です。子ども同士の話し合いだけで決めると「勝手に決めた」という遺恨が残ります。会議では①なぜ信託が必要か②受託者は誰か③他の兄弟の関与(監督人・報告)④相続時の分け方の方向性、の4点をセットで話します。受託者=多く相続する人ではないことの確認が特に重要です。

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よくある質問(FAQ)

どうしても兄弟2人を共同受託者にしたい場合は?

法律上は可能で、契約書に役割分担(例:対外的な手続きは兄、帳簿は弟)や意見が割れたときの決定方法を定めておけばリスクは減らせます。ただし信託口口座の開設に対応する金融機関を先に見つけられるかが現実の壁です。断られたら、1人受託者+監督人の形に切り替えるのが実務的な着地点です。

受託者になった兄が財産を多く相続することになりませんか?

なりません。受託者は「管理する人」であって「もらう人」ではなく、信託財産から利益を受けるのは受益者(親)だけです。相続の取り分は信託契約の帰属権利者の定めや遺言・遺産分割で決まります。むしろ受託者は無報酬で労力を負うことが多いため、信託契約に受託者報酬を定めて報いる設計も検討してください。

兄弟の1人が海外・遠方に住んでいます。受託者にできますか?

法律上は可能ですが、銀行での手続きや不動産の管理に現地対応が必要な場面が多く、実務的には国内・近居の子を受託者にし、遠方の子は監督人や帳簿共有で関与する形が現実的です。海外居住者は信託口口座の開設で断られる例もあるため、銀行への事前確認が必須です。

まとめ

  • 受託者は1人が原則。共同受託は意思決定停止・口座開設不可・連帯責任の三重リスク
  • 公平さは人数ではなく透明性で確保する。予備受託者・監督人・年1回報告+帳簿共有
  • 受託者=多く相続する人ではない。この誤解を家族会議で最初に解いておく
  • 親の口から「誰に任せたいか」を言ってもらう。子どもだけで決めない

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この記事の監修

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