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親が認知症の受診を嫌がる…病院に連れて行く7つの工夫

公開日 2026年8月25日 ・ 更新日 2026年8月25日 ・ 8分で読めます

「どこも悪くない」「失礼なことを言うな」——物忘れが気になって受診を勧めても、親が頑として応じない。これは特殊なケースではなく、認知症の受診でもっとも多い壁です。そして厄介なことに、正論で説得を重ねるほど本人は頑なになります。

効くのは説得ではなく入口の変更です。この記事では拒否の背景を3つに分け、それぞれに効く工夫を7つ紹介します。物忘れに気づいた時点の初動全般は「親の物忘れが増えたら最初にやる3つのこと」に、対策の締切の考え方は「認知症対策はいつから始める?」に委ねます。

この記事の要点

①拒否の理由は「自覚がない」「怖い・認めたくない」「病院そのものが嫌」の3つ。理由が違えば効く手も違う ②実務の定石は、認知症という言葉を使わず健康診断や別の不調に乗せる、かかりつけ医から勧めてもらう、家族が先に受診して相談する ③どうしても動かないときは地域包括支援センターへ。家族だけで先に相談できる。並行してお金の備えは待たずに進める

なぜ嫌がるのか——3つの理由

拒否の理由本人の状態効きやすい方向
①自覚がない本当に困っていると思っていない。指摘されると否定・立腹する物忘れを主題にせず、体調全般の確認として誘う
②怖い・認めたくない薄々気づいており、確定するのが怖い。プライドが盾になる「治療で良くなる場合がある」と可能性の話にする
③病院自体が嫌待ち時間・費用・移動の負担。もともと医療嫌いかかりつけ医の定期受診に組み込み、負担を減らす
複数の理由が重なることもあります。どれが主かを見立ててから声のかけ方を選んでください。

共通するのは、「認知症の検査に行こう」という直球がいちばん通らないということです。この一言が本人のプライドを直撃し、扉を閉ざします。

受診につなげる7つの工夫

  1. 健康診断に乗せる——「そろそろ健康診断の時期だから一緒に行こう」。物忘れは診察項目の一つとして自然に紛れます
  2. 別の不調を入口にする——血圧、眠り、めまい、足腰。本人が気にしている症状から入り、医師に橋渡ししてもらいます
  3. かかりつけ医から勧めてもらう——事前に事情を電話や書面で伝えておき、診察の場で医師の口から勧めてもらう。家族の言葉は聞かなくても、医師の言葉は聞く——これは非常に多いパターンです
  4. 子が自分の受診に付き添ってもらう形にする——「私が診てもらうから付いてきて」。同席のうちに医師が声をかけられます
  5. 孫や第三者の言葉を借りる——親子だと感情が先に立ちます。孫や親戚、近所の友人の一言が効くことがあります
  6. タイミングを選ぶ——体調が良く機嫌のいい時間帯に、短く切り出す。1回で決めようとせず「考えておいて」で種をまきます
  7. 行き先を変える——大きな病院ではなく、通い慣れた診療所から。移動や待ち時間の負担が減るだけで抵抗が下がります
やってはいけないこと

正論で追い込む、他の家族と一緒に囲んで説得する、本人の前で「ボケてる」と話す、力ずくで連れて行く。いずれも本人の尊厳を傷つけ、次の一手を難しくします。受診は目的ではなく手段です。関係を壊してまで急ぐと、その後の介護も財産の話も進まなくなります。

それでも動かないときの窓口

本人が動かないなら、家族だけで先に相談できます。入口は地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口・無料)。受診拒否は日常的な相談内容で、地域の事情に応じた進め方を助言してもらえます。

状況によっては、専門職が自宅を訪問して本人と関係を築き、受診や介護サービスの利用につなげる認知症初期集中支援チームのような仕組みを案内してもらえる場合もあります。名称や体制は自治体で異なるため、まずは電話で「受診を嫌がっている」と伝えるところから始めてください。

受診を待つ間に進めておくこと

受診が実現するまでに数か月かかることは珍しくありません。その間も進行は止まりません。待つ間にできることを並行して進めてください。

ひとつは記録。「同じ話を3回」「電気代の督促」など、いつ・何が・どれくらいの頻度かを残せば、受診できた日の診察が正確になります。

もうひとつがお金の備えです。ここが見落とされがちなのですが、家族信託・任意後見・遺言といった備えは、本人に判断能力があるうちにしか作れません。受診が遅れている間に判断能力が下がれば、預金も実家も動かせなくなります(できなくなること一覧)。医療の話と財産の話は、切り離して並行で進められます。どの備えが合うかは「4制度の比較」で確認してください。財産の話の切り出し方は「親に終活の話を切り出すには」が参考になります。

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よくある質問(FAQ)

どうしても受診してくれません。無理やり連れて行ってもいいですか?

力ずくは避けてください。一度こじれると次の受診がさらに遠のき、家族への不信感だけが残ります。代わりに、家族だけで先に動ける道があります。地域包括支援センターに相談すれば、状況に応じて職員が自宅を訪問して本人と関係を築いてくれる場合や、認知症初期集中支援チームなど受診につなげる仕組みを案内してもらえる場合があります。かかりつけ医に事前に事情を伝えておき、別件の受診時に医師から水を向けてもらう方法も有効です。急がば回れが結局は近道です。

嘘をついて連れて行くのは、本人を裏切ることになりませんか?

悩ましいところですが、実務では「嘘」ではなく「本当のことのうち、本人が受け入れやすい部分を前に出す」と考えます。健康診断も血圧の相談も実際に必要なことで、そのついでに物忘れも診てもらうのは事実の範囲です。避けたいのは、まったく事実に反する説明で連れて行き、診察室で話が違うと本人が気づく展開。これは強い不信を生みます。本人の尊厳を守りながら医療につなぐという目的を軸に、説明の順番を工夫してください。

診断がついたら、本人が落ち込んでしまうのではと心配です。

その心配は自然ですが、受診しないことの代償のほうが大きいのが実情です。物忘れの原因が薬の影響や別の病気で、治療により改善する場合があります。認知症だった場合も、早い段階なら進行を緩やかにする治療や、生活を支える介護サービスの利用につながります。告知の仕方は医師に相談でき、本人の性格や状態に配慮した伝え方を一緒に考えてもらえます。診断は終わりではなく、使える支援の入口が開く手続きだと捉えてください。

受診できるまでの間、家族は何をしておけばいいですか?

3つあります。①記録——いつ・何があった・どれくらいの頻度かをメモしておくと、受診できた日に診察の精度が上がります。②相談——地域包括支援センターへ家族だけで相談し、使える制度や支援の道筋を先に把握しておきます。③お金の備え——ここが見落とされがちですが、家族信託や任意後見といった財産管理の備えは本人に判断能力があるうちしか作れません。受診が遅れている間も進行は止まらないため、備えの検討は待たずに並行して進めてください。

まとめ

受診拒否に効くのは説得ではなく入口の変更です。理由が「自覚がない」「怖い」「病院が嫌」のどれかを見立て、健康診断に乗せる・別の不調から入る・かかりつけ医から勧めてもらうといった工夫を選びます。1回で決めようとせず、力ずくは避けること。動かないときは地域包括支援センターへ家族だけで相談できます。そして忘れてはいけないのが、受診を待つ間もお金の備えは並行して進められるということ。判断能力の締切は、受診の予定を待ってはくれません。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言を行うものではありません。物忘れや認知症の判断、治療や告知の方針は必ず医師にご相談ください。支援窓口の名称や体制は自治体により異なります。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)