奨学金は本人の死亡で免除される?届出と、親が保証人・借主だった場合
返還中の子が亡くなった。あるいは連帯保証人だった親が亡くなった——同じ疑問に行き着きますが、答えは正反対です。本人が亡くなれば返還は免除され、保証人の親が亡くなれば保証の地位は相続されます。
この記事では、本人死亡時の免除の手続き、保証人が亡くなった場合の扱い、親名義の教育ローンとの違い、相続放棄との関係を整理します。保証債務全般は「親が連帯保証人だったら」をどうぞ。
①日本学生支援機構の奨学金は、返還中の本人が亡くなると届出で残額が免除され、保証人にも請求されない ②連帯保証人(親)や保証人(親族)が亡くなった場合、その地位は相続人に引き継がれ、本人が延滞すれば相続人に請求が来る ③機関保証なら個人の保証人はおらず、親の死亡は影響しない ④親名義の教育ローンは親自身の借金で、相続債務として相続人が引き継ぐ
本人が亡くなった場合——返還免除の仕組みと届出
日本学生支援機構の奨学金は、返還中の本人が亡くなった場合、残額の返還が免除されます(死亡による返還免除)。免除されれば、連帯保証人や保証人に残額が請求されることもありません。本人の借金でありながら、相続人が引き継がない仕組みです。
- 家族が機構に連絡する——本人の氏名・奨学生番号(返還のお知らせや振替案内に記載)を伝える
- 免除願を提出する——機構から届く「奨学金返還免除願」に記入し、死亡を証明する書類(死亡診断書の写し、除籍謄本、住民票の除票など)を添付
- 審査・免除——機構が確認し、残額の返還が免除される。すでに引き落とされた分は戻らないため、亡くなったら早めに連絡して口座振替を止める
延滞分も免除の対象となるのが原則ですが、機構への確認が必要です。届出をしなければ免除されず、口座振替が続き、残高不足になれば保証人に督促が行くため、死亡後の手続きの一つとして忘れずに行ってください(「親が亡くなったらやること全リスト」)。自治体や大学独自の奨学金も多くは同様の規定がありますが、制度ごとに確認を。
保証人だった親が亡くなった場合——保証は相続される
子が奨学金を借りるとき、親が連帯保証人、親族(おじ・おばなど)が保証人になる「人的保証」を選んだ家庭は多いものです。この場合、連帯保証人である親が亡くなると、保証人の地位は親の相続人(配偶者や他の子)に引き継がれます。
子本人が返還を続けている限り、相続人に請求は来ません。しかし子が延滞すれば、機構は連帯保証人の相続人に請求します。親の相続で「奨学金の保証」は財産目録に載りにくく、相続放棄の判断材料から漏れがちです。奨学金を借りている子がいる家庭では、返還の残額と保証の有無を相続の際に確認してください。機構に対して、相続人が連帯保証人の変更(本人の配偶者など)を申し出ることもできます。
機関保証なら影響なし——保証方式の確認
| 保証方式 | 親の死亡の影響 |
|---|---|
| 人的保証 | 連帯保証人(親)・保証人(親族)の地位が相続人に引き継がれる |
| 機関保証 | 影響なし。保証機関が保証しており、個人の保証人はいない。本人が延滞すれば保証機関が代位弁済し、本人に求償する |
どちらの方式かは、奨学金の申込時の書類や、機構からの「返還のお知らせ」で確認できます。2024年度以降の新規貸与では機関保証が基本になっており、若い世代ほど機関保証が多い傾向です。人的保証で、保証人だった親が亡くなった後に本人が延滞するリスクを避けたいなら、返還を続けることと、必要に応じて保証方式の変更を機構に相談することです。
親が借りた教育ローンとの違い・相続放棄との関係
親名義の教育ローン(国の教育ローン・銀行や信用金庫の教育ローン)は、借主が親自身なので、親が亡くなれば親の借金として相続債務になります。奨学金のような死亡免除はなく、相続人が法定相続分で引き継ぎ、返済を続けるか、一括で返すか、相続放棄で免れるかを選びます(「親の借金は相続される?」)。団体信用生命保険が付いている教育ローンなら、親の死亡で残債が保険で完済されることがあるため、金融機関に確認してください。
相続放棄との関係を整理すると、①本人(子)が亡くなった場合の奨学金は免除で、相続の問題にならない。②保証人の親が亡くなった場合、相続人が相続放棄をすれば保証人の地位も引き継がない。③親名義の教育ローンは相続債務で、放棄すれば免れる。奨学金の残額・保証の有無・教育ローンの残債を、親の財産目録の債務欄に書き出しておくと、放棄の判断と債務控除の両方に役立ちます。
奨学金の保証・教育ローンも「債務」欄に——家族の借入と保証の状況を、財産と並べて一枚に。財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。
財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
返還中の息子が亡くなりました。残りの奨学金を親が払わないといけませんか?
払う必要はありません。日本学生支援機構の奨学金は本人の死亡で残額の返還が免除され、親や保証人に請求されません。機構に連絡し、死亡を証明する書類を添えて免除願を提出してください。免除が確定するまで口座振替が続くことがあるため、早めに連絡して振替を止めてもらいましょう。息子さんの相続について放棄を考えている場合でも、免除の手続きは相続財産の処分にあたらないので進めて構いません。
親が保証人になっていた奨学金を、子が延滞しています。相続人の私に請求が来ました。
連帯保証人だった親の地位を相続しているため、法定相続分の範囲で請求に応じる義務があります。まず本人(延滞している子=あなたの兄弟)に返還を再開してもらうのが先で、機構には減額返還や返還期限猶予の制度があります。本人が申請すれば、保証人への請求は止まることが多いです。それでも本人が返せないなら、あなたが払った分を本人に求償できます。今後の請求を避けるには、機構に連帯保証人の変更を相談してください。
親が亡くなって、子の奨学金の申込みにあたって保証人がいなくなりました。
在学中に連帯保証人が亡くなった場合、機構に届け出て新しい連帯保証人を立てるか、機関保証に切り替えることになります。連帯保証人は原則として父母で、いなければ兄弟姉妹やおじ・おばなど4親等以内の親族です。適当な人がいなければ機関保証を選び、保証料を奨学金から差し引く形にできます。届出をしないまま延滞が生じると手続きが複雑になるため、亡くなった時点で機構に連絡してください。
奨学金の返還免除は、相続税や所得税に影響しますか?
本人の死亡による免除は、亡くなった本人の債務が消えるだけで、遺族に所得が生じるものではないため、遺族の所得税には影響しません。相続税の面では、免除により本人の債務がなくなるため、本人の相続財産から差し引く債務としては計上しません。免除前に相続税の申告期限が来る場合は、免除の見込みを踏まえて税理士に相談してください。
まとめ
日本学生支援機構の奨学金は、返還中の本人が亡くなれば届出で残額が免除され、家族や保証人に請求されません。一方、連帯保証人だった親が亡くなれば保証の地位は相続され、本人が延滞すれば相続人に請求が来ます。機関保証なら親の死亡は無関係。親名義の教育ローンは親の借金として相続債務で、免除はありません。奨学金の残額・保証方式・教育ローンを財産目録の債務欄に書き出し、放棄の判断と手続きの漏れを防いでください。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
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