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相続発生後

相続財産の調べ方|預金・不動産・保険・証券・借金を漏れなく洗い出す5つの照会制度

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 10分で読めます

「親の財産がどこに・いくらあるのか、家族の誰も知らない」──実は珍しいことではなく、そのための公的な照会制度が財産の種類ごとに用意されています。相続人であれば、戸籍などで身分を証明して本人に代わって照会・開示を受けられます

この記事では、預金・不動産・生命保険・証券・借金の5分野それぞれの「正式な調べ方」を解説します。判明した財産を書き出す段階は「財産目録の書き方」、パソコン・スマホの中の手がかり探しは「デジタル遺品の整理」をご覧ください。

調査の全体マップと共通の準備

相続人 戸籍等で身分を証明して照会 ① 預貯金 各銀行へ現存照会・全店照会 ② 不動産 名寄帳・所有不動産記録証明 ③ 生命保険 生命保険契約照会制度 ④ 証券・株式 ほふりへ開示請求 ⑤ 借金(マイナス財産) 信用情報3社(CIC・JICC・KSC) 財産の種類ごとに「聞く相手」が決まっている
図1:財産の種類別・照会先マップ。5方向すべてに当たれば、漏れはほぼ塞げます。

どの照会でも、共通して次の書類を求められます。先にセットで用意しておくと、5方向の調査を並行して進められます

① 亡くなったことが分かる戸籍(除籍)謄本
② 請求者が相続人だと分かる戸籍謄本──①②は法定相続情報一覧図で代替できる照会先が多く、複数並行するなら作成推奨です
③ 請求者の本人確認書類・印鑑証明書(照会先による)

①預貯金:銀行への「現存照会」と残高証明書

預金の調査は「どの銀行か」の見当を付けてから、その銀行に口座の有無の調査(現存照会)を依頼する二段構えです。

段階やること
1見当を付ける──通帳・キャッシュカード・郵便物(取引案内・カレンダー等の粗品も手がかり)・スマホのアプリ・生活圏の店舗から候補行を絞る
2現存照会──候補の銀行に相続人として口座の有無を照会。支店が不明でも全店を対象に調査してくれる銀行が多い(ゆうちょ銀行は「現存調査」として全国一括)
3残高証明書の取得──口座が見つかったら死亡日時点の残高証明書を取得(取り方の詳細)。定期・投信・借入れも「全取引」を対象に発行してもらうのがコツ

銀行に横断的な「全銀行一括照会」の仕組みはないため、1行ずつ当たるしかないのが現状です。だからこそ手がかり(郵便物・通帳の振込履歴)の保全が重要になります。ネット銀行は郵便物が来ないため、メール・アプリの確認を忘れずに(デジタル遺品の整理)。

②不動産:名寄帳・課税明細書・所有不動産記録証明制度

不動産は3つの方法を組み合わせます。

方法1:固定資産税の課税明細書──毎年届く納税通知書に同封。その市区町村内の課税物件が一覧できます。ただし共有物件や固定資産税のかからない土地(私道・保安林など)が載らないことがあります。
方法2:名寄帳(なよせちょう)──市区町村が管理する所有者別の固定資産一覧。相続人として請求でき、課税明細より広く把握できます。市区町村ごとの管理のため、不動産がありそうな自治体それぞれに請求します。
方法3:所有不動産記録証明制度──2026年から法務局で始まった制度で、亡くなった方の名義の不動産を全国横断で一覧化した証明書を相続人が請求できます。「どの市区町村にあるか分からない」という名寄帳の弱点を補う新しい選択肢です(登記名義が旧住所・旧姓のままだと検索に反映されない場合があるなどの限界もあります)。

物件が特定できたら、法務局で登記事項証明書を取得し、名義・共有持分・抵当権(借金の担保)の有無まで確認してください。その後の名義変更は相続登記へ進みます。

③生命保険:生命保険契約照会制度

「保険に入っていたはずだが、どの会社か分からない」場合は、生命保険協会の生命保険契約照会制度が使えます。

項目内容
何が分かる協会加盟の生命保険各社に対する契約の有無を一括照会。契約が「ある」と回答された会社へ、個別に保険金請求や内容確認を行う流れです
誰が使える法定相続人・遺言執行者など(死亡時のほか、認知症等で本人照会が困難な場合の制度もあります)
費用・期間1回数千円程度の利用料。回答まで2週間〜1か月程度が目安
限界共済(都道府県民共済・JA共済等)や損害保険は対象外のため、証書・通帳の引き落とし・郵便物での確認を併用します

保険金には請求期限(一般に3年)があるため、後回しにしないこと。受け取った保険金の遺産分割上の扱いは「生命保険金は遺産分割の対象になる?」を、税務は「非課税枠の解説」をご覧ください。

④証券・株式:ほふりへの開示請求

株式・投資信託は、証券保管振替機構(ほふり)への「登録済加入者情報の開示請求」で、故人がどの証券会社・信託銀行に口座を持っていたかを一括で確認できます(手数料は数千円程度)。

分かるのは「どこに口座があるか」までで、銘柄・残高はその後各証券会社への残高証明書請求で確認します。口座が判明した後の移管・売却の流れは「証券口座・株式の相続手続き」にまとめています。株券電子化前の株式が信託銀行の特別口座に眠っているケースも、ほふりの開示で判明します。

⑤借金:信用情報3社への開示請求

マイナスの財産の調査は、CIC(クレジット系)・JICC(消費者金融系)・KSC(銀行系)の信用情報3社への開示請求が柱です。3社は加盟業種が違うため、必ず3社すべてに請求します。あわせて、信用情報に載らない借金(個人間・連帯保証・税金滞納・担保付き借入れ)は郵便物と登記で拾います。

この分野は判断期限(相続放棄の3か月)に直結するため、詳細な手順を「親の借金は相続される?信用情報3社での調べ方」として独立させています。借金の可能性が少しでもあるなら、5分野の中で最優先で着手してください。

調査はいつまでに終える?期限との関係

期限調査との関係
3か月(相続放棄の熟慮期間)負債調査(⑤)と主要財産の把握はここまでに。間に合わない場合は家庭裁判所へ期間伸長の申立てが可能
10か月(相続税の申告・納付)全財産の評価額の確定が必要。財産の把握が遅れるほど後工程(評価・協議・申告)が圧迫されます
期限なし(ただし早いほど有利)遺産分割協議そのもの。ただし預金の払戻しや不動産の売却は協議が終わらないと動けないため、調査の遅れはすべての遅れになります

期限の全体像は「相続手続きの期限一覧」で確認してください。

よくある質問

他の相続人に知らせず、こっそり調査してもいいのですか?

照会自体は相続人単独の権利として可能です。ただし、後の協議での信頼関係を考えると、調査すること・結果を共有するのが得策です。逆に、他の相続人が財産を開示してくれない場合に自力で確認する手段としても、この記事の照会制度は機能します。

調査費用は全部でいくらぐらいかかりますか?

戸籍・証明書の実費と各照会の手数料を合わせて、おおむね1〜3万円程度が目安です(照会する銀行数・自治体数によります)。専門家(司法書士等)に財産調査から依頼する場合の報酬は別途かかります(費用の相場)。

タンス預金や貸金庫の中身はどう調べますか?

自宅の現金・貴金属は遺品整理の中で確認し、見つかった額を財産目録に記録します(タンス預金の税務上の扱い)。貸金庫は銀行への相続手続きの中で開扉します(原則相続人全員の同意。銀行手続きの流れ)。

生前に親の財産を確認しておく方法はありますか?

本人以外による照会は原則できないため、本人に書き出してもらうのが唯一にして最善です。エンディングノートや財産目録を親自身に作ってもらえば、死後の調査はほぼ不要になります(親への切り出し方)。

調査結果は、そのまま財産目録に

照会で判明した預金・不動産・保険・証券・借金を入力すれば、遺産分割協議にも相続税の検討にも使える財産目録が完成します。無料・登録不要です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的助言を行うものではありません。各照会制度の手数料・必要書類・対象範囲は変更されることがあります。利用時は各機関の最新の案内をご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)