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相続税の2割加算とは?孫・兄弟姉妹が相続すると増える仕組み

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

「孫に直接財産を残したい」「子がいないので兄弟に」——こうした相続では、相続税が通常より2割多くかかることがあります。これが相続税の2割加算です。配偶者と一親等の血族(子・親)以外の人が財産を取得すると、その人の税額が1.2倍になります。

この記事では、誰が対象で誰が対象外か、いくら増えるか、そして遺言や生命保険で孫や兄弟に渡すときにどう考えればよいかを整理します。相続人以外に渡す遺言の書き方は「遺贈とは」をどうぞ。

この記事の要点

①2割加算は、財産を取得した人が「配偶者」「一親等の血族(子・親)」「代襲相続人となった孫」以外のとき、その人の相続税額に20%を上乗せする仕組み ②対象になるのは兄弟姉妹・甥姪・孫(遺言で受け取った孫、孫養子)・内縁のパートナー・友人・法人以外の第三者など。相続人でなくても財産を取得すれば対象 ③孫養子は「子」の立場だが例外的に加算対象。子が先に亡くなり代襲相続人になった孫は対象外 ④加算されても、一世代飛ばして相続税を1回分省ける効果や、生命保険の非課税枠との組み合わせで総額が有利になることがある。遺言で渡す前に、加算後の税額で比較する

2割加算の仕組み——誰の税額が1.2倍になるか

相続税の総額を各人の取得割合で按分した後、取得した人と亡くなった人の関係によって、その人の税額に20%を上乗せするのが2割加算です。「相続人かどうか」ではなく「配偶者と一親等の血族か」で判定します。

なぜこの仕組みがあるのか。相続税は本来、親から子へ一世代ごとにかかる税金です。孫に直接渡せば子の世代の相続税を1回分飛ばせるため、その分を調整する——というのが趣旨です。兄弟姉妹や第三者への相続も、偶然性が高いとして同じ扱いになります。加算は「その人の税額」にかかるため、同じ相続でも配偶者や子の税額には影響しません

対象になる人・ならない人の判定表

財産を取得した人2割加算補足
配偶者対象外配偶者の税額軽減も別途あり
子・親(一親等の血族)対象外実子・養子とも。ただし孫養子は例外(下記)
子が先に亡くなり、代襲相続人となった孫対象外子の立場を引き継ぐため
孫養子(子が存命)対象養子でも、孫であれば加算。一世代飛ばしを防ぐ趣旨
遺言で財産を受け取った孫対象相続人でなくても取得すれば加算
兄弟姉妹・甥姪対象甥姪が代襲相続人になっても加算
内縁のパートナー・友人・その他の個人対象遺贈・死因贈与で取得した場合
子の配偶者(嫁・婿)対象養子縁組をしていれば「子」として対象外
相続税の2割加算の判定(2026年8月時点)。

迷いやすいのは孫です。代襲相続人の孫は対象外、それ以外の孫(遺言でもらう・養子)は対象——「親を亡くしてやむなく相続人になった孫」だけが加算を免れる、と覚えてください。

計算例——いくら増えるか

例:相続税の総額が1,200万円、遺言で孫が財産の4分の1を取得した場合。孫の按分後の税額は1,200万円×1/4=300万円。ここに2割加算で300万円×20%=60万円が上乗せされ、孫の納税額は360万円になります。他の相続人(配偶者・子)の税額に変化はありません。

加算はあくまで按分後の税額に対する20%です。財産全体に20%かかるわけではないため、「孫に渡すと税金が2割増える」というより「孫の分の税金が2割増える」が正確です。生命保険金を孫が受取人として受け取った場合も、孫は法定相続人でなければ非課税枠が使えず、かつ2割加算の対象になります(「生命保険の相続税非課税枠」)。

孫や兄弟に渡すときの考え方——加算されても得な場合

「加算されるなら孫には渡さないほうがよい」とは限りません。判断は二世代分の合計で行います。

  • 世代飛ばしの効果——子を経由すると、子の相続でもう一度相続税がかかります。孫へ直接渡せば2割加算はあるものの、子の相続での課税(税率が高い家ほど大きい)を1回省けます。子の財産がすでに多い家では、加算を払っても直接渡すほうが総額は少なくなりがちです
  • 遺言か生前贈与か——孫への生前贈与は、原則として相続税の持ち戻し(死亡前の贈与を相続財産に加える扱い)の対象外で、2割加算もありません。少額ずつ長期に渡すなら贈与、まとまった財産なら遺言、と使い分けます
  • 兄弟姉妹への相続——子がいない場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で配偶者にすべて残すこともできます。兄弟に渡す必要があるなら、加算後の税額と配偶者の税額軽減を比べて配分を決めます

誰に・いくら・どの方法で渡すかは、遺言書で決めて初めて実現します。加算後の税額で試算したうえで、遺言書に配分を書き残す——これが2割加算と付き合う現実的な手順です。

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よくある質問(FAQ)

孫を養子にすれば基礎控除が増えると聞きました。2割加算とどちらが得ですか?

孫養子は法定相続人になるため、基礎控除(600万円)と生命保険の非課税枠(500万円)が1人分増える一方、その孫が取得する財産の税額には2割加算がかかります。孫にほとんど財産を渡さず、控除枠の増加だけを使う設計なら加算の影響は小さく済みます。逆に孫に多く渡すと加算が効いてきます。なお、養子の人数には基礎控除の計算上の制限(実子がいれば1人まで)があり、節税目的のみの養子縁組は税務署に否認されることもあります。

兄弟姉妹が相続人で、代襲相続で甥が相続します。甥も加算されますか?

加算されます。代襲相続で加算を免れるのは「子の代襲相続人となった孫」だけで、兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪は、もともと兄弟姉妹が加算対象であるため、そのまま加算の対象です。子がいない人の相続で兄弟姉妹・甥姪が財産を取得する場合、全員が2割加算になると考えてください。配偶者がいる場合は配偶者の税額軽減で全体の税額を抑えつつ、兄弟には遺言で最小限にする設計も検討できます。

内縁の妻に遺言で財産を残します。2割加算のほかに不利な点はありますか?

2割加算に加えて、配偶者の税額軽減も、基礎控除の人数計算も、生命保険の非課税枠も使えません。法律上の配偶者でないため、相続税の面では「他人」と同じ扱いです。さらに不動産を遺贈で取得すると、登録免許税と不動産取得税が相続より高くなります。それでも遺言がなければ内縁のパートナーは何も受け取れないため、税負担を承知のうえで遺言を残す意味は大きいです。生前贈与や生命保険との組み合わせで負担を分散する設計も検討してください。

2割加算を忘れて申告してしまいました。

加算が漏れていると税額が少なく申告されているため、修正申告をして不足分と延滞税を納める必要があります。税務署の指摘を受ける前に自分から修正すれば、過少申告加算税はかかりません。逆に加算の対象でない人(代襲相続人の孫など)に誤って加算して申告していた場合は、更正の請求で払いすぎた分を取り戻せます。申告書の第4表(相続税額の加算金額の計算書)で、誰に加算をかけたかを確認してください。

まとめ

相続税の2割加算は配偶者・子・親・代襲相続人の孫以外が財産を取得したとき、その人の税額を1.2倍にする仕組み——兄弟姉妹・甥姪・遺言で受け取る孫・孫養子・内縁のパートナーが対象です。加算は本人の税額にだけかかり、他の相続人には影響しません。孫や兄弟に渡すかどうかは、加算後の税額と二世代分の合計、生命保険や贈与との組み合わせで判断し、決めた配分は遺言書に残す。それが2割加算と付き合う手順です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)