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遺言書の付言事項の例文集|不公平な分け方でも揉めない「最後の手紙」の書き方

公開日 2026年8月18日 ・ 更新日 2026年8月18日 ・ 7分で読めます

付言事項(ふげんじこう)とは、遺言書の末尾に添える、法的効力を持たないメッセージのことです。財産の配分(本文)が「What」なら、付言は「Why」——なぜこの分け方にしたのか、家族への感謝、残される人への願いを自由に書けます。

法的効力がないなら不要かというと、まったく逆です。不公平に見える配分の遺言が争いになるかどうかは、多くの場合「理由が伝わっているか」で決まります。遺留分(遺留分とは)の請求は権利ですが、行使するかは感情が左右する——その感情に届く唯一のパーツが付言です。この記事では、場面別の例文6種と、書き方の作法、かえって紛争を煽ってしまうNG表現を紹介します。

付言の役割と限界——「効力はないが、効果はある」

  • 付言に書いた内容(「遺留分を請求しないでほしい」等)に法的な拘束力はありません。配分そのものは必ず本文(遺言書の文例10選の文例)で指定します
  • それでも実務家が付言を重視するのは、①不公平配分の「理由」を本人の言葉で残せる ②感謝が伝わると遺留分請求・調停への感情的な動機が薄れる ③遺言の有効性を争われたときに、本人の真意と判断力の傍証になる——という3つの実利があるからです
  • 書く場所は遺言書の本文の後、署名の前。「付言事項」と見出しを立てるのが一般的です。長さは自由ですが、便箋1枚・数百字程度が読まれる分量です

場面別の例文(1〜3)——不公平配分の理由を伝える

付言事項の設計 ― 伝わる3要素とNG表現を示す図解
図:付言事項の設計 ― 伝わる3要素とNG表現
  • 例文1|介護をしてくれた子に多く残す(寄与分とは:「長女◯◯には、私の療養中、仕事を調整しながら長年支えてもらいました。自宅を長女に相続させるのは、その感謝の気持ちからです。長男◯◯、二男◯◯も、それぞれの場所で私を気遣ってくれたこと、本当にありがたく思っています。どうか私の最後の願いとして、この分け方を受け入れ、これからも三人仲良く助け合ってください。」
  • 例文2|配偶者に全財産(子には遺留分がある場合):「全財産を母さんに相続させるのは、母さんの今後の生活を何より心配しているからです。子どもたちにはいずれ母さんから引き継がれるものと考え、この形にしました。◯◯と◯◯が母さんを支えてくれると信じています。」——「いずれあなたたちへ」という時間軸の提示は、子の納得を得る定番の論法です
  • 例文3|再婚家庭(再婚と前妻の子:「◯◯(前妻の子)へ。離れて暮らす年月が長くなりましたが、あなたへの想いが消えたことは一日もありません。◯◯銀行の預金をあなたに相続させます。妻◯◯には自宅と老後の資金を残します。私亡き後、それぞれの生活が穏やかであることだけを願っています。」——前の家族への言及を避けないことが、この類型の付言の核心です

場面別の例文(4〜6)——事業・障害のある子・寄付

  • 例文4|事業承継(自社株の相続と評価:「会社の株式をすべて長男に相続させるのは、会社と従業員の生活を守るには経営権をひとつにまとめる必要があるからです。長女には預金と保険金を残しました。金額の差は、愛情の差ではありません。会社を継ぐことは、財産というより重い責任を継ぐことだと、家族みんなに理解してほしいのです。」
  • 例文5|障害のある子への配慮(親なきあとの備え:「二男◯◯に多くの財産を残すのは、親亡き後の彼の生活を守るためです。長男◯◯には負担をかけますが、どうか弟を見守ってください。あなたに弟の人生を背負わせるつもりはありません。制度と専門家の力を借りながら、兄として時々気にかけてくれるだけで十分です。」——きょうだいの「負担の上限」を親の言葉で示すのが、この類型で最も喜ばれる一文です
  • 例文6|遺贈寄付:「財産の一部を◯◯法人に遺贈するのは、◯◯(動機:闘病中に支えられた等)だからです。残りの財産と、何よりの感謝を家族に残します。」——寄付は家族に唐突と受け取られやすいため、動機の一文が必須です

書き方の作法とNG表現

  • 伝わる付言の3要素①感謝(全員に触れる)②理由(配分のWhy)③願い(今後の家族関係)。この順に書けば、まず外しません
  • NG①:特定の相続人への非難・恨み言(「◯◯は親不孝だったので」)——本人の名誉を傷つける記載は、遺留分請求の引き金・遺言無効の争いの燃料になります。廃除(相続権の剥奪)を本気で望む場合は付言ではなく本文+家裁の手続きの世界です
  • NG②:本文と矛盾する内容(本文で長男に自宅、付言で「自宅は皆で使って」等)——解釈争いの火種です。NG③:条件や指示のようで効力がない記載(「墓参りを条件に相続させる」等)——負担付遺贈にしたいなら本文に書きます(専門家と)
  • 誰か一人にも触れないのは避ける:名前の出ない相続人は「忘れられた」と受け取ります。配分がゼロの人にこそ、感謝の一文を
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よくある質問(FAQ)

付言に「遺留分を請求しないでください」と書いてもいいですか?

書くこと自体は自由で、実務でもよく使われます(「遺留分の請求はしないでほしいというのが私の願いです」等)。ただし放棄を強制する効力はなく、命令口調は逆効果です。効くのは「請求するな」ではなく、例文2のような理由と感謝によって請求の動機を減らす書き方です。遺留分侵害が大きい遺言は、付言に頼り切らず、保険金による原資の用意(生命保険の非課税枠)や配分の再考もあわせて検討してください。

公正証書遺言でも付言は書けますか?

書けます。公証人に伝えれば、公正証書遺言の末尾に付言事項として記載してもらえます(内容の法的チェックはされますが、想いの表現は本人の言葉が尊重されます)。自筆・公正証書いずれでも、付言だけ後から便箋で別途添える方法(エンディングノートや手紙)もあります——ただし遺言書と別の紙は読まれない・失われるリスクがあるため、本体への記載が確実です。

文章が苦手です。うまく書けるコツはありますか?

上手に書く必要はまったくありません。むしろ整いすぎた文章より、本人の言葉のほうが心に届きます。コツは「3要素を1〜2文ずつ」——①全員への感謝を一言ずつ ②配分の理由を一文 ③今後の願いを一文、で十分です。書き出せない方は、当サイトのエンディングノートツール(エンディングノートの書き方)の「家族へのメッセージ」項目で下書きし、遺言に転記する方法をおすすめします。

まとめ

  • 付言は法的効力ゼロ・心理的効果大。不公平配分の遺言には事実上の必須パーツ
  • 型は「感謝→理由→願い」。全員の名前に触れ、便箋1枚程度で
  • NGは非難・本文との矛盾・効力のない条件。恨み言は紛争の燃料にしかならない
  • 「請求するな」ではなく、請求したくなくなる言葉を。原資の用意(保険)とセットで

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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