ホーム / ゾウゾクノート / 海外在住の相続人の相続税と納税管理人
海外在住の相続人の相続税|納税管理人の選任・届出・申告と納税
海外に住む相続人は、どうやって日本の相続税を申告し、納税し、書類を受け取るのか——答えが「納税管理人」で、日本国内に代理の窓口を置く仕組みです。
必要な理由、誰がなれるか、届出の方法と期限、役割、相続税以外の納税管理人、課税範囲を整理します。海外在住の相続人の遺産分割の手続き(署名証明など)は「海外在住の相続人がいる相続手続き」をどうぞ。
①日本に住所がない相続人が相続税を申告・納税するには、日本国内に「納税管理人」を選任して届け出る。申告書の提出、通知の受取、納税、還付の受取を代行する ②日本に住む親族や税理士がなれる。申告書の作成の代行は税理士のみ ③「納税管理人届出書」を故人の最後の住所地の税務署に、申告期限(10か月)までに提出する。届出がないと申告も納税もできず、加算税と延滞税の対象 ④課税範囲は住所歴で決まり、故人が日本に住んでいれば全世界の財産が対象。家賃収入があれば所得税の納税管理人も別途必要
納税管理人とは——海外在住者の申告・納税の窓口
税務署からの通知は日本国内の住所にしか届かず、申告や納税も国内で行う必要があります。そこで日本国内に「納税管理人」を選任し、本人に代わって手続きを行わせるのがこの制度です。
行うのは、申告書の提出、通知の受取、納税(本人の資金で)、還付金の受取、税務調査の連絡窓口です。納税義務は本人にあり、納税管理人が負担するわけではありません。「窓口」であって「保証人」ではありません。
誰がなれるか・役割と責任
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なれる人 | 日本に住所のある個人または法人。日本に住む共同相続人や税理士が一般的 |
| できないこと | 税理士でなければ申告書の「作成」を業として代行できない |
| 責任 | 納税義務は負わない。事務を確実に行う責任 |
| 報酬 | 親族なら無報酬が多い。税理士なら申告報酬に含まれるか別途数万円程度 |
申告を税理士に依頼しているならその税理士を、いなければ日本に住む共同相続人を納税管理人にすることが多いです。共同相続人がなる場合、税額分の資金の受取や還付金の送金が生じるため、記録を残してください。
届出の方法・期限・届出がないと起きること
- 「納税管理人届出書」を作成する——本人の氏名・海外の住所、納税管理人の氏名・住所・続柄を記載し、両方が署名する
- 提出先——故人の最後の住所地の税務署(相続人の住所ではない)
- 期限——申告期限(10か月)まで。申告書と同時かそれ以前に
- 提出方法——窓口・郵送・電子申告。本人の署名が要るため郵送の時間を見込む
届出がないと——申告書が受け付けられず納税もできず、無申告加算税と延滞税の対象になります。相続税には連帯納付義務があり、未納分を日本の相続人が請求されることもあります。遺産分割協議と同時に納税管理人を決めてください(「相続税申告は自分でできる?」)。
課税範囲の判定と、相続税以外の納税管理人
課税範囲の判定——本人と故人の住所の履歴で決まります。
| 相続人の状況 | 課税される財産 |
|---|---|
| 故人が日本に住んでいた | 全世界の財産(相続人がどこに住んでいても) |
| 故人も相続人も海外だが、相続人が日本国籍で出国から10年以内 | 全世界の財産 |
| 故人も相続人も海外で、相続人が出国から10年超(または外国籍で一定の条件) | 日本国内にある財産のみ |
親が日本に住んでいたなら、子が海外に何年住んでいても全世界の財産が対象です。未成年者控除・障害者控除は日本に住所のない相続人には原則適用されません。判定は細かく分かれるため税理士に確認してください(「海外に資産がある人の相続」)。
相続税以外の納税管理人——賃貸不動産を相続して家賃収入を得るなら、所得税の納税管理人の届出が別途必要で、固定資産税も市区町村に届け出ます。税目ごとに届け出る点に注意してください(「相続で確定申告が必要になるケース」)。
海外の相続人の税額を見積もるには、財産の全体像から——国内財産と国外財産を分けて書き出した財産目録があれば、課税範囲の判定と納税資金の準備が進みます。画面のステップに沿って無料でつくれます。
財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
納税管理人になった兄が、海外の弟の相続税を代わりに払う義務はありますか?
ありません。納税管理人は窓口であって、納税義務は弟本人にあります。ただし連帯納付義務により、弟が払わなければ兄を含む他の相続人に請求が来る可能性があります。弟が税額分を兄の口座に送金し、兄が納める形にして記録を残してください。
納税管理人の届出は、遺産分割が終わってからでよいですか?
申告期限(10か月)までに届け出れば足りますが、本人の署名が要り郵送に時間がかかるため早めに。分割が間に合わなければ未分割のまま法定相続分で申告する必要があり、そのときも納税管理人が要ります。海外の相続人がいるとわかった時点で進めるのが安全です。
海外在住の相続人が日本に一時帰国して、自分で申告・納税できますか?
可能ですが、その後の税務署からの通知(修正・還付・調査)を受け取る国内の窓口がないと手続きが滞ります。申告後の連絡は数年続くことがあるため、一時帰国で申告する場合も届出をしておくのが実務です。
相続人全員が海外在住です。誰を納税管理人にすればよいですか?
日本に住む親族(相続人以外でも可)か税理士です。申告を税理士に依頼するなら、その税理士が兼ねるのが最も確実です。日本に窓口がなければ、司法書士・税理士に相続手続きと納税管理人をまとめて依頼する形が一般的です。
まとめ
海外に住む相続人が日本の相続税を申告・納税するには、日本国内に「納税管理人」を選任し、故人の最後の住所地の税務署に届け出る必要があります。納税管理人は日本に住む親族や税理士がなれ、申告書の提出・通知の受取・納税・還付の受取を代行しますが、納税義務は本人にあります。申告期限(10か月)までに届出がないと申告できず、無申告加算税と延滞税の対象に。課税範囲は故人と相続人の住所歴で決まり、故人が日本に住んでいれば全世界の財産が対象。賃貸不動産を相続すれば所得税・固定資産税の納税管理人も別途届出してください。
財産目録を、無料でつくりませんか
国内財産と国外財産を分けて書き出せば、課税範囲の判定と納税資金の準備が進みます。財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。
あわせて読みたい
この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。