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生前の備え

内縁の妻・夫に相続権はない|パートナーに財産を残す5つの方法と、今すぐ遺言が必要な理由

公開日 2026年8月18日 ・ 更新日 2026年8月18日 ・ 7分で読めます

入籍していないパートナー——内縁・事実婚の関係には、何十年生活を共にしていても、法律上の相続権が一切ありません。対策をしないまま一方が亡くなると、遺産は全額、法定相続人(相手の親や兄弟姉妹、前婚の子など)のものになります。

住んでいた家が相手名義なら退去を求められ、生活費を頼っていた預金には1円も触れられない——これが法律のデフォルトです。しかし、生前の対策で結果はほぼ完全に変えられます。この記事では、内縁関係で使える5つの手段(遺言・保険・贈与・縁組・特別縁故者)と税務上の注意、そして「なぜ今すぐか」を解説します。

対策ゼロだと何が起きるか——住まい・お金・手続きの三重苦

  • 財産:預金・不動産・車などすべてが法定相続人へ。子がいない場合、相手の親、それもいなければ兄弟姉妹(疎遠でも)が相続します。あなたの取り分はゼロです
  • 住まい:家が相手名義なら、相続した親族から明け渡しや家賃を請求され得ます(判例上、内縁配偶者の居住が一定程度保護される場面はありますが、盤石ではありません)。賃貸の場合は、相続人がいないケースで借家権を承継できる保護規定がありますが、相続人がいる場合は交渉次第の不安定な立場です
  • 手続き:法律上の親族でないため、死亡直後の病院・葬儀・行政手続きの場面で決定権がない扱いを受けがちです。財産以前に、看取りと弔いの場面から締め出されるリスクがあることを知ってください(対策は後述の死後事務委任・死後事務委任契約
  • 数少ない例外として、遺族年金(厚生年金の遺族厚生年金等)は、事実婚でも生計維持関係が認められれば受給できる可能性があります。健康保険の被扶養者になれるのと同じ「社会保険は実態主義」の世界です。ただし認定には住民票(未届の妻)や生活実態の資料が必要で、ハードルはあります

財産を残す5つの手段——使い分けの全体像

内縁のパートナーに残す5つの手段 ― 使い分けマップを示す図解
図:内縁のパートナーに残す5つの手段 ― 使い分けマップ

手段①:遺言による遺贈(本命・全員必須)

  • 「パートナー○○にすべての財産(または特定の財産)を遺贈する」という遺言自筆証書遺言の書き方遺贈とは)が対策の核です。これだけで法定相続人優先の原則をひっくり返せます。確実性を重視するなら公正証書遺言+遺言執行者の指定(できれば専門家)を
  • 相手に子や親がいる場合、その遺留分(遺留分とは)は遺言でも奪えません。遺留分相当は相続人に残す配分にするか、請求された場合の支払い原資(後述の保険)を用意しておきます。兄弟姉妹には遺留分がないため、相続人が兄弟のみの内縁カップルは「遺言1通で完全に守れる」典型例です

手段②:生命保険——受取人指定できれば最強の現金

  • 死亡保険金は受取人固有の財産として、遺産の外で確実に渡せます。ただし保険会社は内縁パートナーの受取人指定に慎重で、同居年数・戸籍上の配偶者不存在などの確認・審査があり、断られる場合もあります。指定できる商品・条件を複数社で確認しましょう
  • 税務注意:内縁パートナーは相続人でないため、保険金の非課税枠(500万×人数)は使えず、相続税は2割加算です(生命保険の非課税枠)。それでも「確実・即日・遺留分の原資になる」機能は揺るぎません

手段③:生前贈与——早く始めるほど効く

  • 年110万円の基礎控除内の暦年贈与や、住まいの持分の生前贈与。内縁関係では夫婦の贈与税配偶者控除(2,000万円)が使えないため、不動産をまとめて贈与すると多額の贈与税がかかります。長期・分割が基本です

手段④:婚姻または養子縁組——法律関係そのものを作る

  • 身も蓋もないようですが、入籍すれば相続権・税額軽減・遺族年金のすべてが解決します。事情があって入籍しない選択も尊重されるべきものの、「手続きが面倒で」程度の理由なら再考の価値は大きい。高齢での婚姻は相続人(子)との軋轢を生みやすいため、遺言・付言とセットで

手段⑤:特別縁故者——最後のセーフティネット(あてにしない)

  • 相手に相続人が一人もいない場合、家庭裁判所に特別縁故者への財産分与を申し立てる道があります。ただし相続人不存在の確認手続き(相続財産清算人の選任・予納金数十万円〜)を経て、分与額も裁判所の裁量という、時間もお金もかかる不確実なルートです。「遺言を書いてもらえなかった場合の敗者復活戦」であり、生前対策の代わりにはなりません

財産以外の備え——医療・死後の手続きまでがセット

  • 任意後見契約・医療の意思表示:相手が認知症や意識不明になったとき、内縁パートナーは法的な代理権を持ちません。互いに任意後見契約(任意後見との併用)を結ぶ、医療について本人の意思を書面化(尊厳死宣言書)しておくことで、「そばにいるのに何も決められない」事態を防ぎます
  • 死後事務委任契約(死後事務委任契約:葬儀・納骨・家の片付けをパートナーに託す契約。遺言(財産)+死後事務委任(手続き)+エンディングノート(想い)の3点セットが、おひとりさま設計(おひとりさまの終活)と同じ構造で機能します
  • これらの契約はすべて「本人に判断能力があるうち」しか結べません。内縁カップルの終活は、法律婚の夫婦より一歩早く始める必要があります
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よくある質問(FAQ)

何十年も夫婦同然でした。裁判で争えば認められませんか?

期待しないでください。判例は内縁配偶者に相続権を認めておらず、同居年数がどれだけ長くても結論は変わりません。争いで得られる可能性があるのは、共有財産の清算(二人で築いた財産の持分主張)や居住の一定の保護など限定的な範囲で、いずれも立証の負担が重い茨の道です。裁判で勝ち取れないものを、遺言なら1通で確実に渡せる——これがこのテーマの結論です。

パートナーが遺言を書いてくれるか不安です。どう切り出せば?

「私に残して」ではなく「お互いに書こう」が正解です。内縁関係は双方が同じリスクを抱えているため、二人で同時に遺言を作る(内容を伝え合う)形なら、要求ではなく共同作業になります。記念日や引っ越しなどの節目に、エンディングノート(エンディングノートの書き方)から入って遺言に進むのが自然な流れです。なお夫婦でも1通の共同遺言は無効なので、必ず1人1通ずつ作ってください。

遺贈でもらう場合、税金はどれくらい不利になりますか?

3つの不利があります。①相続税の2割加算の対象 ②配偶者の税額軽減(1.6億円)が使えない ③保険金・死亡退職金の非課税枠が使えない。さらに基礎控除の「法定相続人の数」にもあなたは入りません。同じ財産を法律婚の配偶者が受け取る場合と比べ、税負担は大きく変わります。財産規模が大きい方は、入籍の検討や生前贈与の長期計画を含め、税理士に試算してもらう価値があります。

まとめ

  • 内縁パートナーの相続権はゼロ。対策なしでは家もお金も相手の親族へ
  • 核は遺言による遺贈。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言1通で守り切れる家庭も多い
  • 保険(審査あり・2割加算)・生前贈与・縁組・特別縁故者を状況に応じて上乗せ
  • 財産だけでなく医療・死後事務の備えもセットで。すべて「元気なうち」が締切

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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