故人の医療保険・入院給付金は死亡後も請求できる?手順と税金
長く入院していた父は、給付金を請求できないまま亡くなった——入院や手術の給付金は、本人の死亡後でも相続人が請求できます。ただし死亡保険金とは性質が違い、相続財産として扱われます。
請求の手順、死亡保険金との区別、相続税・遺産分割・相続放棄との関係、医療費控除への影響を整理します。死亡保険金そのものの請求は「死亡保険金の請求手続き」をどうぞ。
①入院・手術・通院給付金は受取人が本人のため、死亡後は相続人が「本人の権利」を引き継いで請求する。時効は退院日などから3年 ②保険会社に連絡し、請求書・診断書・故人の戸籍・相続人の戸籍・代表相続人の本人確認書類と口座を提出する ③給付金は「故人の財産」で、死亡保険金と違い遺産分割の対象。相続税では本来の財産で非課税枠なし。相続放棄を考えている人は受け取ると単純承認になり得る ④準確定申告の医療費控除では給付金を医療費から差し引く。がん診断給付金なども同じ扱い
死亡後も請求できる——ただし「本人の権利」を相続人が引き継ぐ
入院給付金・手術給付金・通院給付金は受取人が被保険者本人です。本人が請求できないまま亡くなった場合、給付金を受け取る権利は本人の財産として相続人に引き継がれ、相続人が請求します。
亡くなる前の入院・手術・通院で、本人が請求していないものがないか——保険証券と入院の記録を突き合わせて確認してください。生前に指定代理請求で家族が受け取っていた分は二重には請求できません(「認知症で保険が解約できない!指定代理請求と契約者代理制度」)。
請求の手順と必要書類・3年の時効
- 保険会社に連絡する——「相続人による給付金請求」の書類を送ってもらう
- 診断書を取得する——保険会社所定の入院・手術証明書を病院に依頼する。費用は数千〜1万円程度で相続人負担が原則
- 書類を提出する——請求書、診断書、故人の除籍、相続人の戸籍、代表相続人の本人確認書類と口座。他の相続人の同意書や印鑑証明書を求められることがある
- 支払い——審査後、代表相続人の口座に振込。通常1〜2週間
時効は支払事由が生じた日(退院日・手術日)から3年。死亡からではなく入院からの起算なので、早めに動いてください。
死亡保険金との違い——遺産分割・相続税・相続放棄
| 項目 | 死亡保険金 | 入院・手術給付金 |
|---|---|---|
| 受取人 | 指定された受取人(配偶者・子など) | 被保険者本人→死亡後は相続人 |
| 財産の性質 | 受取人固有の財産 | 故人の財産(相続財産) |
| 遺産分割 | 対象外 | 対象。相続人で分ける |
| 相続税 | みなし相続財産。500万円×法定相続人の非課税枠 | 本来の相続財産。非課税枠なし |
| 相続放棄との関係 | 放棄しても受け取れる | 受け取って使うと単純承認になり得る |
代表相続人が給付金を自分のものにすると、使途不明金の争いになります。受け取った給付金は遺産の一部として財産目録に載せ、遺産分割で分けるのが正しい扱いです。相続放棄を考えている人は請求も受け取りもしないでください(「相続放棄しても受け取れるお金・受け取ってはいけないお金」)。
医療費控除との関係と、がん診断給付金などの扱い
医療費控除との関係——故人が支払った医療費は準確定申告で医療費控除を受けられますが、入院給付金など保険で補てんされた額は医療費から差し引く必要があります。請求が申告の後になれば見込額で差し引くか、受け取った後に修正申告をします。死亡後に相続人が払った医療費は債務控除の対象で、生計を一にしていた相続人なら自身の医療費控除に使える場合もあります(「準確定申告とは」)。
がん診断給付金・先進医療給付金・特定疾病保険金——受取人が本人の給付金はすべて入院給付金と同じ扱い(相続財産・非課税枠なし・遺産分割の対象)です。診断確定時に支払事由が生じていれば、相続人が請求できます。相続税の申告では「未収の給付金」として財産に計上します。
未請求の給付金も、財産目録に——入院・手術給付金は故人の財産です。保険の一覧と請求の状況を書き出せば、請求漏れと遺産分割の争いを防げます。財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。
財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
入院給付金の請求書に、相続人全員の署名が必要と言われました。
給付金は相続財産で相続人全員のものなので、代表相続人への支払いに他の相続人の同意書や印鑑証明書を求める保険会社があります。少額なら代表相続人だけで応じる会社も。遺産分割協議書で「給付金は○○が取得する」と定めた写しを提出すれば、その人だけで請求できることが多いです。必要書類を先に確認してください。
給付金は少額です。相続税の申告に入れる必要がありますか?
入れる必要があります。亡くなった時点で請求権があった給付金は、金額にかかわらず相続財産です。基礎控除を超えて申告する家では未収の給付金として計上します。計上を怠ると税務調査で「漏れ」として指摘され得ます。支払通知書を保管し、財産目録に記載してください。
本人が入院中に給付金を請求して、振込前に亡くなりました。
本人が生前に請求していれば、支払われる給付金は本人の財産として、本人の口座(相続財産)に振り込まれるのが原則です。口座が凍結されている場合は、保険会社が相続人代表の口座への振込に切り替えることがあり、その際に相続手続きの書類を求められます。いずれにしても給付金は相続財産で、遺産分割の対象です。請求中の給付金があることを財産目録に記載し、他の相続人に共有してください。
母の医療保険で、受取人が父(すでに死亡)になっている給付金があります。
入院給付金の受取人が被保険者本人以外に指定されている契約はまれですが、指定されていて受取人が先に亡くなっている場合は、受取人の相続人(受取人の法定相続人)が受け取るのが原則です。契約によって扱いが異なるため、保険会社に確認してください。なお、母自身が受取人の一般的な契約なら、母の相続人が請求します。保険証券の「給付金受取人」欄を確認し、記載がなければ被保険者本人が受取人です。
まとめ
亡くなる前の入院・手術・通院に対する医療保険の給付金は、本人の死亡後でも相続人が「本人の権利」として請求できます(時効は退院日などから3年)。ただし死亡保険金と違い、故人の財産=相続財産なので、遺産分割の対象で非課税枠は使えず、相続放棄を考えている人が受け取ると単純承認になり得ます。準確定申告の医療費控除では給付金を医療費から差し引き、がん診断給付金や先進医療給付金も同じ扱い。請求漏れを防ぎ、受け取った給付金は財産目録に載せて分ける——それが正しい処理です。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。