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家族信託が終了したときの税金|相続税・贈与税・登録免許税は誰にいくらかかるか
家族信託の税金は、始めるときよりも終わるときのほうが重要です。信託が終了すると、信託財産は契約で定めた帰属権利者(または残余財産受益者)に引き渡されますが、このとき初めて財産の実質的な移転が起き、課税が発生するからです。
結論から言うと、税金は「終了の原因」と「財産が受益者から誰に移ったか」の組み合わせで決まります。もっとも多い「親(委託者兼受益者)の死亡で終了し、子が受け取る」パターンは相続税の世界です。この記事では、パターン別の課税、不動産の登記にかかる税金、申告の流れまでを整理します。
大原則:課税は「受益者から誰へ移ったか」で決まる
- 信託の税務は一貫して受益者基準です。終了時も、それまでの受益者から財産を受け取る人(帰属権利者)への移転として、相続税か贈与税かが判定されます
- 帰属権利者=それまでの受益者本人なら、移転が起きないので課税なし。ここがすべての場合分けの起点です
パターン別の課税一覧
パターン①:親(委託者兼受益者)の死亡で終了 → 子が受け取る
もっとも一般的な出口です。帰属権利者(子)は、受益者の死亡に基因して財産を取得したものとして、遺贈と同じ扱いで相続税の課税対象になります(相続税法9条の2第4項)。
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)や配偶者の税額軽減は通常の相続と同様に適用されます。帰属権利者が相続人であれば、自宅の小規模宅地等の特例(330㎡まで評価8割減)も要件を満たせば適用可能です。
帰属権利者が相続人以外(孫・甥姪など)の場合は、相続税の2割加算の対象になります。遺留分の対象にもなり得るため、設計時の確認が必要です。
パターン②:生前の合意終了 → 親本人に財産を戻す
委託者兼受益者と受託者の合意で信託を終了し、財産を親本人名義に戻す場合、受益者に変動がないため贈与税・相続税はかかりません。ただし不動産は、信託登記の抹消と受託者から親への所有権移転登記が必要で、登録免許税がかかります(後述)。
パターン③:生前の終了 → 親以外(子など)が受け取る
親の生存中に信託を終了して子が財産を受け取ると、親から子への贈与としてみなし贈与課税の対象です。財産額によっては数百万円単位の贈与税になり得ます。「信託をやめて、ついでに名義もそのまま子に」という安易な出口は最も危険です。生前に渡すなら相続時精算課税などの制度設計を税理士と行ってください。
不動産の登記と税金:登録免許税・不動産取得税
- 信託不動産は終了時に①信託登記の抹消+②受託者から帰属権利者への所有権移転登記を行います
- 「委託者=受益者」のまま終了し、帰属権利者がその相続人である場合、移転登記の登録免許税は相続と同じ0.4%(通常の移転の2%ではなく)で済み、不動産取得税も非課税となる扱いがあります(登録免許税法7条2項)。信託設計時にこの要件を満たす形にしておくことが重要です
- 要件を外れる場合(帰属権利者が相続人でない等)は登録免許税2%+不動産取得税がかかり、負担が一気に跳ね上がります
- パターン②(親に戻す場合)の移転は、委託者に戻す一定の場合に登録免許税が非課税となる扱いがあります(登録免許税法7条1項2号)。適用可否は司法書士に確認を
終了時の手続きと申告の流れ
- 受託者(清算受託者)は債務の弁済・財産の引渡しなどの清算事務を行い、帰属権利者に最終計算の報告をします
- 受託者は税務署へ信託終了の受益者別調書を提出(財産が受益者本人に戻る場合など不要なケースあり)。相続税の申告期限は通常どおり相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です
- 死亡終了の場合、信託財産は遺産分割協議の対象外(帰属権利者に直行)ですが、相続税の計算では他の遺産と合算します。信託外の財産の申告と一体で税理士に依頼するのがスムーズです
よくある質問(FAQ)
「受託者=受益者」の状態が続くと信託が終了すると聞きました。
その通りです。受託者が受益権の全部を固有財産で保有する状態が1年間継続すると、信託は法律上当然に終了します(信託法163条2号)。二次受益者の設計などで受託者=受益者の状態が生じたときは、1年以内に受託者の交代などの手当てが必要です。
信託終了時に受託者への報酬や清算費用は財産から払えますか?
払えます。信託契約に受託者報酬の定めがあれば清算中も同様に支払え、登記費用・税理士報酬などの清算費用も信託財産から支出できます。帰属権利者に引き渡すのは、これらを差し引いた残余財産です。最終計算書に明細を残し、帰属権利者の承認を得ておくと後日の紛争を防げます。
相続税がかからない規模の家庭でも、何か申告は必要ですか?
遺産総額(信託財産+信託外の財産)が基礎控除以下なら相続税の申告は不要です。ただし小規模宅地等の特例を使って基礎控除以下になる場合は申告が必要な点は通常の相続と同じです。また受託者側の受益者別調書、法務局での登記は税額ゼロでも必要です。
まとめ
- 終了時の税金は「受益者から誰へ移ったか」で決まる。死亡終了→子なら相続税(遺贈扱い)
- 基礎控除・配偶者軽減・小規模宅地等の特例は通常の相続と同様に使える
- 生前に親へ戻せば課税なし、生前に子へ渡せば贈与税。出口の設計ミスが最も高くつく
- 不動産は「委託者=受益者のまま・帰属権利者が相続人」なら登録免許税0.4%+不動産取得税なし
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。