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介護費用は医療費控除の対象になる?対象サービスと申告のやり方
介護が始まると、毎月それなりの額が出ていきます。ここで見落とされがちなのが医療費控除——介護費用の一部は、確定申告で所得から差し引ける可能性があります。
ポイントは2つ。対象になるのは介護費用のすべてではないこと、そして生計を一にしていれば子が申告できることです。この記事では、対象になるもの・ならないものの整理と、領収書の集め方から申告までの実務を解説します。負担そのものを軽くする制度は「介護の世帯分離」「介護費用は誰が払う?」もあわせてどうぞ。
①医療系のサービス(訪問看護、医師の指示による通所リハビリ等)や、それと併せて受ける生活援助の一部が対象になり得る ②施設サービスも種類により対象や対象割合が異なる。おむつ代は医師の証明があれば対象になる場合がある ③目印は領収書。事業者が対象額を区分して記載していることが多い ④生計を一にする家族なら、実際に支払った人が申告できる
医療費控除のしくみをおさらい
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定の金額を超えたときに、その超えた部分を所得から差し引ける制度です。税金が直接戻る制度ではなく、課税の対象となる所得を減らす仕組みなので、実際の還付額は所得税率によって変わります。
ここで大事なのが、高額療養費や高額介護サービス費、保険金などで補填された金額は差し引いて計算するという点です。戻ってきた分まで含めて申告することはできません。
医療費控除は「使ったお金の一部が戻る」制度であって、負担そのものを下げる制度ではありません。まず優先すべきは、施設の食費・居住費が下がる負担限度額認定や高額介護サービス費といった負担軽減の仕組みです。それらを使い切ったうえで、最後に医療費控除で取り戻す——この順番で考えてください。
対象になる介護費用・ならない介護費用
| 費目 | 医療費控除の扱い |
|---|---|
| 訪問看護、訪問リハビリ、医師の指示による通所リハビリなど医療系サービスの自己負担 | 対象になる |
| 訪問介護(生活援助中心のもの)などを、上記の医療系サービスと併せて利用した場合の自己負担 | 一定の範囲で対象になり得る |
| 介護老人保健施設・介護医療院の施設サービス費・食費・居住費 | 対象になる(自己負担額が基準) |
| 特別養護老人ホームの施設サービス費・食費・居住費 | 自己負担額の一部が対象 |
| おむつ代(おおむね半年以上寝たきり等) | 医師の証明書等があれば対象になる場合がある |
| 生活援助中心の訪問介護のみを利用した場合、日常生活費、理美容代 | 対象外 |
| 介護保険料そのもの | 医療費控除の対象外(社会保険料控除の対象) |
細かく見えますが、実務の目印はひとつです——領収書に医療費控除の対象額が区分して記載されているかどうか。事業者側が制度に沿って計算しているので、自分で判断するより確実です。
誰が申告するか——生計を一にする家族
医療費控除は、本人だけでなく、生計を一にする親族の分もまとめて申告できます。同居していなくても、生活費や医療費を継続的に送金しているなど、生活の財源が同じと認められる場合は該当し得ます。遠距離介護でも使える可能性があるということです(遠距離介護のやり方)。
実務上は実際にその費用を支払った人が申告します。控除の効果は所得が高い人ほど大きくなる傾向があるため、家族の誰が申告するかは、事前に相談して決めておくとよいでしょう。あわせて、親のお金で払うか子が立て替えるかの整理も必要です(親の預金から介護費用を払うには)。
申告の手順と、領収書の集め方
- 領収書を1年分集める——介護サービス、医療機関、薬局、おむつ代。年ごとに封筒1つでまとめる運用が結局いちばん続きます
- 対象額を拾う——領収書の医療費控除対象額の記載を確認。不明なら事業者やケアマネジャーへ
- 補填された金額を差し引く——高額療養費、高額介護サービス費、保険金など
- 医療費控除の明細書を作成——健康保険組合等から届く医療費のお知らせを使える場合があります
- 確定申告——会社員の方も、医療費控除を受けるには申告が必要です
そして最後に、忘れてはいけない前提の話を。控除も軽減制度も、親のお金が使える状態であってこそ意味を持ちます。判断能力が落ちれば、預金からの支払いも実家の売却も止まり、控除で数万円を取り戻すどころではなくなります(できなくなること一覧)。節税の工夫と並行して、原資を守る備えも進めてください(4制度の比較)。
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財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
親の介護費用を、子である私が申告してもいいのですか?
生計を一にしていれば可能です。同居していなくても、生活費や医療費を継続的に送金しているなど、生活の財源が同じと認められる場合は該当し得ます。実務上は、実際にその費用を支払った人が申告します。控除の効果は所得が高い人ほど大きくなる傾向があるため、家族の中で誰が申告するかを事前に相談しておくとよいでしょう。ただし判定は個別の事情によるため、迷う場合は税務署か税理士に確認してください。
おむつ代は控除の対象になりますか?
なる場合があります。傷病によりおおむね半年以上寝たきりで、医師の治療を受けている方のおむつ代については、医師が発行する「おむつ使用証明書」を添えることで対象となる取扱いがあります。一定期間を経過している場合には、市区町村が発行する確認書等で代替できる仕組みが設けられていることもあります。証明書の発行には日数がかかることがあるため、対象になりそうなら早めに主治医へ相談し、購入時の領収書を保管しておいてください。
どのサービスが対象かを、自分で判断できる目印はありますか?
実務でいちばん確実なのは、事業者が発行する領収書の記載を見ることです。医療費控除の対象となる金額が区分して記載されている、あるいは対象額の欄が設けられていることが多く、事業者側が制度に沿って計算しています。判断に迷う場合は、ケアマネジャーや事業者に直接尋ねるのが早道です。自己判断で対象額を計算すると誤りやすいため、領収書の記載を基本に、不明点は発行元に確認してください。
申告を忘れていた年の分は、あとから取り戻せますか?
還付を受けるための申告は、その年の翌年から一定期間さかのぼって行える仕組みがあります。過去の分について領収書が残っているなら、まとめて手続きできる可能性があるということです。ただし、期間や必要書類の扱いには定めがあるため、対象になるかは税務署にご確認ください。実務上のポイントは、領収書を年ごとにまとめて保管しておくこと。毎年の申告を習慣にするほうが、後からさかのぼるより確実で手間もかかりません。
まとめ
介護費用のうち、訪問看護や通所リハビリなどの医療系サービス、介護老人保健施設等の施設サービス費、条件を満たすおむつ代などは医療費控除の対象になり得ます。一方、生活援助のみの訪問介護や日常生活費、介護保険料は対象外です。判断の目印は領収書の対象額の記載。生計を一にしていれば子が申告でき、実際に支払った人が申告します。ただし優先順位は、まず負担軽減の制度を使い切ってから控除。そして何より、親のお金が使える状態を保つ備えが土台にあります。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。