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追加信託とは?契約後に財産を追加する方法・書式・贈与税の注意

公開日 2026年8月25日 ・ 更新日 2026年8月25日 ・ 8分で読めます

家族信託を組んでしばらく経つと、必ずこの場面が来ます——「信託しておいたお金が足りなくなってきた」「あの定期預金も入れておけばよかった」。あとから財産を加えることを追加信託といい、実務ではごく普通に行われています。

ただし、無条件にできるわけではありません。分かれ目は契約書の条項委託者の判断能力の2つ。この記事では、追加できる条件、現金と不動産それぞれの手続き、書面に残す理由、そして受益者の設計によっては贈与税が生じうる点までを整理します。契約全体の変更ルールは「家族信託は後から変更・解約できる?」へ。

この記事の要点

①追加できるかは「契約書に追加を認める条項があるか」と「委託者に判断能力があるか」で決まる。条項がなくても変更手続きで対応できる場合がある ②現金は入金+書面、不動産は登記が必要で費用も発生する ③委託者=受益者なら原則課税関係は生じないが、別人だと贈与税の対象になりうる。追加は必ず書面で残す

追加信託とは——できる条件は2つ

追加信託とは、すでに動いている信託契約に、あとから財産を加えることです。新しい契約を作り直すのではなく、今ある信託の器に財産を足すイメージ。よくあるのは、当初は最低限の生活費だけを信託し、介護費用の増加に合わせて預金を追加していくケースです。

条件満たす場合満たさない場合
①契約書に追加の条項がある条項に沿って追加できる変更手続きで定めを設けられる場合がある
②委託者に判断能力がある追加の意思表示ができる追加も変更も難しくなる
信託口口座の取扱い入金で反映金融機関ごとの手続きの確認が必要
実務では②が決定的です。追加信託もまた、委託者が元気なうちにしかできない手続きだと考えてください。

だからこそ、契約時に追加信託を認める条項を必ず入れておくのが定石です。これから契約する方は「家族信託契約書のひな形と書き方」で条項を確認してください。

現金を追加する手続き

もっとも多いのが現金の追加です。流れはシンプルです。

  1. 契約書を確認——追加信託の条項と、追加できる財産の範囲を見る
  2. 追加する金額と時期を決める——委託者と受託者で合意する
  3. 書面を作成する——金額・日付・当事者・対象財産を記載し、双方が署名
  4. 委託者の口座から信託口口座へ入金——出所がわかるよう振込で行う
  5. 帳簿に記録——受託者が信託帳簿へ追加分を記載(帳簿のつけ方
書面を省かないでください

「親子なんだから振り込むだけでいい」——これがいちばん危うい進め方です。入金という事実だけでは、追加信託なのか、貸付なのか、受託者への贈与なのかが区別できません。他の相続人から使い込みを疑われたとき、説明の根拠になるのは書面だけです。金額の大小は関係ありません。

不動産を追加する手続きと費用

不動産の追加は、現金とは重さが違います。所有権移転および信託の登記が必要で、登録免許税と司法書士報酬という実費が生じます。手順は、契約書の確認→追加する旨の書面作成→登記申請→火災保険や管理会社への名義の連絡、という流れになります。

注意点が3つあります。①ローン・抵当権付きの物件は金融機関の承諾が前提ローン付き不動産の家族信託)、②賃貸物件なら損益通算の制限という税務上の不利が及ぶ、③そもそも信託できない財産もある(信託財産にできるもの・できないもの)。とくに①を後回しにすると、登記の直前で止まります。

税務の注意点と、実務のつまずき

税務の整理はこうです。委託者=受益者の一般的な設計なら、財産を追加しても実質的な持ち主は変わらないため、原則として課税関係は生じません。一方で委託者と受益者が別人の場合、経済的利益が移ったとみて贈与税の対象と扱われる可能性があります家族信託と贈与税)。追加の前に税理士へ確認してください。

実務のつまずきは決まって同じ2つです。ひとつは書面の省略。もうひとつがお金の混同——受託者個人の口座を経由して信託口口座へ入れてしまい、資金の出所が追えなくなるパターンです。委託者の口座から信託口口座へ直接、振込で。この原則さえ守れば、数年後に見返しても筋が通ります(家族信託の失敗事例)。

追加信託を、書面で確実に——金額・日付・対象財産を記した追加信託契約書があれば、資金の性質が確定し、家族間の説明もつきます。無料・登録不要でつくれます。

追加信託契約書をつくる

よくある質問(FAQ)

契約書に追加信託の条項がありません。もう追加できませんか?

条項がなくても、契約変更の手続きによって追加できる場合があります。多くの契約書は委託者と受益者の合意などによる変更の方法を定めており、それに沿って追加のための定めを設ける流れです。ただし変更の手続きには委託者本人が関与するのが通常で、判断能力が低下していると難しくなります。また、信託口口座を開設している金融機関が独自の取扱いを定めていることもあります。契約書を確認し、作成を依頼した専門家と金融機関の双方に相談してください。

現金を信託口口座に振り込むだけでは駄目ですか?

振込という事実だけでは、それが追加信託なのか、単なる立替金の返済や貸付なのか、あるいは受託者への贈与なのかが外形から判別できません。後日、税務や他の相続人との関係で説明を求められたときに困るのはご家族です。金額・日付・当事者・追加する財産を記した書面を作り、双方が署名する。この一手間だけで、性質が確定します。金額の大小にかかわらず、書面に残す運用を習慣にしてください。

追加信託で贈与税がかかることはありますか?

委託者と受益者が同じ人であれば、財産を追加しても実質的な持ち主は変わらないため、原則として課税関係は生じないと整理されます。注意が必要なのは、委託者と受益者が別人であるケースです。たとえば父が財産を追加し、受益者が子である場合、経済的利益が子へ移ったとみて贈与税の対象と扱われる可能性があります。設計の形によって結論が変わる領域なので、追加の前に必ず税理士へ確認してください(家族信託と贈与税)。

不動産を追加するときは、現金と何が違いますか?

手続きの重さが大きく違います。現金は信託口口座への入金と書面の作成で完結しますが、不動産は所有権移転および信託の登記が必要で、登録免許税や司法書士報酬といった実費も生じます。ローンや抵当権が付いている物件では、金融機関の承諾が前提になる点も現金にはない論点です。また、賃貸物件を追加する場合は損益通算の制限という税務上の影響も及びます。追加を思い立った段階で、登記と税務の両面を専門家に確認してください。

まとめ

追加信託は、動いている信託にあとから財産を足す手続きです。できるかどうかは契約書の条項委託者の判断能力で決まり、条項がなくても変更手続きで対応できる場合があります。現金は入金と書面で完結しますが、不動産は登記が必要で費用も発生し、ローン付きなら金融機関の承諾が前提。税務は委託者=受益者なら原則問題なく、別人だと贈与税の論点が出ます。そして何より、追加は必ず書面で残すこと。振込の記録だけでは、それが何のお金だったかを後から証明できません。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務の個別助言を行うものではありません。追加の可否や課税関係は契約内容・受益者の設計により異なり、金融機関ごとに取扱いも異なります。実行前に必ず専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)