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相続発生後

山林の相続|届出・評価と「いらないとき」の選択肢

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

親の遺産に「山林」がある。場所は聞いたことがある程度で、行ったこともない——そんな相続が増えています。山林は評価額が低い割に、手続きは多く、手放すのは難しい財産です。

この記事では、山林特有の届出と登記、相続税評価の考え方、放置した場合のリスク、そして「いらない」ときの現実的な選択肢を整理します。農地の相続は「農地を相続したときの手続き」、国に引き取ってもらう制度は「相続土地国庫帰属制度とは」をどうぞ。

この記事の要点

①山林を相続したら、3年以内の相続登記に加え、所有者になった日から90日以内に市町村へ「森林の土地の所有者届出」を出す(怠ると10万円以下の過料) ②相続税評価は多くが倍率方式で、市街地から離れた山林は数万〜数十万円と低い。保安林は減額、立木は別に評価 ③放置すると、倒木や土砂の損害に対する管理責任、次の相続での所在不明化が問題になる ④いらないときの選択肢は、売却、自治体・森林組合への相談、森林経営管理制度、国庫帰属(境界不明や残置物があると不可)。相続放棄は山林だけを選べない

山林特有の手続き——相続登記と90日以内の届出

山林も不動産なので、相続を知ってから3年以内の相続登記が義務です(「相続登記の義務化とは」)。山林に固有なのが、もう一つの届出——森林法にもとづく「森林の土地の所有者届出」です。地域森林計画の対象になっている森林(民有林の大半)を相続などで取得した人は、所有者になった日から90日以内に、土地のある市町村へ届け出なければなりません。怠ると10万円以下の過料の対象です。

届出には土地の所在・面積・取得の経緯を書き、登記事項証明書や協議書の写しを添えます。相続登記より先に期限が来ます。対象かどうかは市町村の林務担当課で確認でき、届出をきっかけに森林組合の紹介や補助制度の案内を受けられます。

相続税評価——倍率方式・保安林・立木

区分評価の考え方
純山林・中間山林固定資産税評価額×倍率(倍率方式)。市街地から離れた山林は1筆で数万〜数十万円にとどまることが多い
市街地山林宅地に近い山林は宅地比準方式(宅地並みの評価から造成費を引く)で、高くなることがある
保安林伐採制限の程度に応じて30〜70%の減額
立木土地とは別に評価。樹種・樹齢・面積から標準価額で算定し、相続で取得した立木は15%減
山林の相続税評価(2026年8月時点)。倍率は国税庁の評価倍率表で確認。

評価が低くても財産目録と申告には載せます。山林は免税点(30万円)未満で固定資産税がかからず、課税明細に載らないことがあるため、名寄帳や登記情報で漏れなく洗い出してください(「相続した土地・建物の評価額の出し方」)。

放置のリスク——管理責任と次の相続

最も多い選択が放置です。しかし所有者である限り管理責任は残り、倒木が隣地の建物を壊した、豪雨で土砂が道路に流れた場合に、管理の不備があれば損害賠償を求められることがあります。不法投棄の処理も所有者に求められます。

  • 固定資産税——免税点以下なら課税されないが、複数筆の合計で超えれば課税
  • 次の相続で所在不明に——自分も行ったことがない山林を子に残せば、子は場所も境界もわからないまま相続する。相続登記の義務違反も引き継ぐ
  • 境界がわからなくなる——境界を知る人が亡くなるほど、売却も国庫帰属もできなくなる(「境界が不明な土地の相続・売却」)

放置するにしても、場所・地番・境界の情報を自分の代で記録し、財産目録に残すことが、次の世代への最低限の責任です。

いらないときの4つの選択肢

  1. 売る——隣接する山林の所有者、地元の林業事業者、山林専門の仲介業者に打診する。市場は小さく、無償や数万円での譲渡も珍しくない
  2. 自治体・森林組合に相談する——公益目的なら寄付を受け付ける自治体があり、森林組合が管理や買い手探しをすることがある
  3. 森林経営管理制度を使う——自分で管理できない森林の経営管理を市町村に委ねる制度。所有権は残る。市町村の意向調査に応じる形で進む
  4. 国庫帰属——相続した土地を国に引き取ってもらう制度。ただし境界が明らかでない、隣地と争いがある、残置物や工作物があると却下・不承認。負担金は森林の場合、面積に応じて算定され、20万円を超えることが多い。事前相談は法務局へ

相続放棄は「山林だけ」を放棄できず、全財産を放棄することになります。現実には、①②を当たりながら届出と登記を済ませ、財産目録に地番と境界の情報を残す——これが多くの家の着地点です。

山林は「どこにあるか」を記録することから——地番・面積・評価額・境界の情報を財産目録に残せば、次の世代が迷いません。画面のステップに沿って無料でつくれます。

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よくある質問(FAQ)

山林の場所がわかりません。どうやって調べますか?

固定資産税の課税明細書か、市町村で取れる名寄帳で地番と面積を確認し、法務局で登記事項証明書と公図を取得します。公図で位置関係はわかりますが、山林の公図は精度が低く、現地とずれていることが多いです。市町村の林務担当課や森林組合には森林簿や林地図があり、地番から場所を特定する手がかりになります。隣接所有者や、亡くなった親の知人で山を知る人がいれば、現地を案内してもらうのが確実です。

森林の届出をしなかったらどうなりますか?

10万円以下の過料の対象です。実際に科される例は多くありませんが、届出をしないと市町村が所有者を把握できず、森林組合の案内や森林経営管理制度の意向調査から漏れます。手放したい場合ほど、届出で市町村とつながることが出口につながります。90日を過ぎても受け付けられるので、気づいた時点で出してください。登記とは別の手続きです。

山林の相続税は高いですか?

市街地から離れた純山林なら、1筆数万〜数十万円の評価にとどまることが多く、相続税全体への影響は小さいのが普通です。ただし市街地に近い山林は宅地並みに近い評価になることがあり、立木も別に評価が要ります。保安林の指定があれば減額されます。評価が低くても財産目録と申告には記載が必要で、漏れると申告漏れになります。倍率は国税庁の評価倍率表で確認でき、判断が難しければ税理士に確認してください。

売れない山林を国庫帰属に出せますか?

要件を満たせば可能ですが、山林は境界が不明、隣地との争い、残置物や崩れやすい崖がある場合に却下・不承認になりやすいのが実情です。境界を確定するには測量が要り、山林の測量は面積が大きく費用も高くなります。負担金は森林の面積に応じて算定され、原則の20万円を超えることが多いです。申請前に法務局の事前相談で、却下・不承認の可能性と負担金の見込みを確認してください。売却・寄付・森林経営管理制度と並べて、最も費用が少ない出口を選びます。

まとめ

山林の相続は3年以内の相続登記に加え、90日以内の市町村への森林所有者届出が要ります。評価は倍率方式で低いことが多い一方、放置すれば管理責任が残り、境界を知る人が減るほど売却も国庫帰属もできなくなります。いらないときの選択肢は、隣接所有者や林業事業者への売却、自治体・森林組合への相談、森林経営管理制度、国庫帰属の4つ。相続放棄は山林だけを選べません。場所・地番・境界を自分の代で記録し、財産目録に残す——それが次の世代への最低限の責任です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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