贈与税はいくらから?110万円の壁と非課税になる贈与をわかりやすく
結論から言うと、贈与税がかかるのは「もらった人1人あたり、1月1日〜12月31日の1年間で合計110万円」を超えたときです。110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。
ただしこの「110万円の壁」には数え方の誤解による思わぬ課税や、非課税のつもりが相続税に化ける落とし穴がいくつもあります。この記事では、壁の正しい数え方・税率と計算例・非課税になる贈与・注意すべき落とし穴を、この1本で見渡せるように整理します。
①課税ラインは「あげた人ごと」ではなく「もらった人ごと」に年110万円。複数人からもらえば合算される ②110万円を超えた部分に10〜55%の累進税率。親から成人の子への贈与は税率が優遇される ③生活費・教育費をその都度渡すのはもともと非課税。一方、死亡前7年の贈与の持ち戻しと名義預金は二大落とし穴
110万円の壁の正しい数え方
押さえるべきルールは3つです。
- 「もらった人ごと」に数える。父から100万円+母から100万円=合計200万円なら、110万円を超えた90万円が課税対象です。「あげる側1人につき110万円」ではありません
- 1月1日〜12月31日の暦年で合計する。年をまたげばリセットされます(暦年課税)
- 払うのは、もらった人(受贈者)。申告・納付の期限は贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日です
税率表と計算例――110万円を超えたらいくら?
110万円を超えた部分(基礎控除後の課税価格)に、10〜55%の累進税率がかかります。税率表は2種類あり、18歳以上の人が父母・祖父母(直系尊属)からもらう場合は優遇された「特例税率」、それ以外(夫婦間・兄弟間・未成年への贈与など)は「一般税率」を使います。
| 基礎控除後の課税価格 | 特例税率/控除額 | 一般税率/控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10%/― | 10%/― |
| 300万円以下 | 15%/10万円 | 15%/10万円 |
| 400万円以下 | 15%/10万円 | 20%/25万円 |
| 600万円以下 | 20%/30万円 | 30%/65万円 |
| 1,000万円以下 | 30%/90万円 | 40%/125万円 |
| 1,500万円以下 | 40%/190万円 | 45%/175万円 |
| 3,000万円以下 | 45%/265万円 | 50%/250万円 |
| 3,000万円超 | 50%/415万円(4,500万円以下) 55%/640万円(4,500万円超) | 55%/400万円 |
計算例:親から成人の子へ500万円を贈与した場合(特例税率)
- 課税価格=500万円−110万円=390万円
- 速算表(特例税率・400万円以下)を適用:390万円×15%−10万円=贈与税48.5万円
同じ500万円でも、兄弟間の贈与(一般税率)なら390万円×20%−25万円=53万円。誰から誰への贈与かで税額が変わります。
非課税になる贈与
- 生活費・教育費を「その都度」渡す。親や祖父母が扶養の範囲で負担する学費・仕送り・結婚式費用などは、必要な時に必要な額を直接払う限り、金額にかかわらず非課税です。これは期限のない恒久的な扱いで、実は最も使い勝手のよい非課税枠です
- 住宅取得資金の贈与の特例。親・祖父母から住宅の新築・購入資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外は500万円まで非課税(2026年12月末までの贈与が対象。年ごとの要件に注意)
- 夫婦間の自宅贈与(おしどり贈与)。婚姻20年以上の夫婦間で自宅や自宅取得資金を贈与する場合、基礎控除とは別に2,000万円まで控除できます
- 香典・お祝い・見舞金など。社会通念上相当な額なら課税されません
最大1,500万円を一括で非課税贈与できた「教育資金の一括贈与の特例」は、2026年3月末で新規の利用が終了しています(既存契約分は継続)。今後の教育支援は、上記の「その都度払い」(恒久非課税)が基本になります。
注意したい落とし穴
- 死亡前7年の贈与は相続税に持ち戻される。相続人への暦年贈与は、贈与した親が亡くなると死亡前7年以内(段階的に拡大中)の分が相続財産に加算されます。せっかくの110万円非課税が帳消しになる仕組みは「生前贈与の7年ルール」で必ず確認してください
- 名義預金は贈与になっていない。子や孫名義の口座に親が入金しているだけで、本人が口座の存在を知らない・通帳を親が管理しているケースは、贈与不成立として相続財産に含められます(タンス預金・名義預金の税務)
- 「相続時精算課税」という別ルートもある。2,500万円まで贈与税を先送りし相続時に精算する制度で、2024年からは年110万円の基礎控除も新設されました。暦年課税とどちらを選ぶかは「相続時精算課税制度とは」で比較してください
- 証拠を残さない手渡し贈与。贈与は「あげた・もらった」の合意があって初めて成立します。贈与のたびに贈与契約書を作り、振込で記録を残すのが、税務署にも相続人にも説明できる唯一の方法です(贈与契約書のひな形と書き方)。親の土地に家を建てるケースの注意点は「親の土地に家を建てるときの贈与税」もどうぞ
よくある質問(FAQ)
贈与税は誰が払うのですか?あげた側ですか、もらった側ですか?
もらった側(受贈者)が払います。110万円の基礎控除も「もらった人ごと」に数えるため、複数の人からもらえば合算で判定されます。本文の数え方3ルールをご確認ください。
贈与税の申告と納付の期限はいつですか?
贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に、受贈者が申告・納付します。年間110万円以下で、精算課税などの適用も受けていなければ申告不要です。
親に車や住宅の頭金を出してもらったら贈与税がかかりますか?
原則かかります。車の購入資金や頭金の援助も贈与であり、年110万円を超えれば課税対象です。ただし住宅取得資金には非課税の特例(本文参照)があるため、住宅関係はまず特例の要件を確認しましょう。
毎年110万円ずつ贈与すれば、贈与税は一切かかりませんか?
毎年その都度合意して贈与するなら、各年110万円以下は非課税です。ただし「10年間毎年110万円ずつ」と最初に約束すると、総額1,100万円の定期金贈与として初年度にまとめて課税されるおそれがあります。毎年別個の贈与であることを贈与契約書で残すのが定石です。なお家族信託と贈与税の関係は「家族信託に贈与税はかからない?」をご覧ください。
まとめ
- 贈与税がかかるのは「もらった人ごと」に年110万円を超えたとき。超えた部分だけに課税される
- 税率は10〜55%。親から成人の子への贈与は特例税率で優遇される(500万円の贈与で48.5万円)
- 生活費・教育費のその都度払いは金額にかかわらず恒久的に非課税。一括贈与特例に頼らなくてよい
- 7年ルールの持ち戻しと名義預金が二大落とし穴。贈与契約書+振込で記録を残す
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。