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相続発生後

相続した不動産を売却したときの税金|3,000万円控除(空き家特例)・取得費加算・計算の流れ

公開日 2026年8月18日 ・ 更新日 2026年8月18日 ・ 7分で読めます

相続した実家や土地を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して所得税・住民税がかかります。税率は所有期間5年超の長期譲渡で約20%(短期は約39%)——1,000万円の利益なら約200万円という、無視できない金額です。

そして相続不動産の売却には、税額を大きく左右する2つの分かれ道があります。①親が買ったときの契約書が見つかるか(取得費の引き継ぎ)②「空き家の3,000万円控除」か「取得費加算」の特例が使えるか。どちらも期限と書類の勝負です。この記事では、計算の構造から特例の要件・期限、確定申告までを順に解説します。

計算の構造——「売却額」ではなく「利益」に課税

  • 譲渡所得=売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)−(使えれば)特別控除。ここに税率(長期:所得税15.315%+住民税5%=約20%/短期:約39%)を掛けます
  • 所有期間は親の取得日を引き継ぎます。親が30年住んだ家なら、相続直後に売っても長期譲渡(約20%)です。取得費・取得日ともに被相続人のものを引き継ぐ——これが相続売却の大原則です
  • 最大の罠が「取得費が分からない」問題。親が買ったときの売買契約書等が見つからないと、取得費は売却価格の5%(概算取得費)とされ、売却額の約95%が利益扱いになって税額が跳ね上がります。実家の権利証と一緒に、購入時の契約書・領収書・建築請負契約書を全力で探す——これが節税の第一歩です(通帳の出金記録・分譲時のパンフレット等で立証できた例もあり、諦める前に税理士へ)

特例①:空き家の3,000万円特別控除——要件と期限

相続不動産売却の税金 ― 2つの特例と期限を示す図解
図:相続不動産売却の税金 ― 2つの特例と期限
  • 被相続人が一人で住んでいた家(とその敷地)を相続して売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる強力な特例です。利益3,000万円までなら税額ゼロになります
  • 主な要件:①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震)で区分所有建物でない ②相続開始の直前に被相続人が一人暮らし(老人ホーム入居中でも要介護認定等の要件を満たせば可)③相続から売却まで居住・賃貸・事業に使っていない ④売却価格が1億円以下 ⑤耐震基準を満たすようにして売る、または家屋を取り壊して売る2024年以降の売却では、譲渡の翌年2月15日までに買主側で耐震改修・解体する形でも適用可になり使いやすくなりました)
  • 期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること(かつ現行制度の適用期限内)。市区町村発行の「被相続人居住用家屋等確認書」の取得が必要で、発行に時間がかかるため早めの準備を
  • 相続人が3人以上で共有相続して売る場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小します(2人までは各3,000万円)。誰が相続して売るかの設計で税額が変わる論点です

特例②:取得費加算——相続税を払った人の救済

  • 相続税を納めた人がその財産を売る場合、「相続開始から3年10か月以内」の売却なら、納めた相続税のうち売却資産に対応する部分を取得費に上乗せできます(取得費加算の特例)。相続税と譲渡所得税の二重負担を和らげる制度です
  • 空き家3,000万円控除と取得費加算は、同一の資産について併用できません(選択適用)。通常は控除額の大きい空き家特例が有利ですが、相続税が高額な場合や空き家特例の要件を満たさない場合は取得費加算の出番です。両方の試算を税理士に
  • このほか、相続人自身がその家に住んでいた場合は通常の居住用財産の3,000万円控除が使える可能性があります(空き家特例とは別制度・要件注意)

手続き——特例は「申告して初めて」適用

  • 3,000万円控除も取得費加算も、確定申告をしなければ適用されません。控除で税額ゼロになる場合でも申告が必要です(売却の翌年2月16日〜3月15日)
  • 必要書類の例:譲渡所得の内訳書、売買契約書(売却時・可能なら取得時)、被相続人居住用家屋等確認書(空き家特例)、相続税申告書の写し(取得費加算)など
  • 売却前の段取りとして、名義(相続登記・相続登記の義務化)→測量・境界確認→解体または耐震の判断(空き家特例の要件に直結)→媒介契約の順で進めます。「特例が使える売り方」は売却活動の前に決まっている——不動産会社と税理士に同時に相談するのが失敗しないコツです
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よくある質問(FAQ)

具体的にいくらになるか、計算例を見せてください。

例:親が一人で住んでいた旧耐震の実家を相続し、解体して土地を3,800万円で売却。取得費は契約書がなく概算5%(190万円)、解体費・仲介手数料等の譲渡費用が330万円とします。譲渡所得は3,800万−190万−330万=3,280万円。空き家特例が使えれば3,280万−3,000万=280万円が課税対象で、税額は約57万円。使えなければ約668万円——特例の有無で約610万円の差です。要件と期限の管理がいかに重要か、この一例で伝わるかと思います。

売却代金を相続人で分ける「換価分割」の場合、税金は誰が払いますか?

換価分割では、各相続人が自分の取得割合に応じて譲渡所得を申告します(便宜上1人の名義で売却しても、協議書に換価分割の旨と分配割合が明記されていれば、実質の割合で各自申告するのが原則です)。空き家特例も要件を満たす相続人それぞれで適用できます(3人以上は各2,000万円)。協議書の書き方が税務に直結する場面なので、協議書のケース別記載例の記載例と税理士確認をセットで。

相続してすぐ売ると、なにか不利益はありますか?

税務上はむしろ有利な面が多いです(取得費加算は3年10か月以内、空き家特例は3年後の年末まで、家の傷みが少ないうちは高く売れる)。注意点は2つ——①相続税の申告で小規模宅地等の特例(小規模宅地等の特例)を使った土地は、申告期限(10か月)まで保有継続が要件の類型があるため、売却タイミングと特例の両立を税理士に確認すること ②売り急ぎの足元を見られないよう査定は複数社で。「早く動き、急がず売る」が理想形です。

まとめ

  • 課税は利益に対して約20%(長期)。取得日・取得費は親から引き継ぐ
  • 購入時の契約書がないと取得費は売却額の5%扱いで税額急増。書類探しが最初の節税
  • 空き家3,000万円控除は旧耐震・一人暮らし・3年後の年末まで等の要件。取得費加算とは選択
  • 特例は確定申告してこそ。売り方の設計段階で不動産会社と税理士に同時相談を

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

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