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相続発生後

親の借金は相続される?信用情報3社での調べ方と3か月の判断期限

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 10分で読めます

結論から言うと、親の借金は原則としてそのまま相続されます。プラスの財産だけ受け取って借金だけ拒否することはできません。ただし相続放棄をすれば、借金を1円も引き継がずに済みます

問題は、放棄すべきかどうかを判断する材料──「借金がいくらあるのか」が分からないことです。この記事は、その調査のやり方に絞って解説します。放棄すると決めた後の手続きは「相続放棄の手続きを自分でやる方法」をご覧ください。

まず結論|借金と相続の基本ルール

よくある疑問答え
借金も相続されるの?されます。預金や不動産と同じく、借金・保証債務も相続の対象です
プラスの財産だけ受け取れる?できません。受け取るなら借金ごと、手放すなら全部(相続放棄)が原則です
相続放棄すれば借金はゼロ?ゼロになります。ただし預金・実家などプラスの財産も一切受け取れません
生前に「借金は払わない」と約束していたら?家族内の約束に効力はありません。債権者には対抗できず、放棄しない限り請求されます
親の保証人・連帯保証も引き継ぐ?引き継ぎます。しかも信用情報に載らないことがあり、最も見落としやすい債務です

タイムリミットは3か月|調査はすぐ始める

相続放棄ができるのは、原則として「自分のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内(熟慮期間)です。この3か月は「悲しむ期間」ではなく「調査して決断する期間」だと考えてください。

死亡を知った日 3か月の期限 ① 借金の調査(〜1.5か月) ② 判断(〜2か月) ③ 放棄なら申述の準備 間に合わないときは「期間伸長の申立て」 調査に時間がかかる場合、家裁に期間延長を申し立てられる ※ 起算点は「死亡日」ではなく「知った時」。詳しくは期限経過後の記事を参照
図1:3か月のうち前半を調査に充てる時間配分。延長の申立てという保険もあります。

調査が3か月で終わりそうにない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てられます。また、期限を過ぎてから借金が発覚した場合でも受理される余地はあります(「相続放棄の期限が過ぎたら?」参照)。ただし、どちらも例外的な救済です。原則は「3か月以内に調べて決める」と考えて動いてください。

借金の調べ方①:信用情報機関3社への開示請求

貸金業者・カード会社・銀行からの借入れは、信用情報機関に記録されています。相続人は、法定相続人であることを示す書類(戸籍など)を添えて、亡くなった親の信用情報の開示を請求できます。機関は3つあり、加盟している業種が違うため、漏れなく調べるなら3社すべてに請求するのが鉄則です。

機関主な加盟業種分かる借金の例
CICクレジットカード会社・信販会社カードのリボ・分割、ショッピングローン
JICC消費者金融・貸金業者カードローン、キャッシング
KSC
(全国銀行協会)
銀行・信用金庫・信用組合など銀行カードローン、住宅ローン、教育ローン

請求方法は郵送(一部はオンライン)で、手数料は1社あたり1,000〜2,000円程度。必要書類の典型は、開示申込書、親の死亡と相続関係が分かる戸籍謄本等、請求者の本人確認書類です。細かい様式は各機関の案内に従ってください。開示結果には借入先・残高・延滞の有無が一覧で出るため、負債調査の土台になります。

開示結果の読み方のコツ

残高だけでなく「延滞・代位弁済・保証履行」の記録に注目してください。これらがある場合、遅延損害金で実際の債務が膨らんでいたり、保証会社からの請求が控えていたりする可能性があります。

借金の調べ方②:信用情報に出ない借金の探し方

信用情報3社で分かるのは、加盟業者からの借入れだけです。次の債務は信用情報に載りません。遺品・書類からの調査を並行してください。

信用情報に出ない債務探し方の手がかり
個人間の借金(知人・親族から)借用書・金銭消費貸借契約書、手帳・スマホのやり取り
連帯保証・保証債務保証契約書、経営していた会社の借入資料(個人事業主が死亡したときの手続き
滞納した税金・社会保険料督促状、市区町村・年金事務所からの通知
滞納家賃・医療費・立替金請求書、大家・病院からの連絡
不動産担保の借入れ不動産の登記事項証明書を取得し、抵当権・根抵当権の設定を確認(法務局で誰でも取得可)

あわせて、郵便物を最低2〜3か月は保管・確認してください。請求書や督促状は、最も確実な「向こうから来る手がかり」です。プラスの財産の洗い出しと同時に進め、財産目録にプラス・マイナス両方を書き出すと、判断材料が1枚に揃います。

調査中にやってはいけないNG行為

これをすると相続放棄ができなくなる恐れ(法定単純承認)

相続財産を処分・消費すると、相続を承認したとみなされ、後から放棄できなくなる可能性があります。調査が終わるまで、次の行為は避けてください。

・親の預金を引き出して使う/自分の口座に移す
・親の財産(現金・預金)から借金を返済する──「良かれと思って一部返済」が典型的な失敗です
・車や貴金属を売る、名義を変える、形見分けで高価な物を持ち帰る
・賃貸の解約返戻金や過払い金を受け取って使う

なお、社会通念上相当な範囲の葬儀費用の支出など、直ちに単純承認とならないと判断された例もありますが、境界は個別判断です。迷う支出は自分の財布から立て替え、領収書を残すのが最も安全です。債権者から請求の電話が来ても、「相続するかどうか調査中です」と伝えるにとどめ、支払いの約束をしないでください。

調査結果からの判断|3つの選択肢

選択肢内容向くケース
単純承認プラスもマイナスもすべて相続する(何もしなければ自動的にこれ)明らかにプラスの財産 > 借金のとき
相続放棄家庭裁判所への申述で、初めから相続人でなかったことにする明らかに借金 > プラスの財産のとき(手続きはこちら
限定承認相続で得たプラスの財産の範囲内でだけ借金を返す調査してもなおどちらが多いか分からないとき(相続人全員での申述が必要)

相続放棄を選ぶ場合は2つの注意点があります。第一に、放棄すると次順位の相続人(親の兄弟など)へ借金の相続権が移るため、親族への連絡がマナーであり実務でもあります。第二に、住宅ローンは団体信用生命保険(団信)で死亡時に完済される契約が多く、団信付きの住宅ローンは「借金」に数えないのが正解です。放棄を決める前に、ローンの団信の有無を金融機関に必ず確認してください。

よくある質問

親が生きているうちに、借金があるか調べられますか?

信用情報の開示請求は本人(または本人の委任を受けた代理人)しかできないため、子が勝手に調べることはできません。生前にできるのは、本人に開示請求をしてもらうか、財産と負債をエンディングノートや財産目録に書き出してもらうことです(親に終活の話を切り出すには)。

借金の額のほうが多くても、実家だけは残せませんか?

相続放棄をすると実家も手放すことになります。どうしても残したい場合、限定承認における先買権(鑑定評価額を支払って引き取る仕組み)など高度な選択肢もありますが、手続きが複雑なため必ず専門家に相談してください。

時効になっている古い借金も払う必要がありますか?

長期間請求されていない借金は消滅時効(多くの場合5年)を援用できる可能性があります。ただし一部でも支払うと時効を主張できなくなる恐れがあるため、古い督促状が出てきたら支払わずに弁護士・司法書士へ相談してください。

調査費用はどのくらいかかりますか?

自分で行えば、信用情報3社の開示手数料と戸籍・登記事項証明書の実費で1万円前後が目安です。専門家に負債調査から依頼する場合の費用感は「相続を専門家に頼む費用の相場」をご覧ください。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的助言を行うものではありません。単純承認にあたるかどうかの判断や限定承認・時効援用の可否は事案により異なります。判断に迷う場合は、期限内に弁護士・司法書士へご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)