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相続発生後

二次相続とは?一次相続で配偶者に寄せると損する理由と税額シミュレーション

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 10分で読めます

二次相続(にじそうぞく)とは、両親のうち後に残った親が亡くなったときの「2回目の相続」のことです。父が亡くなる相続が「一次相続」、その後に母が亡くなる相続が「二次相続」にあたります。

一次相続では「とりあえず全部お母さんに」で税金がゼロになることが多いのですが、その選択が二次相続の税額を大きく跳ね上げることがあります。この記事では、その仕組みを数字で確認し、今からできる対策を整理します。

二次相続とは|一次相続との違い

一次相続(例:父が死亡) 子2 相続人:母+子2人(3人) 配偶者の税額軽減が使える 基礎控除 4,800万円 二次相続(母が死亡) 子2 相続人:子2人だけ(2人) 配偶者の税額軽減が使えない 基礎控除 4,200万円に減少 ※ 相続人が1人減るため基礎控除も600万円縮小。守りの弱い相続が二次相続です
図1:一次相続と二次相続。同じ家の相続でも「守り」の条件がまったく違います。

相続税対策で本当に見るべきなのは、一次と二次の「2回分の合計税額」です。一次相続の税額だけを最小化する分け方は、多くの場合、合計では損をします。

なぜ二次相続は税負担が重くなるのか(4つの理由)

No.理由内容
1配偶者の税額軽減が使えない一次相続では、配偶者が取得した財産のうち1億6,000万円または法定相続分まで相続税がかからない強力な軽減があります。二次相続には配偶者がいないため、この軽減が丸ごと使えません
2基礎控除が600万円減る基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。相続人が1人減る二次相続では控除も縮みます(基礎控除の計算
3親の固有財産が上乗せされる二次相続では、一次で引き継いだ財産に母自身の預金・保険などの固有財産が合算され、課税対象が膨らみます
4小規模宅地等の特例が使いにくい一次相続では配偶者は無条件で自宅の8割減特例を使えますが、二次相続で子が使うには同居などの要件が必要です(小規模宅地等の特例

税額シミュレーション|「全部母に」と「半分ずつ」で810万円の差

前提:父の遺産1億6,000万円/相続人は母と子2人/母の固有財産はなし/一次相続で母が取得した財産を、二次相続でそのまま子2人が相続。特例・控除は配偶者の税額軽減と基礎控除のみ考慮した簡易計算です。

プランA
一次で母が全額取得
プランB
一次で法定相続分どおり
(母1/2・子1/4ずつ)
一次相続の相続税0円
(配偶者の税額軽減で全額カバー)
約860万円
(子2人の負担分。母の分は軽減で0)
二次相続の相続税約2,140万円
(母の遺産1.6億円を子2人で相続)
約470万円
(母の遺産8,000万円を子2人で相続)
2回分の合計約2,140万円約1,330万円
2,000万 1,000万 0 合計 約2,140万円 二次 2,140万 プランA:全部母に 合計 約1,330万円 一次 860万 二次 470万 プランB:法定相続分どおり ※ 遺産1.6億円・母+子2人の簡易試算。差額 約810万円
図2:一次で税額ゼロのプランAが、合計では約810万円高くつく試算例。
よくある誤解

「一次で税金がかからなかった=得をした」ではありません。配偶者の税額軽減は課税の免除ではなく“先送り”の性格を持ち、寄せた財産は二次相続で、軽減なし・基礎控除縮小のなかで課税されます。

一次相続の分け方を決める考え方

ただし、「一次で子に多く分けるほど正解」と機械的に考えるのも危険です。次の3つの軸で決めてください。

① 母の生活資金を最優先する──税額の最適化より、残された親の生活・介護・施設資金の確保が先です。老後資金を削ってまで節税に寄せるのは本末転倒です。
② 財産の種類で振り分ける──値上がりしそうな財産・収益を生む財産は一次で子へ、母の生活に必要な現預金・自宅は母へ、が定石です。母に寄せた財産の値上がり分は、二次相続の課税対象を膨らませます。
③ 母の固有財産と年齢を織り込む──母自身に財産が多い場合、一次で寄せる余地はさらに小さくなります。逆に母が長生きすれば、生前贈与などで二次相続対策を行う時間を確保できます。

今からできる3つの二次相続対策

対策①:一次相続の遺産分割を「2回分の合計」で設計する

最大の対策は、一次相続の協議の時点で二次を見据えることです。分け方が決まったら遺産分割協議書に落とし込みます。父がまだ健在なら、遺言書で「母へ寄せすぎない配分」を指定しておくのが最も確実です。

対策②:母から子への生前対策を早めに始める

二次相続までの期間は、暦年贈与や相続時精算課税を使った移転のチャンスです。制度の選び方は「相続時精算課税制度をわかりやすく」「生前贈与の7年ルール」をご覧ください。贈与のつど贈与契約書を残すのが鉄則です。

対策③:生命保険の非課税枠を「母の相続」でも使えるようにする

二次相続でも500万円×法定相続人の数の生命保険非課税枠は使えます。母名義の一時払い終身保険などで現預金を保険に置き換えておくと、非課税枠の活用と納税資金の確保を同時に実現できます(生命保険の相続税非課税枠)。なお、母の認知症で対策が止まる事態を防ぐ視点も重要です(認知症対策はいつから始める?)。

よくある質問

二次相続はいつ起きるか分からないのに、計画できますか?

正確な時期は分かりませんが、「合計で課税される総額」は一次の分け方でほぼ決まります。時期が読めないからこそ、一次相続の協議時点でシミュレーションしておく価値があります。

父の相続からすぐに母も亡くなりました。税金は2回分かかりますか?

10年以内に相続が続いた場合、相次相続控除により、一次で納めた相続税の一部を二次の税額から差し引けます。期間が短いほど控除は大きくなります。適用には要件があるため税理士に確認してください。

母がまだ父の遺産分割の途中で亡くなりました(数次相続)。二次相続と同じですか?

似ていますが別の論点です。一次の分割が未了のまま次の相続が始まった状態は「数次相続」と呼ばれ、協議書の書き方に特有のルールがあります。「数次相続の遺産分割協議書の書き方」をご覧ください。

相続税がかからない家庭でも二次相続を考える意味はありますか?

あります。二次相続は税金よりも「分け方」で揉めやすい相続です。親という調整役がいないため、兄弟だけの協議は感情がぶつかりやすくなります(兄弟で相続が揉める6大原因)。母の遺言書が最も効く場面です。

二次相続で最も効くのは「母の遺言書」です

親という調整役がいない二次相続こそ、遺言書で協議自体をなくすのが最善の備え。下書きはステップに沿って無料で作成できます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事の税額計算は、配偶者の税額軽減と基礎控除のみを考慮した簡易試算であり、小規模宅地等の特例・債務・葬式費用などは反映していません。実際の税額は財産構成により大きく変わります。申告・対策の実行は税理士にご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)