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生前の備え

夫婦間のお金の移動に贈与税はかかる?課税される線引き

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

「夫の給料を妻の口座に移して家計を管理している」「余った生活費を妻名義で貯めている」——ごく普通の家計のやりくりですが、夫婦でも別々の人。110万円を超えるお金が「あげた」形で動けば、贈与税の対象になります。

とはいえ、生活費や教育費のやり取りに税金はかかりません。線引きはどこか。この記事では、生活費・へそくり・口座移動・住宅の共有名義・保険という場面ごとに、課税される形とされない形を整理し、相続のときに問題にしない備え方まで解説します。自宅を配偶者に贈与する特例は「おしどり贈与は使うべき?」をどうぞ。

この記事の要点

①夫婦は互いに扶養義務があり、生活費・教育費・医療費として必要な都度渡すお金は贈与税の対象外。給与を配偶者の口座に移して家計管理することも、生活費に使う限り問題ない ②問題になるのは、生活費の余りを配偶者名義で貯める(へそくり)、まとまった額を配偶者名義の預金や投資に回す、出資割合と違う持分で住宅を登記する、保険料を払っていない人が保険金を受け取る形 ③夫婦間の贈与は110万円超に一般税率。例外はおしどり贈与だけ ④専業主婦名義の多額の預金は夫の名義預金として調査される。生活費と貯蓄を分け、贈与は契約書と振込で残す

原則——生活費のやり取りに贈与税はかからない

夫婦には互いに扶養する義務があり、生活費・教育費・医療費として通常必要な金額を必要な都度渡すことは贈与税の対象外です。夫の給与を妻の口座に振り込んで家計を管理する——こうした日常の動きに税金はかかりません。

非課税なのは「生活のために使われる」ことが前提です。生活費として渡したお金が使われずに配偶者名義で貯まっていくと、その部分は「財産の移転」と見られます。夫婦間で問題になるのは、ほぼすべてがこの「使わずに貯まった部分」です(「贈与税はいくらから?」)。

課税・名義預金になる4つの場面

場面問題になる形判定
へそくり夫の給与からの生活費の余りを、妻名義の口座に長年貯めている実質は夫の財産。夫の相続時に名義預金として相続財産に。妻への贈与とも見られ得る
口座移動夫の退職金や預金をまとめて妻名義の定期預金・投資信託に移す生活費の範囲を超える移転は贈与。110万円超の部分に贈与税
住宅の共有名義夫が全額出資したのに持分を夫婦半々で登記した出資と持分の差額は妻への贈与。住宅ローンを夫だけが返しているのに妻に持分がある場合も同じ
生命保険保険料を夫が払い、妻が被保険者で、受取人が子保険金は夫から子への贈与として贈与税の対象
夫婦間で贈与・名義預金と判定されやすい場面(2026年8月時点)。

最も多いのがへそくりです。専業主婦の妻名義で数千万円の預金があり、妻に収入の履歴がなければ、税務署は「原資は夫の収入」と見ます。妻名義でも夫の財産——夫の相続財産に加えられ、申告に入っていなければ申告漏れです。「夫からもらった」と主張すれば贈与税の問題に変わり、どちらにしても課税を免れません。

夫婦間の贈与にかかる税金——110万円と一般税率

夫婦間の贈与にも年110万円の基礎控除は使えますが、税率は特例税率ではなく一般税率。500万円を贈与すれば390万円に約53万円の贈与税がかかります。「夫婦だから軽い」ということはありません。

例外が二つ。①婚姻20年以上の夫婦間で自宅(またはその取得資金)を贈与する場合の2,000万円控除(おしどり贈与)。②扶養義務者間の生活費・教育費の都度負担。この二つ以外は、夫婦でも他人と同じルールです。

配偶者には相続税の税額軽減(1億6,000万円まで無税)があるため、贈与税を払って配偶者へ財産を移すことは税金の面では不利になりやすい。配偶者への財産の移転は相続で行うのが基本です。

相続で問題にしないための備え

  1. 生活費と貯蓄の口座を分ける——余りを妻名義口座に移す習慣をやめ、貯蓄は収入のある側の名義で。すでにあるへそくりは夫の財産として把握する
  2. 妻自身の収入は記録を残す——パート収入や妻の親からの相続など妻固有の財産は、原資がわかる通帳・書類を保管する
  3. 贈与するなら形を整える——年110万円以内で贈与契約書を作り、振込で渡し、受け取った側が管理する。「あげた」記録があれば名義預金にはならない
  4. 住宅は出資割合で登記する——頭金とローンの負担割合どおりの持分にする。すでにずれていれば、贈与税の申告か持分の更正登記を検討
  5. 財産を一覧にする——夫婦それぞれの名義の預金・保険・不動産を書き出し、原資が誰かを記す。申告と税務調査の説明の土台になる

夫婦間のお金は境界があいまいになりがちですが、相続と税務調査では厳密に「誰の財産か」を問われます。今から記録を整えることが最も確実な備えです。

配偶者への贈与も、契約書と振込で記録に——年110万円以内の贈与を「あげた・もらった」の形で残す贈与契約書の下書きを、画面のステップに沿って無料でつくれます。

贈与契約書をつくる

よくある質問(FAQ)

専業主婦の妻名義に2,000万円の預金があります。夫が亡くなったらどうなりますか?

原資が夫の給与や退職金なら、夫の名義預金として夫の相続財産に含めて申告するのが正しい扱いです。含めないと税務調査で最も指摘されやすい項目になります。妻のパート収入や実家からの相続など妻固有の原資が一部にあるなら、その分は妻の財産として区分し、書類で説明できるようにしておいてください。生前であれば、夫名義に戻す、または年110万円以内で正式に贈与するなどの整理が可能です。

夫の口座から妻の口座に、毎月の生活費として30万円振り込んでいます。問題ありますか?

生活費として使われている限り問題ありません。世帯の生活水準に照らして通常の範囲で、実際に食費・光熱費・教育費などに使われていれば非課税です。問題は、使い切れない分が妻名義で積み上がっていく場合です。年間数十万円以上が貯まるなら、貯蓄は夫名義の口座で行うか、貯まった分を年110万円以内の贈与として契約書で整理するのが安全です。

妻の親から妻がもらった相続財産を、夫名義の住宅ローン返済に使いました。

妻の財産で夫の債務を返した形なので、その金額は妻から夫への贈与とみなされ、110万円を超える部分に贈与税がかかる可能性があります。防ぐには、返済額に見合う住宅の持分を妻名義に移すか、夫婦間の貸し借りとして契約書を作り実際に返済する形にします。すでに返済した場合は、税理士に相談して申告か持分の調整を検討してください。

夫婦間で110万円以内の贈与を毎年しています。意味はありますか?

配偶者には相続税の税額軽減(1億6,000万円まで無税)があるため、配偶者への生前贈与で相続税を減らす効果は限られます。効果があるのは、配偶者の取得分が軽減の枠を超える場合や、二次相続まで見て妻の固有財産を増やしたい場合です。それ以外では子や孫への贈与のほうが効果は大きくなります。妻の生活の安心のために妻名義の財産を作る意味はあり、その場合は契約書と振込で形を整えてください。

まとめ

夫婦間のお金は、生活費・教育費として使う分は非課税ですが、余りを配偶者名義で貯める(へそくり)、まとまった額を配偶者名義の預金や投資に移す、出資と違う持分で住宅を登記する、保険料を払っていない人が保険金を受け取る——これらは贈与か名義預金と判定されます。夫婦間の贈与は110万円超に一般税率、例外はおしどり贈与と都度の生活費だけ。配偶者への財産移転は相続が基本で、備えは生活費と貯蓄の口座を分け、贈与は契約書と振込で残し、夫婦それぞれの財産と原資を一覧にすることです。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)