成年後見人の報酬はいくら?月額の相場・付加報酬・誰が払うか【裁判所の目安を解説】
結論から。専門職(司法書士・弁護士等)が成年後見人になった場合の報酬は、裁判所の目安で月額2万円が基本です。本人の管理財産が1,000万円を超えると月3〜4万円、5,000万円を超えると月5〜6万円が目安になります(東京家庭裁判所の公表基準)。
ここで多くのご家族が見落とすのが期間です。後見人への報酬は、原則として本人が亡くなるまで払い続けます。月2万円でも10年で約240万円。この記事では、報酬の決まり方・付加報酬・支払いの実務・払えない場合の制度、そしてまだ間に合う家庭のための事前対策まで順に解説します。
基本報酬の目安:財産額で3段階
- 管理財産1,000万円以下:月額2万円/1,000万円超〜5,000万円以下:月額3〜4万円/5,000万円超:月額5〜6万円が基本報酬の目安です
- 金額は家庭裁判所が審判で決定します。後見人が勝手に決めることも、家族と後見人の交渉で決めることもできません
- 親族が後見人の場合、報酬をもらわない運用も多いですが、報酬付与の申立てをすれば親族でも受け取れます(目安は専門職と同水準か、事案によりやや低め)
付加報酬と監督人報酬:基本額に上乗せされるもの
- 付加報酬:自宅の売却、遺産分割、訴訟対応など「特別な事務」があった年は、基本報酬の50%の範囲内を目安に加算されます
- 成年後見監督人・後見制度支援信託:親族後見人に監督人が付くと、監督人の報酬(目安:月1〜2万円、財産5,000万円超で月2.5〜3万円)が別途かかります
- 交通費などの実費も本人の財産から支出されます
誰が・いつ・どうやって払うのか
- 支払うのは本人(被後見人)の財産からです。家族の家計から払うものではありませんが、本人の財産が減る=将来の相続財産が毎月減っていくことと同義です
- 支払いは年1回が通常。後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立てをし、審判で決まった額を本人の口座から受け取ります
- 報酬額の審判に不服申立て(即時抗告)はできません。「高すぎるから外したい」という理由で後見人を解任することもできません
総額はいくらになるか+払えない場合
- 月2万円×10年=240万円、月3万円なら360万円。付加報酬や監督人報酬が加わればさらに増えます。後見は途中でやめられない(原則、本人の判断能力が回復するか亡くなるまで続く)ため、開始前に総額で捉えることが重要です
- 本人の財産や収入が乏しい場合は、市区町村の「成年後見制度利用支援事業」による報酬助成が受けられることがあります。お住まいの自治体の窓口(高齢福祉課・社会福祉協議会)へ
- そもそも財産が少ない事案では、報酬負担の小さい親族後見や、市民後見人が選任される運用もあります
まだ間に合う家庭へ:報酬が「かからない」選択肢
後見の報酬は事後対策のコストです。本人に判断能力があるうちなら、家族信託(ランニング費用は原則ゼロ、初期費用のみ)や任意後見(報酬は契約で決められる)という選択肢があります。
「月数万円×一生」と「初期費用一括」の比較は家族信託と成年後見の違いの記事や費用の記事で確認できます。すでに判断能力が失われている場合は後見一択です。その場合の申立て手順はこちらの記事へ。
まだ間に合うなら、無料でつくる
判断能力があるうちなら家族信託契約書ツールへ。すでに判断能力が失われている場合は、成年後見の申立てガイドをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
親族が後見人なら報酬はゼロにできますか?
親族後見人が報酬付与を申し立てなければ、報酬は発生しません。ただし家庭裁判所の判断で専門職の監督人が付くと、監督人報酬(月1〜2万円程度)は避けられません。また、無報酬での長期の事務負担は続きにくいのも実情です。労力に見合う形を最初に考えておきましょう。
報酬が払えないと後見人は辞めてしまいますか?
報酬が払えないことを理由に本人が放置されることはありません。前述の自治体の報酬助成の利用や、事案に応じた運用(市民後見人等)が検討されます。まずは申立て前に、自治体の窓口や家庭裁判所の後見センターで資力の事情を相談してください。
後見人の報酬は相続税の計算で控除できますか?
生前に支払った後見報酬は本人の財産から支出済みなので、その分相続財産は減ります。一方、死亡後の事務にかかる後見人の報酬・費用は取り扱いが分かれるため、相続税申告がある場合は税理士に確認してください。
まとめ
- 基本報酬の目安は月2万円。財産1,000万円超で3〜4万円、5,000万円超で5〜6万円
- 不動産売却等の年は付加報酬(基本の50%以内)、監督人が付けばその報酬も加算
- 支払いは本人の財産から、本人が亡くなるまで。10年で240万円〜の総額で考える
- 払えないときは自治体の助成制度。判断能力があるうちなら信託・任意後見の比較を
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。