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家族信託契約書のひな形と書き方|必ず入れる8つの条項と条文例をわかりやすく解説
家族信託を「自分で進めよう」と決めたとき、最初に必要になるのが信託契約書です。ネット上にはひな形がいくつも公開されていますが、いざ目の前にすると「この条文はうちの場合どう書き換えればいいのか」「そもそも何が書いてあるのか」で手が止まる方がほとんどです。
この記事では、家族信託契約書に必ず盛り込む8つの条項を、条文例と「家庭ごとに調整すべきポイント」つきで解説します。ひな形を渡して終わりではなく、各条項が何のためにあるのかまで理解できる構成にしました。読み終えれば、ひな形のどこを直せばよいか自分で判断できるようになります。
この記事の前提:ここで扱うのは、認知症対策として最も一般的な「親(委託者兼受益者)×子(受託者)」の自益信託です。受益者を本人以外にする設計は贈与税の検討が必要になるため、必ず専門家にご相談ください。
家族信託契約書の全体像:8つの必須条項
家族信託契約書は、細かい書き方は自由ですが、実務上は次の8つの条項を柱に組み立てます。それぞれの役割を図で押さえてから、条文ごとに見ていきましょう。
条項別の書き方と条文例
① 信託の目的――契約全体の「物差し」になる最重要条項
条文例:「本信託は、委託者の判断能力が低下した場合においても、委託者の安定した生活及び福祉を確保するとともに、その資産を適正に管理・運用・処分することを目的とする。」
信託目的は飾りではありません。受託者が迷ったとき(例:この支出はしていいのか、自宅を売っていいのか)の判断基準になり、権限の解釈にも影響します。「生活・介護・療養のため」と具体的に書いておくと、受託者が介護費用を支出する正当性が明確になります。
② 信託財産――「どの財産か」を特定して書く
信託する財産は、特定できるように書きます。預金なら「金銭 金〇〇円」、不動産なら登記事項証明書どおりの表記(所在・地番・家屋番号等)で記載し、別紙の信託財産目録にまとめる形が一般的です。
- よくある間違い①:「〇〇銀行の預金口座」と書く → 預金債権には譲渡制限があるため、実務では「金銭〇〇円を信託する」と書き、その金銭を信託口口座へ振り込む形にします
- よくある間違い②:金額を曖昧にする → 後から「いくら信託したのか」で争いになります。目録で明確に
③ 当事者――委託者・受託者・受益者+「予備」を必ず
認知症対策の基本形は「委託者=受益者=親、受託者=子」です。ここで書き漏らしやすいのが予備的受託者(後継受託者)。受託者である子が親より先に死亡・病気になった場合に信託が機能停止しないよう、次の受託者(例:次男、受託者の配偶者)を必ず定めておきます。
④ 受託者の権限――「自宅を売れるか」はここで決まる
条文例:「受託者は、信託不動産を管理し、必要と認めるときは、これを売却し、又は賃貸することができる。」
将来、施設費用のために自宅を売却する可能性が少しでもあるなら、売却権限を明記してください。この一文がないと、いざ売却しようとしたときに買主側・登記実務側から権限を疑義視され、売却が進まない事態が起こり得ます。ひな形の丸写しで最も事故が多いのがこの条項です。
⑤ 信託事務――帳簿・報告など受託者の義務
受託者には信託法上、分別管理義務や帳簿作成・報告義務があります。契約書には、信託口口座での管理、帳簿の作成、受益者への年1回の報告などを定めておきます。義務を明文化しておくことは、受託者にならなかった兄弟姉妹の「使い込みでは」という不信を防ぐ最大の防波堤になります。
⑥ 受益権――受益者が受け取る内容
受益者(=親本人)が信託財産から生活費・介護費・医療費等の給付を受けられることを定めます。自益信託であれば、ここで税務上の贈与は発生しません。
⑦ 信託の終了事由――「いつ終わるか」
条文例:「本信託は、委託者兼受益者の死亡により終了する。」が最もシンプルな形です。夫婦二人の生活を守りたい場合は「委託者及びその配偶者〇〇の両名の死亡」まで続ける設計(受益者連続型)もありますが、設計難易度が上がるため専門家への相談を推奨します。
⑧ 帰属権利者――終了後の財産の行き先=遺言の代わりになる
信託終了時に残った財産を誰が受け取るかを定めます。ここを定めることで、信託財産については遺言と同様の資産承継機能を持たせられます。ただし、信託していない財産には及ばないため、全体の相続設計としては遺言書との併用が定石です。
ひな形丸写しで起きる典型的な失敗5つ
- 自宅の売却権限が書かれておらず、施設入居時に自宅を売れない
- 予備的受託者がなく、受託者の急死で信託が機能停止する
- 信託口口座の特定がなく、受託者個人の口座と混ざって「使い込み」と疑われる
- 帰属権利者の定めがなく、信託終了後の財産をめぐって遺産分割協議が必要になる
- 受益者を子にしてしまい、契約と同時に贈与税が課される設計になっている
いずれも「条文の意味を理解せずに穴埋めした」ことが原因です。逆に、本記事の8条項の役割を理解していれば防げるものばかりです。
契約書ができたら:公正証書化と実務の流れ
- 下書きの完成:この記事と無料ツールを使って作成します。
- 専門家レビュー(推奨):特に④権限・⑦終了事由・⑧帰属権利者を重点的に確認してもらいます。
- 公証役場に下書きと必要書類を提出:印鑑証明書・戸籍・不動産の登記事項証明書等を添えて、公正証書を作成します。
- 信託口口座の開設と金銭の振込
- 不動産があれば信託登記
全体の進め方と費用感は、別記事「家族信託は自分でできる?」で詳しく解説しています。
8条項を、質問に答えるだけで契約書に
この記事の8条項を、質問に答えるだけで自動的に条文へ落とし込めるのが、当サイトの家族信託契約書 無料作成ツールです(無料でご利用いただけます)。売却権限の有無や予備的受託者も、ステップの中で漏れなく設定できます。
よくある質問(FAQ)
手書きの契約書でも有効ですか?
有効です。契約書の形式に法律上の指定はありません。ただし公正証書化と信託口口座開設を見据えると、パソコンで整った書面を作るのが現実的です。
収入印紙は必要ですか?
信託契約書は印紙税法上の「信託行為に関する契約書」にあたり、1通につき200円の収入印紙が必要です(公正証書の場合は公証役場保管の原本に貼付)。
信託財産は後から追加できますか?
できます。契約書に追加信託の条項を入れておくのが一般的で、追加時には追加信託契約書を作成します。当初は最低限の金銭で始め、様子を見て追加する進め方も実務ではよく使われます。
契約書は何通作りますか?
公正証書の場合、原本は公証役場が保管し、正本・謄本が当事者に交付されます。銀行での口座開設や登記で正本・謄本の提示を求められるため、必要通数を公証役場に事前に伝えておくとスムーズです。
まとめ:ひな形は「理解して使う」なら強い味方
- 家族信託契約書の柱は8条項。特に④受託者の権限と⑧帰属権利者は家庭ごとの調整が必須
- ひな形丸写しの失敗は、条項の役割を理解すれば防げる
- 完成した下書きは、公正証書化の前に専門家レビューを
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。