相続の残高証明書の取り方|死亡日時点・必要書類・手数料と「請求すると口座凍結」の注意点
残高証明書は、亡くなった方の口座に「その日時点でいくらあったか」を銀行が証明する書類です。遺産分割協議の前提となる財産目録づくりと、相続税申告の資料として使います。
結論から。①死亡日(相続開始日)時点の残高で取る、②相続人1人から請求できる、③ただし請求した時点で銀行は死亡を知り、口座は凍結される――この3点を押さえれば迷いません。特に③は順番を間違えると引き落とし不能などの実害が出るため、この記事では「いつ・何の後に」請求すべきかまで含めて解説します。
残高証明書の基本:いつ時点・誰が・いくらで
- 基準日は必ず「死亡日(相続開始日)」で指定します。窓口で日付を聞かれたら死亡日を答えてください。相続税申告も協議もこの日の残高が基準です
- 相続人(または遺言執行者・相続財産管理人)1人から請求できます。全員の同意や実印は不要です
- 手数料の目安は1通あたり数百円〜1,100円程度(銀行により異なる)。支店の窓口予約が必要な銀行が増えています
- 対象はその銀行の全取引(普通・定期・投資信託・借入まで)を一括で証明してもらうのが基本。「他にも口座があった」の見落としを防げます
必要書類:一覧図があると一気に楽になる
- ①亡くなった方の死亡がわかる戸籍(除籍)謄本、②請求者が相続人であるとわかる戸籍謄本――この2点は法定相続情報一覧図1枚で代替できます。複数行を回るなら一覧図の取得が先です
- ③請求者の実印+印鑑証明書(発行後6か月以内が目安)、④本人確認書類、⑤通帳・キャッシュカード(あれば)
- 銀行ごとに微妙に要件が異なるため、訪問前に電話かWebで「相続による残高証明書の請求」に必要な書類を確認しましょう
最重要の注意:請求すると口座が凍結される
- 残高証明書を請求した時点で銀行は死亡の事実を把握し、口座は凍結されます。以後、引き落としも入金も止まります
- 先にやること:亡くなった方の口座から引き落とされている公共料金・家賃・サブスク等の支払方法の変更。凍結後に切り替えると督促や延滞が発生しがちです
- 当面の葬儀費用等が必要な場合は、凍結後でも仮払い制度(1金融機関あたり上限150万円・法定相続分の3分の1まで)が使えます
相続税申告がある場合のプラス書類
- 定期預金がある場合は、残高証明書とあわせて「既経過利息計算書」(死亡日までの利息を計算した書類)を発行してもらいます。相続税の評価は元本+既経過利息(税引後)だからです
- 外貨預金は死亡日のレートでの円換算、投資信託・株式は死亡日の評価額の参考資料もあわせて依頼します
- 申告不要の家庭でも、残高証明書は協議書の別紙・財産目録の裏付けとして全員の安心材料になります
よくある質問(FAQ)
凍結される前に、当面の生活費を下ろしておいてもいいですか?
おすすめしません。死亡後にカードで引き出したお金は、他の相続人から使途を疑われる最大の火種になり、使い方によっては相続放棄ができなくなるリスクもあります。必要資金は仮払い制度で、記録が残る形で引き出すのが安全です。
残高証明書は何通必要ですか?
用途は主に「相続税申告用」と「協議・記録用」です。税務署提出用に1通あれば足りるケースがほとんどで、協議用はコピーで構いません。迷ったら1通取り、必要になったら追加請求しましょう(基準日が同じなら後からでも同じ内容で発行されます)。
ネット銀行や、通帳が見つからない口座はどうすれば?
ネット銀行も郵送やWebで残高証明書を発行しています。口座の存在自体が不明な場合は、キャッシュカード・郵便物・スマホのアプリを手がかりに各行へ「口座の有無の照会(現存照会)」を掛けます。
まとめ
- 基準日は死亡日。相続人1人から、実印+印鑑証明と戸籍(または一覧図)で請求できる
- 請求=銀行が死亡を知る=凍結。引き落としの切替を済ませてから動く
- 定期預金は既経過利息計算書もセットで。申告がある家庭は必須
- 複数行を回るなら法定相続情報一覧図を先に1枚作るのが最短ルート
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。
ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。手数料額・印鑑証明の有効期限は最新の各行要領でご確認ください(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。