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相続発生後

相続したマンションをどうする?管理費・修繕積立金・評価額と売却の判断

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 9分で読めます

マンションの相続は、戸建ての実家とは別種の注意点があります。最大の違いは、持っているだけで管理費・修繕積立金が毎月発生し、しかも親の滞納分まで引き継ぐこと。そして管理組合という「もう一人の関係者」がいることです。

「住む・貸す・売る・手放す」という意思決定の全体フレームは「相続した実家をどうする?4択」で解説しているため、この記事ではマンション(区分所有)に固有の論点──費用の承継、管理組合への届出、登記、評価、判断材料──に絞ります。

マンション相続の全体像|戸建てと違う3つのポイント

親の部屋 マンション(区分所有建物) ① 毎月の費用 管理費・修繕積立金は 滞納分ごと相続人が承継 ② 管理組合 区分所有者の変更届など 「もう一人の関係者」 ③ 登記と評価 敷地権つき区分建物の登記 2024年〜評価ルール変更 ※ 部屋(専有部分)だけでなく、共用部分・敷地の権利と管理組合との関係が一体でついてきます
図1:マンション相続の3つの固有論点。部屋の権利だけを引き継ぐわけではありません。

管理費・修繕積立金は「滞納分ごと」引き継ぐ

まず費用の話です。管理費・修繕積立金の支払い義務は、相続と同時に相続人へ引き継がれます。注意すべきは次の3点です。

① 空室でも発生し続ける──誰も住まなくても、月1〜4万円程度(物件による)の負担が続きます。固定資産税と合わせると、放置コストは戸建てより明確に高いのがマンションです。
② 親の滞納分も引き継ぐ──滞納管理費は債務として相続の対象です。区分所有法により、管理組合は特定承継人(買主)にも請求できるため、売却時には精算が事実上必須になります。相続直後に管理会社へ滞納の有無を確認してください。
③ 修繕積立金の値上げ予定を確認する──長期修繕計画上、段階的な値上げや一時金の徴収が予定されている物件は多く、「今の月額」だけで貸す・持つの採算を判断すると誤ります

相続放棄を検討しているなら

債務超過が疑われる場合、滞納管理費を相続財産から支払う行為は単純承認とみなされるおそれがあります。支払い・解約・処分に手を付ける前に、財産と負債の全体を確認してください(親の借金の調べ方死亡後の支払い・引き出しの注意)。

管理組合への届出と相続登記

管理組合(管理会社)への連絡──死亡の連絡と、取得者が決まったら区分所有者変更の届出を行います。管理費の引き落とし口座の変更、総会案内・連絡先の登録もここで済ませます。当面の窓口となる代表者を早めに伝えておくと、掲示物・漏水など緊急連絡の宙づりを防げます。

相続登記(3年以内・義務)──マンションの登記は「敷地権付き区分建物」という形式で、部屋(専有部分)の登記に土地の権利(敷地権)が一体化されているのが一般的です。この場合、建物の相続登記を申請すれば敷地の権利も一緒に移り、登録免許税は建物評価額+敷地権割合分の土地評価額の0.4%で計算します。手順は戸建てと共通なので「相続登記を自分でやる方法」をご覧ください。古いマンションでは敷地権化されておらず土地・建物を別々に登記するケースがあり、その場合は司法書士への相談をおすすめします。

相続税評価|2024年からマンションの評価ルールが変わった

マンションの相続税評価は「建物(固定資産税評価額)+敷地(路線価×敷地権割合)」が基本ですが、2024年1月以降の相続からは新しい評価ルールが適用されています。

新ルールの考え方(居住用の区分所有財産の評価)

従来の評価額が市場価格より大幅に低くなりやすかった(特にタワーマンション高層階)ことへの対応として、築年数・階数・敷地持分などから算出する評価乖離率を使い、従来評価が市場価格理論値の6割未満となる場合は市場価格理論値の6割まで評価額を引き上げる補正が行われます。結果として、都市部・高層階のマンションほど従来より評価が上がったケースが多くなっています。

「昔ざっくり計算したときは基礎控除内だった」という家庭でも、新ルールでは超える可能性があります。基礎控除の判定をやり直し、同居していた場合などは小規模宅地等の特例(敷地部分に適用可)の要件も確認してください。正確な評価は税理士へ(費用の相場)。

貸す・売るの判断で見るべき3つの数字

見るべき数字チェックポイント
① 実質利回り想定家賃から管理費・修繕積立金・固定資産税・原状回復費を引いた手取りで計算。表面利回りで判断すると、区分所有は特に見誤ります
② 修繕積立金の健全性長期修繕計画と積立残高(管理会社から「重要事項調査報告書」を取得)。積立不足の物件は将来の値上げ・一時金・資産価値下落の三重リスク
③ 築年数と管理状態売却相場は管理状態で差がつきます。「マンションは管理を買え」は売る側にも当てはまり、総会議事録・大規模修繕の履歴が価格交渉の材料になります

売却する場合の税金(3,000万円控除の適用可否・取得費加算)は「相続した不動産を売却したときの税金」で確認してください。なお、被相続人が一人で住んでいた「空き家」の3,000万円特別控除は、区分所有建物(マンション)は対象外という重要な違いがあります。

誰が相続するか|共有だけは避ける

マンションは物理的に分けられないため、相続人が複数いる場合の選択肢は①1人が取得して代償金で調整(代償分割)、②売却して代金を分ける(換価分割)のどちらかが基本です(換価分割の進め方代償分割の記載例)。

「とりあえず共有」は、賃貸に出すにも売るにも共有者の同意が要る状態を作り、管理費の負担割合でも揉めがちです。共有にしてしまった後の解消方法は「相続した不動産の共有名義を解消する方法」で解説していますが、最初から作らないのが一番です。

よくある質問

誰も住まないマンションを、当面そのままにしておくのはアリですか?

期限を切るなら選択肢ですが、管理費等・固定資産税で年間数十万円規模の維持費が出続けます。1年以内に「貸す・売る」を決める、と期限を決めて動くことをおすすめします。放置の一般的なリスクは空き家の放置と共通です。

親が住んでいた賃貸マンション(借りていた部屋)も相続の対象ですか?

賃借権は相続されますが、住まないなら解約して明け渡すのが通常です。滞納家賃・原状回復費は債務として引き継ぐため、放棄を検討する場合は解約手続きにも注意が必要です。敷金の返還は相続財産になります。

ローンが残っているマンションはどうなりますか?

まず団体信用生命保険(団信)の有無を確認してください。団信付きなら死亡により完済され、抵当権の抹消登記を行います。団信がない場合、ローンは債務として相続の判断材料になります(借金の調べ方)。

投資用に区分マンションを何室か持っていました。注意点は?

各室の管理費・ローン・賃貸借契約(入居者・敷金)を室ごとに整理する必要があります。家賃は遺産分割までは相続人に法定相続分で帰属します。収益物件の扱いは「賃貸アパートを相続したら」と考え方が共通です。

マンションの情報を財産目録に整理して、判断材料をそろえる

所在・評価額・管理費・ローン残高を1枚に書き出せば、「住む・貸す・売る」の比較も協議もスムーズに。ブラウザで無料作成できます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的・税務的助言を行うものではありません。マンションの評価・特例の適用可否は物件と事案により異なります。相続税が関わる場合は税理士に、登記・権利関係は司法書士にご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)