遺族年金はいくらもらえる?誰が・いつまで受け取れるかをわかりやすく解説
家計を支えていた家族が亡くなったとき、遺族の収入の柱になるのが遺族年金です。仕組みは「遺族基礎年金」+「遺族厚生年金」の2階建て——故人が会社員・公務員なら両方、自営業なら基礎のみが基本形です。この記事では誰がもらえる・いくらもらえる・いつまでもらえるの3点を、制度の仕組みから整理します。
なお、受給停止や未支給年金などの窓口手続きは「死亡後の年金手続き」、夫を亡くした妻の手続き全体は「夫が亡くなったら妻がやること」で解説しています。本記事は「金額と要件の理解」に絞ります。
①遺族基礎年金は「18歳年度末までの子がいる配偶者・子」だけが対象で、定額(年80万円台のめやす・年度改定)+子の加算 ②遺族厚生年金は故人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3で、収入と加入期間により一人ひとり違う。加入300月未満でも300月とみなして計算 ③再婚で消滅、子の18歳年度末で基礎は終了。40歳以上の子のない妻には中高齢寡婦加算。2028年4月からは子のない配偶者への遺族厚生年金が段階的に見直し
全体像:2階建ての仕組み
大前提として、故人に保険料の納付要件(加入期間の3分の2以上の納付、または直近1年間に未納がない特例)があること、そして遺族が故人に生計を維持されていたこと(同居等+遺族の年収850万円未満がめやす)が必要です。
誰がもらえる?——要件の整理
| 種類 | 受け取れる遺族 |
|---|---|
| 遺族基礎年金 | 「子のある配偶者」または「子」だけ。子=18歳の年度末まで(障害等級1・2級は20歳未満)。子のない配偶者は対象外 |
| 遺族厚生年金 | 範囲が広い。優先順位は①配偶者・子 ②父母 ③孫 ④祖父母。現行では夫・父母・祖父母は55歳以上(支給60歳から)の年齢要件あり |
ポイントは「子がいるかどうかで1階の有無が決まる」こと。子のない妻でも、夫が会社員なら2階(遺族厚生年金)は受け取れます。逆に自営業の夫を亡くした子のない妻は、遺族基礎も遺族厚生もなく、代わりに寡婦年金・死亡一時金のどちらかを選ぶ形になります(死亡後の年金手続きで解説)。
いくらもらえる?——計算の仕組みとめやす
| 項目 | 計算の仕組み(金額は年度改定・めやす) |
|---|---|
| 遺族基礎年金 | 定額=老齢基礎年金の満額と同水準(年80万円台のめやす)+子の加算(1・2人目:各 年20万円台、3人目以降:各 年7万円台のめやす) |
| 遺族厚生年金 | 故人の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 3/4。現役収入と加入期間で一人ひとり違う。在職中の死亡などでは加入300月未満でも300月とみなして計算(短期要件) |
| 中高齢寡婦加算 | 子が18歳年度末を過ぎた(または子のない)40〜65歳の妻に、遺族基礎年金の4分の3相当(年60万円前後のめやす)を上乗せ |
イメージをつかむ例:平均的な収入の会社員の夫を亡くした、子1人の妻の場合——1階(定額+子の加算1人分で年100万円強のめやす)+2階(収入次第。現役収入が高いほど増える)という構造です。正確な金額は故人の年金記録がないと計算できないため、断定的な早見表は当てにせず、年金事務所での試算(FAQ参照)を基準にしてください。受け取り始めたら、家計の収入欄として財産目録に書き足しておくと生活設計に使えます。
いつまで?——終了・消滅と2028年の見直し
終了・消滅のタイミング——①受給者が再婚(事実婚を含む)すると消滅 ②遺族基礎年金は末の子の18歳年度末で終了(その先は中高齢寡婦加算がつなぐ) ③現行では、子のない30歳未満の妻への遺族厚生年金は5年間の有期給付 ④65歳以降は自分の老齢年金との併給調整があり、全額を単純合算では受け取れません。
遺族年金だけで生活のすべてを賄うのは難しいのが実際です。妻の住まいの確保(配偶者居住権)や遺産の分け方(夫が亡くなったら妻がやること)とあわせて、収入と資産の全体で生活設計を考えましょう。
よくある質問(FAQ)
遺族年金に税金や、受け取ると損になる仕組みはありますか?
遺族年金は非課税です。所得税・住民税はかからず、相続税の対象にもなりません(未支給年金だけは受け取った遺族の一時所得扱い)。ただし遺族の側に一定以上の収入がある場合は、そもそも生計維持の要件(年収850万円未満のめやす)を満たさず受給できないことがあります。また65歳以降は自分の老齢年金との併給調整があります。
妻が亡くなった場合、夫も遺族年金をもらえますか?
もらえる場合があります。遺族基礎年金は「子のある配偶者」が対象なので、子のいる夫は受給できます。一方、現行の遺族厚生年金は夫が55歳以上(支給は60歳から)という年齢要件があり、妻より条件が厳しくなっています。この男女差は2028年4月から段階的に解消されることが決まっており、施行時期をまたぐ場合は年金事務所で最新の扱いを確認してください。
再婚したり、子が18歳になったりしたらどうなりますか?
再婚(事実婚を含む)すると遺族年金の受給権は消滅し、以後は受け取れません。遺族基礎年金は、末の子が18歳の年度末(障害等級1・2級の子は20歳)を過ぎると終了します。その時点で40歳以上の子のない妻には、65歳まで中高齢寡婦加算が上乗せされる仕組みがあり、収入の崖をある程度ならしてくれます。
正確な金額はどこで確認できますか?
遺族厚生年金は亡くなった方の収入・加入期間で一人ひとり違うため、正確な額は年金事務所での試算が確実です。予約のうえ、年金手帳(基礎年金番号)・戸籍・死亡日の分かる書類を持参すれば見込額を出してもらえます。生前の備えとしては、毎年届くねんきん定期便やねんきんネットで報酬比例部分を確認しておくと、遺族厚生年金のおおよそ(その4分の3)が把握できます。
まとめ
遺族年金は基礎(子のある配偶者・子だけ/定額+子の加算)+厚生(報酬比例の4分の3/範囲が広い)の2階建て。子の有無で1階が決まり、故人の働き方で2階が決まります。金額は年度改定と個人の年金記録で変わるため、めやすで見当をつけたら年金事務所で試算を——それが一番正確で早い方法です。再婚での消滅、子の18歳年度末、中高齢寡婦加算、そして2028年4月からの見直し。この記事の枠組みを頭に入れて、請求手続き(死亡後の年金手続き)へ進んでください。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。