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相続発生後

相続手続きの委任状の書き方|頼めること・頼めないことと記載例

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

相続の手続きは、相続人全員が動くのは現実的でなく、「長男が代表で進める」「司法書士に任せる」ために使うのが委任状です。ただし頼めることと頼めないことがあり、書き方を誤ると受け付けられません。

頼める手続きと頼めない手続き、記載事項と記載例、窓口ごとの様式、白紙委任の危険、判断能力との関係を整理します。認知症の親に代わって家族が行う手続きは「認知症の親の手続き代行」をどうぞ。

この記事の要点

①頼めること:戸籍・住民票の取得、金融機関の相続手続き、残高証明の請求、相続登記の申請、相続税申告(税理士)、協議書への署名押印の代理(本人が内容を決めたうえで) ②頼めないこと:相続放棄の申述、遺言、遺産分割の内容を決めること ③記載事項は、委任者・受任者の氏名住所、委任事項(被相続人・対象・手続きを特定)、日付、署名と実印。印鑑証明書の添付を求められることが多い ④「一切の件を委任する」白紙委任は悪用と受付拒否のもと。判断能力がなければ委任状は無効

委任状で頼めること・頼めないこと

手続き委任備考
戸籍・附票・住民票の取得自治体所定の委任状。直系の戸籍は委任状なしで取れることも
銀行の残高証明・取引履歴の請求相続人の一人が単独で請求できる範囲は委任状不要
銀行の相続手続き(解約・名義変更)全員の委任状か、銀行所定の相続届に全員が押印
相続登記の申請司法書士への委任が一般的
相続税の申告可(税理士のみ)税務代理は税理士に限られる
遺産分割協議書への署名押印条件付き可本人が合意したうえで、署名押印の行為だけを代理
相続放棄の申述不可本人の意思表示が要る。専門家が書類作成を代理する形はある
遺言の作成不可代理は一切できない
相続手続きの委任の可否(2026年8月時点)。

線引きは「作業」は委任できるが「意思決定」は委任できないということです。

記載事項と記載例——委任事項は具体的に

決まった様式はありませんが(窓口所定の様式があればそれを使う)、次の要素が揃っていなければ受け付けられません。

  1. 表題——「委任状」
  2. 受任者——「私は、下記の者を代理人と定め、次の権限を委任します」に続けて、受任者の住所・氏名・生年月日
  3. 委任事項——「被相続人○○(令和○年○月○日死亡)の相続に関し、○○銀行○○支店の預金(口座番号○○)の相続手続き一切(残高証明書の請求、解約、払戻金の受領を含む)」のように、被相続人・対象・手続きを特定して書く
  4. 日付——作成日
  5. 委任者——住所・氏名を自署し、実印を押す。相続手続きでは印鑑証明書の添付を求められることが多い

複数の手続きを頼む場合は委任事項を箇条書きで列挙します。受任者が受け取ったお金の扱い(「払戻金は委任者の口座○○に振り込むこと」)を書いておくと、後の精算で揉めません。

窓口ごとの様式——自治体・銀行・法務局・税務署

  • 自治体(戸籍・住民票)——所定の様式をホームページから印刷。自署があれば認印で可のところが多い
  • 銀行・信用金庫——銀行所定の「相続届」に相続人全員が署名・実印を押し、印鑑証明書を添付する形が標準で、それ自体が委任状の役割を果たす。来店しない相続人がいる場合、別途委任状を求める銀行も
  • 法務局(相続登記)——申請人が司法書士や他の相続人に委任する委任状を添付。登記識別情報の受領も委任事項に含める
  • 税務署(相続税申告)——税理士への委任は「税務代理権限証書」を添付
  • 年金事務所・保険会社——所定の委任状様式がある

手続きの前に「代理人が手続きする場合の必要書類」を電話で確認するのが、二度手間を防ぐ最も確実な方法です(「相続財産の調べ方」)。

白紙委任の危険と、判断能力・専門家への委任

白紙委任の危険——「相続に関する一切の件を委任する」とだけ書いた委任状は、受任者が想定外の手続き(全額払戻し、不動産の売却)を行える形になり、多くの窓口は受け付けません。委任事項は手続きごとに特定し、金額の上限や払戻先を書き、日付と実印で固める——これが委任者を守り、窓口で通る委任状です。

判断能力——委任者に判断能力がなければ委任状は無効で、家族が代筆すれば私文書偽造の問題になります。判断能力のない相続人がいれば成年後見人の選任が必要です(「相続人に認知症の人がいる場合の遺産分割」)。

専門家への委任——専門家が用意する委任状に署名押印します。委任の範囲と報酬を契約書で確認し、払戻金が専門家の口座を経由する場合は精算の方法と時期を書面にしてください(「相続を専門家に頼む費用の相場」)。

委任事項を特定するには、財産の一覧が要る——銀行・口座番号・不動産・証券を書き出した財産目録があれば、委任状の委任事項が具体的に書けます。財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。

財産目録をつくる

よくある質問(FAQ)

遠方の弟に、相続手続きを全部私に任せてもらいたいです。委任状一枚で済みますか?

一枚では済まないことが多いです。銀行は所定の相続届に弟の署名・実印と印鑑証明書を求め、法務局は弟が不動産を取得しないなら委任不要、と窓口ごとに違うためです。現実的には、協議書と各銀行の相続届に弟が署名押印する書類を郵送でやり取りする形が中心です。署名が要る書類をまとめて送ると往復を減らせます。

委任状に有効期限はありますか?

法律上の期限はありませんが、窓口によっては3か月以内などの目安を設けていることがあります。印鑑証明書の期限に合わせて、手続きの直前に作るのが安全です。日付を空欄にして後から書く形は白紙委任と同じ扱いをされることがあるため避けてください。

司法書士に頼んだ相続登記の委任状に、実印は必要ですか?

登記申請の委任状は認印でも受け付けられますが、司法書士は本人確認の義務があり、実印と印鑑証明書を求めることが多いです。協議書には実印と印鑑証明書が必要なので、いずれにせよ用意します。登記識別情報の受領も委任事項に含まれているかを確認してください。

委任状で頼んだ相続手続きの払戻金を、代理人が自分の口座で受け取ってもよいですか?

可能ですが争いになりやすいため、払戻金は委任者本人の口座に振り込む形にするのが安全です。代表相続人が一括して受け取る場合は、協議書に「代表相続人○○が受領し、各相続人に○日以内に振り込む」と明記し、振込の記録を残してください。

まとめ

相続手続きの委任状は、戸籍の取得・銀行の手続き・相続登記・残高証明の請求など「作業」は頼め、相続放棄・遺言・遺産分割の意思決定は頼めません。記載事項は委任者・受任者・被相続人と対象を特定した委任事項・日付・実印(印鑑証明書を添付)「一切の件」だけの白紙委任は悪用と受付拒否のもとで、判断能力のない人の委任状は無効です。窓口ごとに様式が違うため、手続きの前に「代理人が行う場合の必要書類」を電話で確認し、財産の一覧をもとに委任事項を具体的に書いてください。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)