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生前の備え

認知症の親の手続き代行|年金・介護・税金・銀行の窓口別にできること

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

親が認知症になると、あらゆる手続きが家族に回ってきます。しかし「家族だから代わりにできる」手続きと、「本人の意思か成年後見人がなければできない」手続きが、窓口ごとに違います

窓口別に家族ができること・できないこと・必要なものを整理し、代行を確実にする備えをまとめます。預金の引き出しの詳細は「認知症の親の預金を家族が引き出すには?」をどうぞ。

この記事の要点

①代行は「本人の判断能力」で線引き。あれば委任状や代理人届で家族が代行でき、なければ成年後見人(または事前の任意後見・家族信託)が必要 ②家族が進めやすい:要介護認定の申請、高額療養費の申請、住民票や戸籍の取得、確定申告の手伝い、郵便物の管理 ③委任状や届出があれば可:年金の届出、銀行の入出金(代理人届)、携帯電話や公共料金の契約変更 ④本人の意思か後見人が必須:預金の解約、不動産の売却、保険の解約(特約があれば家族可)、遺産分割協議、遺言

線引きの原則——判断能力の有無で3段階

代行が認められるかは「本人に判断能力があるか」で決まります。あれば本人が委任状を書く・代理人届を出すことで家族が代理でき、なければ法律上の代理権を持つのは成年後見人(または事前に契約した任意後見人・受託者)だけです。

段階家族ができること
①判断能力あり本人の委任状・代理人届で、ほとんどの手続きを家族が代行できる。この段階で備え(代理人届・財産管理委任・任意後見・家族信託)を作る
②判断能力が低下窓口の判断で応じてもらえることと断られることが混在。診断書や本人の同席で対応できることもある
③判断能力なし法律上の代理権が要る手続きは家族単独ではできない。成年後見の申立てか、任意後見・家族信託の発動
判断能力と代行の可否(2026年8月時点)。

家族が比較的進めやすい手続き——介護保険・医療・役所

行政と介護・医療の手続きは、家族の申請を想定しているものが多く、進めやすい領域です。

  • 介護保険の要介護認定申請——家族が申請でき、地域包括やケアマネジャーが代行もできる(「要介護認定の申請から結果まで」)
  • 高額療養費・高額介護サービス費の申請——家族が申請できる。初回に本人の同意書を求められることがある
  • 住民票・戸籍の取得——同一世帯の家族は本人の委任状なしで住民票を取れる。戸籍は直系親族なら委任状なしで取れる
  • 確定申告——本人の申告書を家族が作成して提出することは一般に行われ、本人の申告として受け付けられる
  • 郵便物の管理・障害者手帳の申請——同居の家族なら対応でき、申請は家族が代行できることが多い

委任状や届出があれば可能な手続き——年金・銀行・契約

年金・銀行・契約は、委任状や届出があれば家族が代行できる領域です。判断能力があるうちに準備してください。

  • 年金の届出——住所変更、受取口座の変更などは本人の委任状で家族が手続きできる。受取口座を家族名義にすることはできない
  • 銀行の入出金——代理人届を出せば届出の範囲で家族が入出金できる。判断能力がなくなった後は、本人の医療費・介護費用に限って応じる指針があるが銀行ごとの判断(「代理人カードとは」)
  • 携帯電話・公共料金——本人の委任状で名義変更や解約ができる会社が多い。判断能力がなければ、事情を説明して解約に応じる会社もある
  • 介護保険サービスの契約——家族が同席して契約する運用が広く行われているが、厳密には本人の意思が要るため、後見や任意後見で整えるのが本来の形

本人の意思か後見人が必須の手続きと、代行を確実にする備え

次の手続きは、本人の意思表示か、法律上の代理権を持つ人(成年後見人・任意後見人・受託者)でなければできません。家族の委任状でも判断能力がなければ無効です。

  • 預金の解約・定期預金の解約・大口の払い戻し——本人か後見人。信託口口座なら受託者(「認知症の親の定期預金は解約できる?」)
  • 不動産の売却・賃貸・担保設定——本人か後見人(居住用は家庭裁判所の許可)か受託者
  • 保険の解約・変更——本人か後見人。指定代理請求特約や契約者代理制度があれば家族が代理できる
  • 遺産分割協議への参加——本人か後見人(後見人が相続人なら特別代理人)
  • 遺言・養子縁組・婚姻——本人のみ。代理は一切できない

備えは判断能力があるうちに揃える4点——①銀行の代理人届、②財産管理委任契約、③任意後見契約(判断力が低下したら家族が法律上の代理権を持つ)、④家族信託。判断能力がなくなった後に残る道は、成年後見の申立てだけです(「成年後見の申立て方法」)。

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よくある質問(FAQ)

親の委任状を、親が書けない場合に家族が代筆してもよいですか?

いけません。本人に判断能力がなければ委任自体が無効で、家族が代筆した委任状は私文書偽造にあたる恐れがあります。判断能力があり手が不自由なだけなら、本人の面前で代筆し本人が押印する形は認められることがあります。判断能力がない場合は、成年後見の申立てか任意後見契約の発効が正規の道です。

役所で「本人でないと手続きできない」と言われました。

「家族が代理で行う場合に必要な書類は何か」を確認し、委任状・本人確認書類・戸籍を揃えて再度訪ねてください。判断能力がない場合は、介護保険や医療の窓口なら地域包括やケアマネジャーに間に入ってもらうと進みやすくなります。法律上の代理権が要る手続きなら、成年後見の申立てが必要です。

マイナンバーカードの手続きは家族が代理できますか?

申請は家族が代理できますが、交付の受け取りは原則本人で、来庁できない場合に限り診断書などを添えて代理人が受け取れます。暗証番号の設定も本人の意思が前提で、判断能力がなければ電子申請などは実質使えなくなります。家族が保管し、必要な場面で市区町村に相談する形が現実的です。

成年後見人がついたら、家族は手続きに関われなくなりますか?

家族が後見人に選任されれば、家族が代理権を持って手続きを行います。専門職が後見人になった場合、財産の手続きは後見人が行い、家族は介護や医療の場面で本人を支えます。後見人は本人の生活状況を家族から聞く必要があり、対立するものではありません。窓口が一本化される分、負担が減る面もあります。

まとめ

認知症の親の手続きを家族が代行できるかは、本人の判断能力で線引きされます。介護保険の申請・高額療養費・住民票や戸籍の取得・確定申告の手伝いは家族で進めやすく、年金の届出・銀行の入出金・契約の変更は委任状や代理人届があれば可。一方、預金の解約・不動産の売却・保険の解約・遺産分割・遺言は本人の意思か法律上の代理権を持つ人だけ。判断能力があるうちに、代理人届・財産管理委任・任意後見・家族信託を揃えておく——なくなった後の道は成年後見の申立てしか残りません。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)