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認知症になると株は売却できない|証券口座の凍結と家族ができる対策【信託・代理人登録】

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 8分で読めます

銀行預金の凍結は広く知られるようになりましたが、証券口座も同じように凍結します。本人の意思確認ができなくなると、株式・投資信託は売却も出金もできません。

株の凍結が預金より深刻なのは、相場が下がっても売れず、含み損が膨らむのをただ見ているしかなくなることです。結論:事前なら「家族信託(証券会社の信託口座)」「代理人登録」「任意後見」の3つ、事後は「成年後見」のみ。この記事では対策の使い分けと、意外と知られていないNISAの注意点まで解説します。

証券口座の凍結で起きること

  • 売却・解約・出金・住所変更などの取引がすべて停止します。証券会社が本人の判断能力の低下を把握した時点(電話での意思確認ができない等)で取引は止まります
  • 暴落局面でも損切りできない――「売り時」の判断が必要な資産なのに、判断する権限を誰も持てなくなります
  • 配当金や分配金は、受取方式によっては引き続き銀行口座へ入金されますが、その銀行口座も凍結すれば使えません
  • 信用取引や貸株がある場合は、決済・返済の対応が急務になります。放置はレバレッジ分だけ損失が拡大します

事前対策①:家族信託(最も広くカバー)

認知症と証券口座の対策図。凍結すると売却・出金が停止、事前対策は家族信託・代理人登録・任意後見、事後は成年後見のみでNISAは信託に移せない
図:認知症と証券口座 ― 事前3策・事後1策とNISAの注意。最大のリスクは「売れないまま下がる」ことです。
  • 上場株式・投資信託も信託財産にできます。信託口座(証券版の信託口口座)を開設できる証券会社に受託者名義の口座を作り、株式を移管します(対応する証券会社は限られるため要確認)
  • 以後は受託者(子)が売却のタイミングを判断・実行でき、売却代金は受益者(親)の介護費に充てられます
  • 配当・売却益は税務上は受益者(親)の所得として扱われます。特定口座(源泉徴収あり)の扱いは移管先の口座条件によるため、開設時に確認を
  • NISA口座の株式は信託に移せません。信託財産にするには課税口座への払出しが必要で、非課税メリットは失われます。NISA分をどうするかは金額と相場観を見て判断を

事前対策②③:代理人登録と任意後見

  • 代理人登録制度:一部の証券会社には、家族を代理人として登録し、出金や売却の一部を代理できる制度があります。対象範囲・可否は証券会社ごとに大きく異なるため、口座のある会社に「認知症に備えた代理人制度」の有無を確認してください
  • 任意後見:本人が元気なうちに任意後見契約を結んでおけば、発効後に任意後見人が売却等を行えます。ただし任意後見監督人の報酬が発生し、運用の継続より保全(現金化)方向の管理になりがちです

3つの優先順位は資産構成次第ですが、「相場判断を伴う資産を家族の裁量で動かしたい」なら信託が最有力です。

事後の対策:成年後見(できることの限界も知る)

  • すでに判断能力が失われている場合、成年後見人を選任すれば売却・出金が可能になります
  • ただし後見人ができるのは本人のための保全的な処分まで。新たな買付けなどの「運用」は原則できません。ポートフォリオは事実上、現金化・維持の一方通行になります
  • 後見の報酬は本人が亡くなるまで続きます。証券資産が大きい家庭ほど、事前対策の費用対効果は高いと言えます
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よくある質問(FAQ)

親のIDとパスワードを預かって、家族が代わりに売却してはだめですか?

やめてください。本人以外がログインして取引することは、証券会社の規約違反(なりすまし取引)であり、発覚すれば口座凍結の引き金になります。他の相続人から「勝手に売った」と追及される火種にもなります。正規のルート(信託・代理人登録・後見)で行いましょう。

信託した株の配当は誰のものになりますか?

受益者である親のものです。受託者の信託口座で受け取り、親の生活費・介護費に充てます。税務上も親の所得として扱われ、確定申告が必要な場合も親の申告に含めます。受託者が自分のために使うことはできません。

認知症と診断されたら、もう信託は間に合いませんか?

診断=即アウトではありません。基準は契約時に契約内容を理解できる意思能力があるかです。軽度であれば、公証人の面前での確認を経て契約できた例は多くあります。ただし進行は待ってくれません。「まだ大丈夫」と思った今が、動ける最後の時期かもしれません。

まとめ

  • 証券口座も凍結する。最大のリスクは「値下がりしても売れない」こと
  • 事前対策は信託口座での家族信託・代理人登録・任意後見。裁量を残すなら信託
  • NISAは信託に移せず、非課税は失われる。移すか残すかは金額次第
  • 事後は成年後見のみ。売却はできるが運用はできず、報酬は一生続く

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。信託口座に対応した証券会社の情報や税務の扱いは変更されることがあります。最新情報は各証券会社・税理士にご確認ください(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。