ホームゾウゾクノート / 介護の住宅改修に20万円の補助

生前の備え

介護の住宅改修に20万円の補助|申請手順と福祉用具

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

退院してくる親のために、廊下と浴室に手すりを付けたい。玄関の段差をなんとかしたい——この工事、介護保険から上限20万円の補助(住宅改修費の支給)が出ます。

ただし、この制度には多くの家族がつまずく落とし穴があります。工事をしてしまってからの申請は、原則1円も支給されないのです。この記事では、対象工事・正しい申請の順番・上限の仕組み、そしてセットで検討したい福祉用具のレンタル制度までを解説します。転倒予防は、介護度の悪化と在宅の限界を遠ざける最も費用対効果の高い投資です。

この記事の要点

①要介護・要支援の認定を受けた人の自宅の改修に、上限20万円まで介護保険から支給される(自己負担は所得に応じて1〜3割) ②対象は手すり・段差解消・滑り防止の床材変更・引き戸への取り替え・洋式便器への取り替え・付帯工事の6種類 ③絶対条件は「工事前の事前申請」。ケアマネジャー等の理由書を添えて市区町村の承認を得てから着工する ④上限20万円は原則1人1回分だが、要介護度が大きく上がったときと転居したときはリセットされる。用具はレンタル中心、排せつ・入浴用品は年10万円まで購入補助

制度の全体像——上限20万円・自己負担1〜3割

介護保険の住宅改修費支給は、要介護・要支援の認定を受けた人が自宅で安全に暮らすための小規模な改修に、上限20万円分まで保険給付が出る制度です。自己負担は所得に応じて1〜3割。つまり1割負担の人なら、20万円の工事の自己負担は約2万円で済みます。

支給方法は償還払い(いったん全額を払い、後から保険分が振り込まれる)が原則ですが、登録事業者を使えば自己負担分だけ払えばよい「受領委任払い」を選べる自治体も増えています。立て替えの負担が重い場合は、申請時に確認してください。

対象になる工事は6種類

対象工事
①手すりの取り付け廊下・トイレ・浴室・玄関・階段への設置
②段差の解消敷居の撤去、スロープの設置(工事を伴うもの)、浴室の床のかさ上げ
③滑り防止などの床材変更畳から滑りにくい床材へ、浴室の滑り止め床材へ
④引き戸などへの扉の取り替え開き戸を引き戸・アコーディオンカーテンへ、ドアノブの変更
⑤洋式便器への取り替え和式から洋式へ(暖房便座等への単なる交換は対象外)
⑥上記に付帯する工事手すり設置のための下地補強、扉交換に伴う壁の部分工事など
対象工事のめやす(2026年8月時点)。個別の可否は市区町村の判断によります。

逆に、リフォーム全般(キッチン交換・増築・老朽化の修繕)は対象外です。「介護のための改修」に限るという線引きを覚えておいてください。

申請手順——「工事前の申請」が絶対条件

  1. ケアマネジャーに相談する——どこに手すりがあれば転倒を防げるかは、本人の動き方を知る専門職の目で決めるのが安全です。担当がいなければ地域包括支援センターへ(「ケアマネジャーの選び方・変え方」)
  2. 事前申請する——見積書・改修前の写真・ケアマネジャー等が作る理由書を添えて、市区町村に申請します
  3. 承認を待って着工する——承認前に着工した工事は支給対象外。ここが最大の落とし穴です。退院日が迫っていても、必ず申請を先に
  4. 完了報告と払い戻し——工事後の写真・領収書を提出し、保険分が振り込まれます

なお上限20万円は原則「1人につき1回分(複数回に分けての利用は可)」ですが、要介護度が3段階以上重くなったとき、および転居したときは、改めて20万円の枠が使えます。一度使い切っていてもあきらめずに確認を。

福祉用具——レンタルと購入の使い分け

工事とあわせて検討したいのが福祉用具です。原則はレンタル(福祉用具貸与)——介護ベッド・車いす・歩行器・スロープ(置き型)などを、自己負担1〜3割で借りられます。状態の変化に合わせて交換できるのがレンタルの利点です。軽度(要支援・要介護1)の人は介護ベッドなど一部が原則対象外になる制限があります。

一方、肌に直接触れる用具——ポータブルトイレ・入浴用いす・簡易浴槽など——はレンタルになじまないため、購入費の支給(年間上限10万円)の対象です。こちらも指定事業者からの購入が条件なので、買う前にケアマネジャーへ。改修・レンタル・購入の三点セットを組み合わせると、数万円の自己負担で住まいの安全性は大きく変わります。立て替えと払い戻しの口座管理を含め、お金まわりの動きは家族で分担と記録を決めておきましょう。

立て替え・払い戻し・業者への支払い——誰が担当しますか——親のお金から出す範囲と管理する家族を財産管理等委任契約書で決めておけば、申請も精算も迷いません。無料・登録不要です。

財産管理等委任契約書をつくる

よくある質問(FAQ)

もう工事してしまいました。今から申請できませんか?

原則できません。住宅改修費の支給は工事前の事前申請と市区町村の確認が要件で、完了後の申請は対象外とされるのが通常の運用です。やむを得ない事情(急な退院など)があった場合の扱いは自治体によって差があるため、事情があるならだめもとで窓口に相談する価値はありますが、期待はできません。これから追加の改修を考えているなら、次こそ必ず「相談→申請→承認→着工」の順番で。この順番さえ守れば確実に使える制度です。

賃貸住宅でも住宅改修の補助は使えますか?

使えます。ただし大家(所有者)の承諾が前提です。承諾書の提出を求める自治体が一般的なので、申請前に大家さんへ相談してください。手すりの設置程度なら承諾を得られることが多く、退去時の原状回復の扱いも先に話し合っておくと安心です。工事を伴わない置き型の手すりやスロープは福祉用具レンタルの対象なので、承諾が得られない場合はレンタルで代替できないかをケアマネジャーに相談する道もあります。

20万円を超える工事をしたい場合はどうなりますか?

超えた分は全額自己負担です。支給の対象になるのは20万円分まで(自己負担1〜3割を差し引いた額が支給)で、それを超える部分に介護保険は使えません。ただし、自治体独自の住宅改修助成(介護保険への上乗せや高齢者向けリフォーム補助)を設けている地域があります。工事が大きくなりそうなら、市区町村の窓口で「介護保険以外に使える助成はないか」を必ず聞いてください。制度の重ね技で自己負担を大きく減らせることがあります。

親を呼び寄せて同居する予定です。転居先の改修にも使えますか?

使えます。住宅改修費の対象は「被保険者証に記載された住所の自宅」なので、転居して住民票を移せば、新しい自宅での改修が対象になります。しかも転居の場合は、前の家で20万円の枠を使い切っていても改めて枠が使えます。呼び寄せ同居のリフォームを計画しているなら、引っ越しと住所変更のタイミング、工事の事前申請の順番をケアマネジャー・市区町村と確認してから進めてください。順番を間違えると対象外になりかねません。

まとめ

介護の住宅改修は、上限20万円・自己負担1〜3割で住まいの安全を買える制度です。対象は手すり・段差解消など6種類。絶対条件は「工事前の申請」——承認前の着工は1円も出ません。上限は要介護度の大幅な悪化と転居でリセットされます。用具はレンタル中心、排せつ・入浴用品は年10万円まで購入補助。相談→申請→承認→着工の順番と、立て替え・払い戻しの担当決め——この2つを押さえれば、転倒予防という最高の投資が数万円で実現します。

改修費の立て替えと管理、担当を決めておきませんか

親のお金から出す範囲・払い戻しの受け取り口座・業者への支払い担当。財産管理等委任契約書で明確にしておけば、申請から精算まで迷いません。登録不要・ブラウザだけで完結します。

あわせて読みたい

この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、医療・介護・法律・税務の個別助言を行うものではありません。制度の内容や自己負担額は所得区分・お住まいの自治体・年度改定により異なります。実行にあたっては市区町村の窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)