ホームゾウゾクノート / 法務局の遺言書保管制度とは

遺言書の付随書類

法務局の遺言書保管制度とは?手数料3,900円・申請手順・メリットと注意点を完全ガイド

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 9分で読めます

自筆証書遺言のいちばんの弱点は、書いた後にあります。自宅保管では、紛失する・誰にも発見されない・一部の相続人に破棄や改ざんをされる、というリスクが常につきまとい、さらに相続開始後には家庭裁判所の検認という手間のかかる手続きが必要でした。

この弱点をまとめて解消するのが、2020年に始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度です。1通3,900円で法務局が原本を預かり、検認も不要になります。自筆証書遺言を書くなら、保管制度とセットで使うのが現在の定石です。

この記事では、制度でできること・できないこと、申請の手順と必要書類、つまずきやすい様式ルール、そして死亡時通知という重要オプションまで解説します。

制度の全体像:できること・できないこと

法務局の遺言書保管制度の流れ。遺言書を作成し予約して申請、外形チェックを経て保管開始。生前は閲覧・撤回が可能、相続開始後は相続人が証明書を取得できる
図:遺言書保管制度 ― 申請から相続開始後まで。チェックされるのは方式・様式のみで、内容の有効性までは保証されません。

できること(メリット)

  • 紛失・隠匿・改ざんの防止:原本と画像データを法務局が保管
  • 家庭裁判所の検認が不要になる:相続開始後、すぐに手続きに使える
  • 方式の外形チェック:預ける際に、自書・日付・押印・様式の形式面を確認してもらえる(無効遺言の主要因を実質的に潰せる)
  • 死亡時通知:あらかじめ指定した1名に、死亡時に法務局から遺言書保管の事実が通知される(「発見されない」リスクの解消)

できないこと(注意点)

  • 内容の有効性は保証されない:チェックは形式面のみ。誰に何を相続させるかの内容、遺留分への配慮などは自分(+必要なら専門家)で詰める必要があります
  • 相談・添削はしてもらえない:法務局は書き方の相談窓口ではありません
  • 本人の出頭が必須:代理申請・郵送申請はできません(介護状態等で出頭が難しい方は公正証書遺言の出張作成を検討)

様式ルール――ここでつまずく人が最多

保管制度には、通常の自筆証書遺言のルール(全文自書・日付・氏名・押印)に加えて、独自の様式ルールがあります。窓口で不適合となり出直しになる典型原因なので、作成前に必ず確認してください。

  • 用紙はA4。文字の判読を妨げる模様や彩色のない紙
  • 余白の指定:上5mm・下10mm・左20mm・右5mmを必ず空ける(余白への書き込みも不可)
  • 片面のみに記載(裏面使用不可)
  • 各ページにページ番号(例:1/3)を記載
  • 複数ページでもホチキス・封筒とじはしない(封のない状態で提出)

当サイトの遺言書 無料作成ツールは、この様式ルールに沿った下書き(A4・余白設定済み)を出力します。下書きを見ながら清書すれば、窓口での様式不適合をほぼ防げます。

申請の手順:5ステップ

  1. 遺言書を作成する(本文自書・財産目録はPC可。書き方は「自筆証書遺言の書き方」参照)
  2. 申請先の法務局を選ぶ:①住所地 ②本籍地 ③所有不動産の所在地、のいずれかを管轄する遺言書保管所
  3. 申請書を作成する(法務省サイトからダウンロード可)+予約を取る(専用サイトまたは電話。予約必須)
  4. 当日、本人が出頭:遺言書(封をしない)・申請書・本籍記載の住民票(作成後3か月以内)・顔写真付き本人確認書類・手数料3,900円(収入印紙)を持参
  5. 保管証を受け取る:保管番号が記載された重要書類。家族に保管の事実を伝える際にも使うため大切に保管

預けた後の変更・撤回・住所変更

  • 内容を書き直したい:新しい遺言書を作成して預け直す(古いものは撤回の申請で返却を受けられる)。撤回自体の手数料は無料
  • 氏名・住所が変わった:変更届出が必要(無料)。怠ると死亡時通知等に支障が出る可能性
  • 閲覧したい:本人はいつでも閲覧可能(モニター閲覧1,400円・原本閲覧1,700円)

相続開始後の手続き(家族向け)

相続人側は、遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求することで、遺言の内容を証明する書面を取得でき、これを使って登記や預金の手続きを進めます。検認は不要です。なお、相続人の一人が証明書を取得すると、他の相続人にも遺言書が保管されている旨が通知される仕組みになっており、透明性が保たれます。

zouzokuのご案内

様式ルールに沿った下書きを、無料でつくる

遺言書 無料作成ツールで様式ルールに沿った下書きを作り、清書して法務局へ――が最短ルートです。財産目録ツールもあわせてご利用ください(すべて無料・登録不要)。

よくある質問(FAQ)

自宅保管・公正証書遺言と比べてどれがいい?

費用と確実性のバランスで、①内容がシンプル→自筆+保管制度(3,900円)、②複雑・紛争リスクあり→公正証書遺言、③自宅保管→おすすめしません、が目安です。

預けたことは家族に知られますか?

生前は、本人が伝えない限り知られません(家族が照会しても回答されません)。だからこそ、保管の事実だけは家族に伝えるか、死亡時通知の指定をしておくことが重要です。

財産目録も一緒に預けられますか?

はい。遺言書の一部として、パソコン作成の財産目録(全ページ署名押印済み)も併せて保管されます。目録も様式ルール(A4・余白・ページ番号)の対象なので注意してください。

保管期間はいつまでですか?

原本は遺言者の死亡後50年、画像データは150年間保管されます。実務上「期限切れ」を心配する必要はありません。

まとめ:3,900円で自筆証書遺言の弱点をすべて消す

  • 保管制度は、紛失・改ざん・不発見・検認という自筆証書遺言の4大弱点を一括解消する
  • チェックは形式面のみ。内容の設計は自分+専門家で
  • 様式ルール(A4・余白・片面・ページ番号)が最大のつまずきポイント
  • 死亡時通知の指定と、家族への一言があって初めて制度は完成する

遺言書の下書きを、無料でつくりませんか

ステップに沿って入力するだけ。会員登録不要・入力目安10〜15分。

あわせて読みたい

この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:手数料・様式は変更される場合があります。最新情報は法務省・各遺言書保管所にご確認ください(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。