見守り契約とは?内容・費用相場と任意後見までのつなぎ方
見守り契約とは、定期的な電話や訪問によって本人の健康状態と判断能力を確認し続ける契約です。多くの場合、任意後見契約とセットで結ばれ、受任者(将来の任意後見人)が本人と接点を持ち続けるための仕組みとして機能します。
なぜこれが重要なのか。任意後見契約は「本人の判断能力が低下したら家庭裁判所に申し立てて発効させる」制度なのに、誰も本人の変化を見ていなければ、そのタイミングを永遠に見逃してしまうからです。実際、任意後見契約が発効しないまま本人が亡くなる例は少なくありません(任意後見の始め方と「発効しない」問題)。見守り契約は、その空白を埋める「見張り役」の契約です。
①見守り契約=定期連絡・訪問で健康状態と判断能力を確認する契約。任意後見の「発効タイミングの見張り役」が核心 ②専門家に頼む場合の相場は月5,000円〜1万円程度。家族と結ぶ場合は無償〜実費が一般的 ③家族間でも書面化する意味は大きい。頻度・確認事項・異変時の動きを決めておけば「誰も気づかなかった」を防げる
見守り契約で頼めること
契約に盛り込む内容は自由に設計できますが、実務上の標準形は次のとおりです。
- 定期連絡――月1回程度の電話で、体調・生活状況・困りごとを確認する
- 定期訪問――2〜3か月に1回程度の面談。電話では分かりにくい判断能力の変化(会話のかみ合い、金銭管理の様子、部屋の状態)を直接確認するのが訪問の本当の目的です
- 相談対応――生活上の困りごと、悪質商法・詐欺被害の兆候への助言
- 異変時の対応――家族への連絡、受診の勧奨、そして判断能力の低下が見られたときの、任意後見監督人選任の申立て(=任意後見の発効)
最後の項目こそが見守り契約の核心です。「元気かどうか」の安否確認は入口にすぎず、「任意後見を始めるべき時が来たか」を専門的な目で判定し続けることに、この契約の存在意義があります。
費用の相場
| 依頼先・内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 専門家(司法書士・弁護士等)/月1回電話+数か月に1回訪問 | 月額5,000円〜1万円程度 |
| 訪問頻度を月1回以上に増やす場合 | 月額1万〜3万円程度に加算 |
| 契約書を公正証書で作成する場合の公証人手数料 | 1万数千円程度(任意後見契約と同時作成が通例) |
| 家族・親族と結ぶ場合 | 無償〜交通費などの実費程度 |
高齢期サポート契約のなかでの位置づけ
見守り契約は単体で完結する契約ではなく、高齢期を切れ目なく支える契約セットの「最初の1枚」です。
- 元気なうち:見守り契約。月1回の接点で判断能力を観察。あわせて、体が不自由になったら財産管理委任契約で銀行・支払いの代行を開始します
- 判断能力が低下:任意後見が発効。見守りで変化に気づいた受任者が家裁に申し立て、家裁の監督のもとでの財産管理へ移行します
- 死後:死後事務委任契約へ。葬儀・支払い精算・行政手続きは死後事務委任契約でカバーします
この「見守り+財産管理委任+任意後見+死後事務」を1度の公正証書作成でまとめるのが実務の定番です。なお、財産の凍結そのものを防ぎたい場合は、これらと並行して家族信託を組む選択肢もあります(家族信託とは/家族信託と任意後見の併用)。始めるタイミングの考え方は「認知症対策はいつから始める?」をどうぞ。
家族で担う見守りこそ、書面にする価値がある
「見守りなんて家族が普通にやること」――そのとおりです。しかし、離れて暮らす親を兄弟の誰がどう見守るかが曖昧なまま時間が過ぎ、「誰も異変に気づかず、口座凍結や消費者被害が起きてから発覚する」のが現実によくある失敗です(認知症で口座が凍結されるのはいつ?)。
家族間でも見守り契約書を作っておくと、①連絡・訪問の頻度と担当者 ②確認する項目(通帳の様子・服薬・冷蔵庫の中身など) ③異変時に誰へ連絡しどう動くかが明文化され、兄弟間の「言った・言わない」「押しつけ合い」を防げます。介護や見守りの負担が偏った場合の寄与分の議論(寄与分とは)でも、活動記録が残っていることは大きな意味を持ちます。
見守り契約書を、無料でつくる
質問に答えるだけで、連絡頻度・確認事項・異変時の対応を盛り込んだ見守り契約書のたたき台が完成します。家族会議の資料としてもお使いください。
よくある質問(FAQ)
見守り契約は誰と結ぶものですか?家族とでも結べますか?
任意後見の受任者となる専門家と結ぶのが典型ですが、家族・親族と結ぶこともできます。家族の場合も、頻度・確認事項・実費負担を書面化しておくことで役割分担が明確になり、「誰も気づかなかった」を防げます。
見守り契約の費用はどれくらいですか?
専門家に依頼する場合、標準的な内容で月額5,000円〜1万円程度が相場です。訪問頻度を上げれば加算されます。家族と結ぶ場合は無償か実費程度が一般的です。
自治体や警備会社の見守りサービスとは何が違いますか?
それらは「緊急事態の検知」が目的です。見守り契約の核心は判断能力の変化を観察し、任意後見の発効タイミングを判断することにあり、目的が異なります。両者の併用は可能で、むしろ相性が良い組み合わせです。
見守り契約だけを単独で結ぶこともできますか?
できますが効果は限定的です。異変に気づいた後に何をするか(家族連絡・受診勧奨・後見の申立て)まで契約に書いていないと、「気づいて終わり」になりかねません。任意後見とのセット設計が本来の姿です。
まとめ
- 見守り契約=定期連絡・訪問で健康と判断能力を確認する契約。任意後見の「発効の見張り役」が核心
- 専門家依頼の相場は月5,000円〜1万円。任意後見・財産管理委任・死後事務とのセットが実務の定番
- 安否確認サービスとは目的が違う。判断能力の観察と後見発効の判断こそがこの契約の仕事
- 家族で担う見守りも書面化する価値大。頻度・確認事項・異変時の動きを決めて共有しておく
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。