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住宅ローンの名義人が死亡したら|団信の請求・下りないケース・残債
「団信に入っていたから残債は消える」と聞いているが、何をすればよいのか——団信の保険金は、相続人が金融機関に請求しなければ支払われません。そして下りないケースもあります。
請求手順、下りないケース、ペアローン・連帯債務の扱い、残債が残るときの整理、完済後の登記を整理します。抵当権付き不動産の相続全体の流れは「抵当権付き不動産を相続したら?」をどうぞ。
①団信は債務者が死亡・高度障害になったとき保険金で残債を完済する保険。相続人が金融機関に連絡し、死亡診断書の写しなどを提出して請求する。時効は3年 ②下りないケース:告知義務違反、未加入(旧フラット35・健康上の理由)、免責期間内の自殺、失効。残債は相続債務になる ③ペアローンは亡くなった人の分だけ完済、連帯債務は契約による ④残債が残る場合、不動産を取得する相続人だけが債務を負う「免責的債務引受」を金融機関と合意する。完済後は抵当権抹消登記
団信の仕組みと請求手順——相続人が動かないと始まらない
団信は債務者が死亡または高度障害になったとき、保険金で残債を完済する保険です。金融機関が契約者・受取人で、民間の銀行ローンでは加入が融資の条件のことが多く、フラット35も現在は原則加入です。
- 金融機関に死亡を連絡する——ローンを組んだ銀行の窓口かローンセンターへ
- 必要書類を提出する——請求書(金融機関が用意)、死亡診断書の写し、故人の除籍謄本、相続人の本人確認書類など
- 保険会社の審査——告知内容と死因を確認。1〜2か月程度
- 保険金で完済・抵当権抹消——残債がゼロになり、金融機関から抹消登記の書類を受け取る
時効は死亡から3年。連絡が遅れると返済が引き落とされ続けることがあります。団信で完済されたローンは債務控除の対象になりません(「相続税の債務控除」)。
団信が下りないケース——告知違反・未加入・免責
| ケース | 内容と対処 |
|---|---|
| 告知義務違反 | 持病や通院歴を告知していなかった場合、契約を解除され支払われない。加入から2年を超えれば解除できないのが一般的だが、故意の重大な不告知は例外 |
| 加入していない | 旧フラット35で未加入、健康上の理由で加入できなかった、など。残債は相続債務 |
| 免責期間内の自殺 | 加入から1〜3年以内の自殺は免責とする約款が多い |
| 失効 | 延滞が続き、特約料が払われず失効していた場合 |
審査が放棄の期限(3か月)に間に合わないなら、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てることも検討してください。
ペアローン・連帯債務・収入合算の場合
- ペアローン——夫婦それぞれが別々に借り、互いに連帯保証人になる形。亡くなった人のローンだけが完済され、残った人のローンは残る
- 連帯債務(夫婦で一つのローン)——主債務者だけが団信に加入している契約が多く、主債務者の死亡で全額完済、連帯債務者の死亡では完済されない。夫婦連生団信なら両方カバー
- 収入合算(連帯保証型)——主債務者だけが加入。配偶者の死亡は残債に影響しない
契約書と団信の申込書の控えで確認でき、わからなければ金融機関に「団信の被保険者は誰か」を聞いてください(「共有名義の片方が亡くなったら?」)。
残債が残ったとき——免責的債務引受・売却・放棄と、完済後の登記
残債が残った場合、ローンは相続債務として相続人が法定相続分で引き継ぎます。実務では「家を相続する人がローンも引き継ぐ」ために免責的債務引受——不動産を取得する相続人が債務者となり、他の相続人は債務から外れる契約を、金融機関の承諾と審査を経て結びます。
- 引き継いで返済を続ける——免責的債務引受で名義を移す。引き継ぐ人が新たに団信に加入できるかも確認
- 売却して完済する——返済が難しければ売却。売却額が残債を下回るなら、金融機関と任意売却の相談
- 相続放棄——残債が家の価値を大きく上回るなら、3か月以内の放棄を検討(「相続放棄の手続きを自分でやる方法」)
団信で完済された場合も、引き継いで完済した場合も、抵当権は自動では消えず、抹消登記を申請して初めて消えます。金融機関から書類を受け取り、相続登記と一緒に申請してください(登録免許税は不動産1件1,000円)。
ローンの残債と団信の有無を、財産目録に——不動産・預金と一緒に住宅ローンの残高、団信の加入状況、ペアローンかどうかを書き出せば、相続の判断と手続きが進みます。画面のステップに沿って無料でつくれます。
財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
父が団信に入っていたかわかりません。どう調べればよいですか?
ローンを組んだ金融機関に、相続人として問い合わせるのが確実です。契約書や返済予定表に団信の記載があることもあります。民間の銀行ローンはほぼ加入が条件ですが、健康上の理由で加入を免除して融資を受けた例もあります。「加入していない」なら残債が相続債務になるため、放棄の期限内に財産と比べて判断してください。
団信の保険金が下りた後、返済していた分は戻りますか?
死亡日以降に引き落とされた返済分は、完済後に精算され相続人に返金されるのが一般的です。死亡前の返済分は戻りません。精算の方法は金融機関ごとに違うため、請求時に確認してください。死亡がわかった時点で早く連絡するのが最善です。
団信で完済されたら、相続税で住宅ローンを債務として引けますか?
引けません。団信で完済される住宅ローンは保険により消滅することが確実な債務として債務控除の対象外です。家そのものは相続財産として課税されます。団信のないローンの残債は債務控除の対象です。団信の保険金は金融機関が受け取るもので、みなし相続財産にもなりません。
母が家を相続しますが、ローンは団信がなく残っています。私(子)にも返済義務がありますか?
法律上は残債を相続人全員が法定相続分で引き継ぐため、子にも返済義務があります。母だけが債務者になるには、金融機関の承諾を得て「免責的債務引受」を結ぶ必要があり、母の返済能力の審査があります。協議書に「母が引き継ぐ」と書いても金融機関に対しては効力がありません。審査が通らなければ、売却して完済する選択も検討します。
まとめ
住宅ローンの名義人が亡くなったら、団信に加入していれば保険金で残債が完済されますが、相続人が金融機関に請求しなければ始まりません(時効3年)。告知義務違反・未加入・免責期間・失効なら下りず、残債は相続債務に。ペアローンは亡くなった人の分だけ、連帯債務は契約による。残債が残れば不動産を取得する人だけが債務を負う免責的債務引受を金融機関と結ぶか、売却か、3か月以内の放棄。完済後は抵当権抹消登記を忘れずに。団信の有無と残債を、財産目録で最初に確認してください。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。