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相続発生後

共有名義の片方が亡くなったら?持分の相続手続きと単独名義にする費用

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 9分で読めます

夫婦で1/2ずつの共有名義にしていた自宅──夫が亡くなったとき、夫の持分1/2が自動的に妻のものになるわけではありません。亡くなった方の持分だけが相続財産となり、遺言か遺産分割協議で「誰がその持分を取得するか」を決めて、相続登記をする必要があります。

この記事では、共有者の一方が亡くなったときの持分の行き先、単独名義にするまでの手続きと費用、そして放置したときに起きる「共有者ねずみ算」の危険を解説します。すでに複雑な共有状態になってしまった方は「共有名義を解消する方法」へどうぞ。

大原則:相続されるのは「亡くなった方の持分」だけ

妻の持分 1/2 夫の持分 1/2 夫婦共有の自宅 夫が死亡 夫の持分1/2だけが相続財産に 相続人(妻+子)全員の共有状態 → 遺言 or 協議で取得者を決める 妻の持分1/2はそのまま妻のもの 定石:妻が夫の持分を相続して「単独名義」にする → 以後の売却・賃貸・管理を1人で決められる状態がゴール
図1:亡くなった方の持分だけが相続の対象。残った共有者の持分は影響を受けません。

共有名義の不動産は、それぞれの持分が独立した財産です。一方が亡くなると、その方の持分だけが遺産となり、通常の相続と同じルール(遺言優先、なければ相続人全員の遺産分割協議)で行き先が決まります。「長年一緒に住んでいた」「ローンを一緒に払った」という事情があっても、登記上の持分が自動で移ることはありません

持分は誰のものになる?パターン別の行き先

よくあるパターン持分の行き先
夫婦共有で、夫が死亡(子あり)夫の持分は妻と子の相続財産。協議で妻が取得すれば単独名義に。子が取得すれば親子共有が続きます
夫婦共有で、夫が死亡(子なし)相続人は妻+夫の親(または夫の兄弟姉妹)。義理の親・きょうだいとの協議が必要になる典型例です(子のない夫婦こそ遺言書を
兄弟共有の実家で、兄が死亡兄の持分は兄の家族(配偶者・子)へ。あなたは義姉や甥姪との共有になり、関係が一気に複雑化します
親子共有で、親が死亡親の持分を子(共有者本人を含む相続人)で協議。共有者の子が取得すれば単独名義にまとまります
押さえどころ

持分の行き先は「残った共有者」ではなく「亡くなった方の相続人」で決まります。共有者と相続人が重なっていれば単独化のチャンス、重なっていなければ赤の他人に近い人との共有が始まる──これが共有名義相続の分かれ道です。

単独名義にするまでの4ステップ

STEPやること
1登記と相続人の確認──登記事項証明書で持分割合と抵当権を確認し、戸籍で相続人を確定します(戸籍の集め方
2遺言の有無を確認──「持分は妻に相続させる」という遺言があれば協議不要でそのまま登記へ(自筆遺言は検認
3遺産分割協議──遺言がなければ、相続人全員で「持分を誰が取得するか」を合意し、遺産分割協議書に「◯◯持分2分の1」と明記して実印+印鑑証明書で確定します(記載例は協議書の書き方
4持分の相続登記──法務局へ「持分全部移転」の登記を申請。相続登記は3年以内が義務で、怠ると過料の対象です(義務化の詳細自分でやる手順

費用はいくらかかる?

持分の相続登記の費用は、「持分に相当する評価額」を基準に計算します。丸ごと1棟の相続より安くなるのが通常です。

費用項目金額の目安
登録免許税(実費)固定資産税評価額 × 持分割合 × 0.4%
例:評価額2,000万円の1/2持分 → 2,000万×1/2×0.4%=4万円
戸籍・証明書類の実費数千円〜1万円程度
司法書士報酬(依頼する場合)5〜10万円程度(事案による)。自分で申請すればこの分は不要

評価額は課税明細書で確認できます(評価額の調べ方)。なお、配偶者が持分を相続する場合、相続税の面では配偶者の税額軽減小規模宅地等の特例が使えることが多く、税負担が生じないケースが大半です(基礎控除の判定/二次相続まで見た配分はこちら)。

放置は危険|共有者が増え続ける「ねずみ算」

登記しないまま次の相続が起きると…

夫の持分を登記しないまま妻も亡くなると、持分は数次相続の状態になり、関係者は子・孫・甥姪へと広がります。兄弟共有なら、それぞれの家系で相続が起きるたびに共有者がねずみ算式に増え、全員の同意が必要な売却・解体が事実上不可能になっていきます。「今なら3人の話し合いで済むものが、10年後は10人」──これが放置の実害です(数次相続の協議書連絡の取れない共有相続人がいる場合)。

すでに共有者が増えて収拾がつかない場合の出口(持分の集約・共有物分割請求など)は「共有名義を解消する方法」にまとめています。

住宅ローンが残っている場合

① 団信の有無をまず確認──亡くなった方のローンに団体信用生命保険が付いていれば、その方の債務は保険で完済され、金融機関経由で抵当権の抹消(変更)手続きを行います。
② ペアローン・連帯債務は「自分の分」が残る──団信で消えるのは亡くなった方の債務だけで、残された方自身のローンはそのまま続きます。連帯保証型の場合の扱いは契約により異なるため、金融機関に確認してください。
③ 団信なしなら債務も相続──ローン残債は相続債務として引き継がれます。債務超過が疑われる場合は、持分の登記より先に負債の全体を調べてください(借金の調べ方)。

よくある質問

夫の持分を妻の私が相続することに、子も賛成しています。手続きは簡単ですか?

合意ができていれば、協議書の作成→持分の相続登記だけで完了します。もめていない今のうちに登記まで済ませることが何より重要です。書類がそろえば自分で申請することも十分可能です(相続登記を自分でやる方法)。

亡くなった夫の持分を、妻と子で改めて共有にしてもいいですか?

可能ですが、おすすめしません。将来の売却・賃貸に全員の同意が必要になり、子の代でさらに共有者が増える構造を作るからです。住み続ける人(多くは配偶者)への単独化が定石です。

義兄(亡夫の兄)と共有の土地です。義兄が亡くなったら私はどうすべきですか?

義兄の持分は義兄の相続人(配偶者・子)へ移ります。関係が薄くなる前に、持分を買い取る・買い取ってもらう・一緒に売却するのいずれかで共有を解消する交渉を始めることをおすすめします(解消の4手段)。

夫の持分について、遺言で私に残してもらうことはできますか?

できます。「自宅の持分全部を妻に相続させる」という遺言があれば、協議なしで登記でき、子なし夫婦なら義理の親族との協議自体を回避できます。共有名義の家を持つ夫婦にとって、遺言は特に効果の大きい備えです(遺言書の無料作成はこちら)。

持分の相続に使える協議書を、無料で下書き

「持分2分の1」の記載にも対応。ステップに沿って入力するだけで、登記にも銀行にも使える遺産分割協議書の下書きが完成します。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的・税務的助言を行うものではありません。登記費用・税務の取扱いは事案により異なります。ローンや抵当権が絡む場合は、金融機関・司法書士にご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)