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財産管理委任契約書のひな形と書き方|条項・報告・終了事由

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

財産管理委任契約は、判断力のある親が子に預金の管理や支払いを正式に委任する契約です。制度の位置づけは「財産管理委任契約とは」で整理しました。ここでは契約書の構成と各条項の書き方、書いてはいけないこと、公正証書にする意味、銀行で使うための工夫を、ひな形に沿って整理します。

この記事の要点

①骨格は、当事者、目的、委任事項(具体的に列挙)、代理権の制限(不動産の売却・借入・保証・贈与は含めない)、報告義務、報酬と費用、解除と終了事由、任意後見への移行の8つ ②「一切の財産管理を委任する」という包括的な書き方は避け、任せる行為を一つずつ書く ③報告義務と他の家族への開示を条項に入れると、使い込みの疑いを防げる ④公正証書にすると窓口で受け付けられやすい。ただし銀行は代理人届を別途求めるため、契約と同時に届出をする

契約書の構成——8つの条項

条項書く内容
第1条 当事者・目的委任者(親)と受任者(子)の氏名・住所。「委任者の生活の維持と財産の保全のため」と目的を明記
第2条 委任事項任せる行為を一つずつ列挙(次節)
第3条 代理権の制限受任者ができないこと(不動産の処分・借入・保証・贈与・遺言に関する行為)。金額の上限(1回○万円を超える支出は事前に相談)
第4条 報告義務月次または四半期ごとに収支と残高を報告。帳簿と領収書の保管。他の家族への開示
第5条 報酬・費用無報酬か、月額○円か。交通費などの実費は委任者の負担
第6条 解除・終了いつでも解除できること。委任者の死亡、受任者の死亡や辞任、任意後見の発効で終了
第7条 任意後見への移行委任者の判断能力が低下したら、受任者は任意後見監督人の選任を申し立てる
第8条 その他再委任の禁止、契約の変更は書面で、紛争時の協議
財産管理委任契約書の基本構成(2026年8月時点)。

形式は自由ですが、公正証書にするのが実務の標準です。

委任事項の書き方——具体的に列挙し、包括委任は避ける

委任事項は契約書の心臓部です。「一切の財産管理に関する事項」という包括的な書き方は避け、任せる行為を具体的に列挙してください。包括的な委任は悪用の余地があり、無効と争われる可能性もあります。銀行も包括的な委任状には応じません。

  • 預貯金の管理——「○○銀行○○支店の普通預金口座(口座番号○○)の預入・払い戻し・振込」。口座を特定する
  • 支払い——「公共料金、医療費、介護保険サービス利用料、施設利用料、税金、保険料の支払い」
  • 受領——「年金、保険金、給付金、賃料の受領と口座への入金」
  • 日常の契約——「介護保険サービスの利用契約の締結・変更」「日用品の購入」
  • 書類・郵便——「郵便物の受領と開封、行政や金融機関からの通知への対応」
  • 不動産の管理(処分は除く)——「自宅の修繕の手配、固定資産税の支払い」。売却・担保設定は含めない

不動産の売却や大口の借入・贈与は、この契約では任せず、家族信託などで対応します。「何でもできる」契約は、受任者自身を疑いから守れません(「親のお金の管理を子が引き受けるとき」)。

報告義務・報酬・終了事由・任意後見への移行

報告義務——「受任者は毎月末、収支と預金残高を委任者に報告し、帳簿と領収書を保管する」「委任者が指定する親族にも報告する」。受任者は記録を残す動機を持ち、他の家族は透明性を確認できます。

報酬・費用——家族間では無報酬が多いですが、定める場合は「月額○円を委任者の預金から支払う」と明記し、他の家族に開示します。実費は委任者の負担と書きます。

終了事由——「委任者はいつでも解除できる」「委任者または受任者の死亡、任意後見契約の効力発生により終了する」。任意後見が発効したらこの契約は終わり、以後は任意後見人として管理する——この切り替えが「移行型」です(「任意後見制度の始め方」)。

任意後見への移行——「委任者の判断能力が不十分になったときは、受任者は速やかに任意後見監督人の選任を申し立てる」。この一文がないと、監督のない状態が長引きます。

公正証書にする意味と、銀行で使うための工夫

私文書でも有効ですが、実務では公正証書にします。①公証人が本人の意思と判断能力を確認するため争われにくい、②窓口で受け付けてもらいやすい、③任意後見契約は公正証書が必須なので一緒に作るのが自然。費用は1契約11,000円程度、任意後見とセットで2万〜3万円程度です。

ただし公正証書にしても、銀行が委任契約だけで代理を認めるとは限りません。多くの銀行は自行の様式の代理人届を別途求めます。契約を作ったら本人と受任者で窓口に行き、契約書を示して代理人届を出す——この二段構えが実際に使うための工夫です(「代理人カードとは」)。

判断力が低下してからでは届出ができず、口座が動かせなくなります。本人が窓口に行ける間に済ませてください。

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よくある質問(FAQ)

契約書の様式に決まりはありますか?印鑑は実印ですか?

様式に決まりはなく、内容が明確なら有効です。ただし銀行や施設に示す場面を考えると、実印を押し、印鑑証明書を添付するのが標準です。公正証書なら公証人が本人確認を行います。日付、署名、委任事項の特定(口座番号など)、終了事由は必ず入れてください。

子が2人います。両方を受任者にできますか?

できます。共同管理はチェックが効きますが、日常の支払いのたびに二人の判断が要り実務が回りにくくなります。一人を主な受任者、もう一人を報告を受ける立場(または予備の受任者)にする形が多いです。報告義務の条項で両者が情報を共有できるようにしておくと、後の争いを防げます。

財産管理委任契約と家族信託、両方作る必要がありますか?

併用する家庭は多いです。委任契約は日常の支払いと預金の出し入れ、家族信託はまとまった預金や不動産の管理・処分に向きます。信託は判断力が低下しても続きますが日常の細かい支払いには向かず、委任契約は判断力の低下で使えなくなります。日常は委任契約、大きな財産は信託、身上監護は任意後見、と役割を分けるのが実務の形です。

親が「解除したい」と言ったら、すぐ終わりますか?

終わります。委任者はいつでも解除できるのが原則です。解除されたら受任者は帳簿と残高を報告し、通帳やカードを返します。解除の背景に管理への不満や誤解があることも多いため、報告を丁寧に行い、疑問には帳簿で答える姿勢が契約を続けるコツです。不合理な解除の申し出は、任意後見への移行を検討する時期のサインでもあります。

まとめ

財産管理委任契約書の骨格は当事者・目的・委任事項・代理権の制限・報告義務・報酬と費用・終了事由・任意後見への移行の8条項。「一切の財産管理」という包括委任は避け、口座を特定し、任せる行為を一つずつ列挙する——不動産の処分・借入・保証・贈与は含めません。報告義務と他の家族への開示、判断力低下時の任意後見への移行を明記し、公正証書にする。そして本人が窓口に行けるうちに、契約書を示して銀行の代理人届を出す——この二段構えで、契約は実際に使えるものになります。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)