死亡後の健康保険の手続き|資格喪失・保険証の返却・扶養家族の切り替え
亡くなった人の健康保険は死亡日の翌日に資格を失い、届出と返却が必要です。見落とされやすいのが、故人に扶養されていた妻や子——故人の保険が消えると同時に、扶養家族の保険も消えます。
種類別の手続き、扶養家族の切り替え、保険料の精算、マイナ保険証・介護保険証、高額療養費・葬祭費との関係を整理します。妻の立場から見た全体の手続きは「夫が亡くなったら妻がやること」、葬祭費・埋葬料の請求は「葬祭費・埋葬料の申請」をどうぞ。
①故人の資格は死亡日の翌日に喪失。国保・後期高齢者医療は14日以内に市区町村へ資格喪失届と保険証の返却。会社の保険は会社に連絡して返す ②扶養されていた配偶者・子も同時に資格を失う。14日以内に国民健康保険への加入か他の家族の扶養へ。空白期間があると医療費が全額自己負担に ③保険料は死亡月の前月分までで、払いすぎは還付(相続財産)、未納は相続債務 ④マイナ保険証は返却不要。介護保険証は返却。高額療養費は相続人が請求、葬祭費・埋葬料は別途申請
故人の保険の手続き——種類別の届出先と期限
| 故人の保険 | 届出先・期限 | 持ち物 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 市区町村へ14日以内に資格喪失届。世帯主の死亡なら世帯主変更も同時に | 保険証、死亡を証明する書類、届出人の本人確認書類 |
| 後期高齢者医療(75歳以上) | 市区町村へ14日以内に資格喪失届 | 保険証、限度額適用認定証など |
| 会社の健康保険 | 会社が5日以内に届け出る。遺族は会社に連絡し保険証を返す | 本人と扶養家族全員の保険証 |
死亡届で資格は事実上止まりますが、届出と保険証の返却は別途必要です。葬祭費の申請、世帯主変更、介護保険の資格喪失も同じ窓口でまとめて済ませると効率的です(「世帯主変更届とは」)。
扶養されていた家族の切り替え——空白を作らない
夫が亡くなると、夫に扶養されていた妻や子の保険証も同時に使えなくなります。知らずに受診すると後で全額を請求されます。切り替えは14日以内が原則です。
- 国民健康保険に加入する——市区町村で、会社発行の「資格喪失証明書」を添えて手続き。保険料は前年の所得で計算され、遺族年金は非課税なので含まれない。加入日は死亡日の翌日にさかのぼる
- 他の家族の扶養に入る——働いている子の被扶養者になれれば保険料なし。年収130万円未満などの要件があり、遺族年金も収入に含めて判定される
- 自分の勤務先の保険に入る——妻が働いているなら、その手続き
故人が国保だった場合も、残った家族は新しい世帯主のもとで保険証が書き換えられます。「保険証がないまま」の期間を作らないことが目的です。
保険料の精算——還付と未納の扱い
国保料・後期高齢者医療保険料・介護保険料は死亡月の前月分までが本人の負担で、先に納めていた分は還付され、未納分は納付書が届きます。
- 還付金——相続財産として相続人が受け取る。相続放棄を考えている人は受け取って使わない
- 未納分——相続債務として相続人が引き継ぐ。相続税の債務控除の対象(「故人の滞納税金・保険料は相続される?」)
- 会社の健康保険——死亡月の分は最後の給与で精算される
年金天引きの保険料は年金の停止と精算に連動するため、年金事務所と市区町村の手続きを両方進めてください。
マイナ保険証・介護保険証・高額療養費・葬祭費との関係
マイナ保険証——カードを返却する必要はなく、市区町村が資格を止めます。カードの失効届と返納は別途行います(「故人の運転免許・マイナンバーカード・パスポート」)。資格確認書が発行されていた場合は返却します。
介護保険証・限度額適用認定証——市区町村に返却し、資格喪失届を出します。
高額療養費——死亡前の医療費が対象なら相続人が請求できます。払い戻しは相続財産です。
葬祭費・埋葬料——資格喪失とは別に葬儀を行った人が申請します。国保・後期高齢者医療なら市区町村へ葬祭費、会社の保険なら協会けんぽ等へ埋葬料。期限は2年。資格喪失届の窓口でその場で案内されます。
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死後事務委任契約書をつくるよくある質問(FAQ)
夫の死後、保険証を返却しないまま病院にかかってしまいました。
資格喪失後の受診は医療費の全額を後から請求されることがあります。すぐに国民健康保険への加入か扶養の手続きをしてください。加入日は死亡日の翌日にさかのぼるため、新しい保険証を病院に示せば、さかのぼって保険適用に切り替えてもらえることが多いです。間に合わなかった分は、後で療養費として請求します。
遺族年金をもらう妻は、子の扶養に入れますか?
入れる可能性があります。要件は年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)など。遺族年金は非課税ですが、この年収には含めて判定するため、額によっては満たさないことがあります。満たせば子の勤務先を通じて手続きし、満たさなければ国民健康保険に加入します。
国民健康保険料は、亡くなった月の分も払うのですか?
資格を失った月の分はかかりません。死亡月の前月分までが負担で、先に納めていた分は還付、未納があれば納付書が届きます。後期高齢者医療保険料・介護保険料も同じ扱いです。会社の健康保険は最後の給与で精算されます。
手続きを14日以内にできませんでした。罰則はありますか?
直ちに罰則が科されることはまれですが、扶養されていた家族の新しい保険への加入が遅れると、その間の医療費の扱いや保険料のさかのぼり請求が生じます。気づいた時点で市区町村に行ってください。加入日は死亡日の翌日にさかのぼります。
まとめ
故人の健康保険は死亡日の翌日に資格を失い、国保・後期高齢者医療は14日以内に市区町村へ資格喪失届と保険証の返却、会社の保険は会社を通じて手続きします。故人に扶養されていた配偶者や子は同時に保険を失うため、14日以内に国民健康保険への加入か家族の扶養への切り替えを——空白期間を作らないことが目的です。保険料は死亡月の前月分までで、還付は相続財産、未納は相続債務。マイナ保険証は返却不要、介護保険証は返却、高額療養費は相続人が請求、葬祭費は別途2年以内に申請。窓口でまとめて済ませてください。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。