信託帳簿はエクセルでOK|受託者の帳簿のつけ方・保存期間・無料テンプレート
受託者には信託法37条で帳簿等の作成・保存義務が定められています。「帳簿」と聞くと簿記や会計ソフトを想像して身構える方が多いのですが、結論から言うと、家族信託の帳簿はエクセルの「現金出納帳」レベルで十分です。複式簿記も勘定科目も必須ではありません。
大事なのは形式より継続と証拠です。この記事では、最低限そろえる書類、エクセルの列の作り方、続けるための運用ルール、保存期間までを具体的に示します。
受託者が作る書類は3つだけ
- ①信託帳簿(随時):信託口口座の入出金を記録する台帳。エクセルの現金出納帳形式でOK
- ②財産状況開示資料(年1回):信託財産が今いくらあるかの一覧(残高+不動産等)。帳簿から作成できます
- ③証拠書類の保存:レシート・請求書・通帳コピー・契約書類。帳簿の行と領収書を番号でひも付けます
- 保存期間:帳簿は作成から10年間、財産状況開示資料は信託の清算結了まで、その他の書類は作成・取得から10年間が原則です(信託法37条)
エクセル帳簿の列構成(テンプレの中身)
- 日付/摘要(何のための入出金か)/相手先/収入/支出/残高/領収書Noの7列が基本形です
- 摘要は「介護施設利用料(○○苑 4月分)」のように受益者のための支出だと第三者が読んで分かる書き方にします
- 残高列は信託口口座の通帳残高と一致させます。「通帳と合っている」ことが帳簿の信頼性のすべてです
- 賃料収入がある信託は、収入の内訳(物件・部屋番号)列を追加しておくと毎年1月の計算書がそのまま作れます
続けるための運用ルール3つ
- 月1回、通帳記帳とセットで入力する。ためると摘要を思い出せなくなります。月30分が目安です
- レシートは月ごとの封筒に放り込むだけでOK。番号を振って帳簿とひも付ければ十分です
- 自分の財布と信託のお金の「立替え・仮払い」を放置しないこと。混ざった状態が続くと分別管理義務違反を疑われ、家族の不信の火種になります。立て替えたら月内に精算し、帳簿に残します
帳簿を「見せる」相手と場面
- 受益者(親)から求められたら開示する義務があります。年1回の報告時に他の家族(兄弟)にも共有するのが、疑念を防ぐ最良の運用です
- 信託監督人・受益者代理人がいる場合はその求めに応じます
- 賃料など年3万円超の収益がある信託は、毎年1月31日までに「信託の計算書」を税務署へ提出します。帳簿がきちんとあれば転記するだけです
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よくある質問(FAQ)
会計ソフトや複式簿記は必要ですか?
不要です。信託法は帳簿の様式を定めておらず、信託財産の状況が明らかになる記録であれば形式は自由です。金銭と自宅だけの一般的な家族信託なら、エクセルの現金出納帳形式で義務を果たせます。賃貸物件が複数あるなど規模が大きい場合のみ、会計ソフトの利用を検討すれば足ります。
領収書が出ない支出(お小遣い・現金手渡し)はどう記録しますか?
帳簿に日付・金額・目的を記録し、可能なら受け取った本人のサインやメモを残します。「記録がある」ことが「使い込みではない」ことの唯一の証明です。現金手渡しはなるべく減らし、施設や業者への直接振込に寄せていくのが安全です。
帳簿をつけ忘れて数か月空いてしまいました。
通帳の履歴から遡って再現しましょう。信託口口座に取引が集約されていれば、通帳=ほぼ帳簿の原本なので復元できます。摘要が思い出せない入出金には「要確認」と正直に書き、以後は月1回ルールに戻せば問題ありません。
まとめ
- 帳簿は信託法37条の義務。ただし現金出納帳レベルのエクセルで十分
- 7列(日付・摘要・相手先・収入・支出・残高・領収書No)+通帳一致が基本形
- 月1回の入力と年1回の家族共有が、義務の履行と家族の信頼を両立させる
- 保存は10年。収益3万円超なら毎年1月の計算書まで見据えて記録する
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。
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