財産目録の書き方とテンプレート|遺言添付用はパソコン作成OK・記載例つきで解説
財産目録とは、その名のとおり財産の一覧表です。地味な書類に見えますが、実は終活・相続のあらゆる場面で登場する共通部品で、①遺言書に添付する、②相続発生後に遺産分割協議の土台にする、③家族信託で信託する財産を特定する、という3つの主要な使いみちがあります。
そして2019年の法改正以降、遺言書に添付する財産目録はパソコンで作成してよいことになりました。手書き不要で、通帳のコピーや登記事項証明書の添付でも代用できます。つまり財産目録は、「正確に・楽に」作れる時代になっています。この記事では、載せるべき財産の棚卸しから、財産別の記載例、用途別の注意点までを解説します。
まず棚卸し:財産目録に載せるもの一覧
見落としやすいのは次の3つです。
- マイナスの財産:借入金・ローン・保証債務。相続では負債も引き継がれるため、相続放棄の判断(3か月以内)にも直結する最重要情報です
- デジタル資産:ネット銀行・ネット証券・暗号資産・サブスク契約。通帳がなく、家族が存在に気づけない典型例です
- 保険:死亡保険金は受取人固有の財産で厳密には相続財産と異なりますが、家族が請求しないと受け取れないため、目録に記載しておくべきです
財産別の記載例
預貯金
記載例:「〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号1234567」。遺言添付用なら金額は書かない(変動するため)のが実務です。相続後の協議用や家族信託用では、基準日を決めて残高を併記すると全体像がつかめます。
不動産
登記事項証明書のとおりに、土地は「所在・地番・地目・地積」、建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を書き写します。固定資産税の納税通知書は手がかりになりますが、表記が登記と異なることがあるため、最終確認は登記事項証明書で行ってください。
有価証券
記載例:「〇〇証券 〇〇支店 口座番号〇〇 〇〇株式会社 普通株式 100株」。証券会社と口座の特定が第一、銘柄・数量は変動前提で「口座内の全部」とする書き方も使えます。
負債
記載例:「〇〇銀行 住宅ローン 令和〇年〇月〇日現在残高 金〇〇円」。団体信用生命保険の有無も書いておくと、相続人の判断材料として非常に親切です。
遺言書に添付する場合の絶対ルール:全ページに署名・押印
パソコンで作成した財産目録を自筆証書遺言に添付する場合、目録の全ページ(用紙の両面に記載があるなら両面とも)に署名と押印が必要です(民法968条2項)。通帳コピーや登記事項証明書を目録として添付する場合も同じです。これを忘れると目録部分が方式違反となるため、印刷→署名押印→遺言本文とセットで保管、の流れを徹底してください。
遺言本文からは「別紙目録第1記載の不動産を長男に相続させる」のように目録を引用します。本文の書き方は「自筆証書遺言の書き方」の記事をご覧ください。
用途別の作り分け早見表
| 項目 | 遺言に添付 | 相続後の協議用 | 家族信託用 |
|---|---|---|---|
| 作成者 | 遺言者本人 | 相続人(通常は代表者) | 委託者(親)側 |
| 形式 | PC可・全頁署名押印 | 自由(署名押印不要) | 契約書の別紙として作成 |
| 金額の記載 | 書かないのが実務 | 基準日残高を記載 | 信託する金額を確定して記載 |
| 目的 | 財産の特定 | 分け方の土台・相続税の概算 | 信託財産の範囲の確定 |
家族信託用の目録(信託財産目録)は契約書の一部となり、信託口口座の開設や信託登記でも参照されるため、特に正確な特定が求められます。
エクセルで作る場合のコツ
- 1財産1行ではなく、種別ごとにシートまたは表を分ける(預貯金表・不動産表・証券表・負債表)と、遺言からの引用(「目録第1」「目録第2」)がしやすい
- 更新日を必ず入れる。財産は変動するため、年1回の棚卸し更新をおすすめします
- 印刷を前提にA4縦でレイアウトする(遺言添付時の署名押印は紙に対して行うため)
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よくある質問(FAQ)
財産目録だけ作れば、遺言書の代わりになりますか?
なりません。目録は財産の一覧にすぎず、「誰に相続させるか」の法的な指定は遺言書本文で行う必要があります。
財産目録の作成は義務ですか?
生前の作成は義務ではありません(相続開始後、相続財産の清算人や後見人等には作成義務が生じる場面があります)。ただし、遺された家族の負担を考えると「実質必須」の書類です。
財産額はどこまで正確に書くべきですか?
用途によります。遺言添付用は特定できれば金額不要、協議用・相続税の概算用は基準日を明記したうえでの残高記載が有用です。
家族に見られたくない財産があります。
生前は封をして保管場所だけ伝える、エンディングノートに保管場所を書く、といった方法があります。存在自体を隠すと、その財産は誰にも引き継がれずに眠るリスクがあることはご理解ください。
まとめ
- 財産目録は遺言・相続・家族信託に共通する土台書類。負債とデジタル資産を忘れずに
- 遺言添付用はパソコン作成OK。ただし全ページに署名押印
- 記載は「証書・通帳・登記事項証明書の表記どおり」が鉄則
- 年1回の更新で「生きた目録」に
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。