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生前の備え

認知症の親の定期預金は解約できる?満期・自動継続・家族の対策

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

定期預金に数百万円。介護費用に充てたいが親は認知症——定期預金の解約には本人の意思表示が必要で、判断能力がなければ家族は解約できません。満期が来ても自動継続され、お金は動かないままです。

定期預金特有の仕組みと、判断能力があるうちの対策、なくなった後の道、相続時の扱いを整理します。口座凍結の全体像は「認知症で親の口座が凍結される?」をどうぞ。

この記事の要点

①定期預金は「自動継続」の設定なら本人の手続きなしに継続される。認知症で解約の意思表示ができなければ塩漬けになる ②総合口座では定期を担保に普通預金が貸越になり、判断できなくても引き落としで貸越が膨らみ利息がかかる ③判断能力があるうちの対策は、中途解約して普通預金や信託口座へ移す、代理人届を出す、家族信託 ④なくなった後は成年後見か銀行の柔軟対応。亡くなれば相続人が解約できる

定期預金特有の詰み——満期・自動継続・解約の意思表示

多くの定期預金は「自動継続」——満期時に手続きをしなければ同じ期間で自動的に継続される設定です。認知症になると解約の意思表示ができないため、満期が来るたびに継続が繰り返され、資金が引き出せないままになります。

普通預金なら、銀行によっては本人の医療費や施設費用に限って家族の払い出しに応じることがありますが、定期預金の解約は「本人の意思」への依存がより強く、家族の代理は認められにくいのが実情です(「認知症の親の預金を家族が引き出すには?」)。

総合口座の貸越——気づかないうちに借入が膨らむ

見落とされやすいのが総合口座の貸越です。普通預金の残高が不足したとき、定期預金を担保に自動的に融資が行われ、普通預金がマイナスになっても引き落としが続きます。

親が認知症になり、普通預金の残高を誰も確認しないまま公共料金や施設費用の引き落としが続くと、気づいたときには普通預金がマイナス数十万円になり、貸越利息がかかり続けていることがあります。通帳の普通預金欄がマイナスになっていないか、定期的に確認してください。

判断能力があるうちの対策——移す・代理人届・信託

対策内容と注意
満期を待たず普通預金へ移す中途解約すると利息は下がるが、元本は戻る。介護費用に使う見込みの分は、判断能力があるうちに普通預金か家族信託の口座へ
自動継続を「満期時に解約」へ変更満期になれば普通預金に入る設定にしておく。本人が銀行で手続きする
代理人届・代理人カード本人が銀行に届け出て、家族を代理人に登録する。銀行によって定期預金の解約まで代理できるかが異なるため確認が要る。判断能力があるうちにしか届け出できない
家族信託預金を受託者(子)名義の信託口口座に移し、受託者が親の生活費として管理する。定期預金のまま信託はできないため、解約して移す(「家族信託とは」)
判断能力があるうちにできる定期預金の対策(2026年8月時点)。

どの対策も本人の意思表示が前提です。定期預金の満期一覧を家族で共有し、次の満期を目安に動いてください。

判断能力がなくなった後の道と、相続時の扱い

判断能力がなくなった後は、選択肢は2つに絞られます。

  • 成年後見人による解約——家庭裁判所が選任した後見人は、本人の財産管理として定期預金を解約できる。申立てから選任まで2〜4か月、以後は後見が続き、専門職なら報酬がかかる(「成年後見の申立て方法」)
  • 銀行の柔軟対応——全国銀行協会は2021年、本人の医療費・介護費用に限り家族の払い出しに応じる考え方を示した。定期預金の解約まで応じるかは銀行ごとに違う。診断書・請求書を持って相談する価値はある

相続時——本人が亡くなれば、定期預金は相続財産として相続人が解約できます。遺産分割前でも仮払い制度で一定額を引き出せ、分割後は解約金を分けます。満期前でも相続を理由に解約でき、利息は既経過分が付きます。相続税の評価は、元本に相続開始日までの既経過利息(税引後)を加えた額です(「残高証明書の取り方」)。

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よくある質問(FAQ)

親の定期預金が満期を迎えました。認知症ですが、家族が解約に行けますか?

原則として家族は解約できません。解約は本人の意思表示が必要で、代理人届がなければ、銀行は本人の来店か意思確認を求めます。本人が窓口で受け答えできるなら、家族が同行して本人が手続きする形が最善です。できないなら、銀行に事情を説明し、本人の医療費・施設費用に充てる目的で柔軟な対応が可能かを相談してください。応じてもらえなければ、成年後見の申立てが必要になります。満期を過ぎても自動継続されるだけで、元本が減ることはありません。

親が総合口座で、普通預金がマイナス30万円になっていました。どうすればよいですか?

定期預金を担保に貸越が起きている状態です。貸越には利息がかかり続けるため、早く解消するのが得ですが、定期預金を解約して充当するには本人の意思表示が要ります。本人が判断できるなら、銀行で定期の一部を解約して普通預金に入れ、あわせて自動継続の設定を見直してください。判断できないなら、家族が自分の資金を普通預金に入金して貸越を解消する方法があります(後で本人の財産から精算)。引き落としの見直しも同時に行ってください。

代理人届を出しておけば、定期預金も解約できますか?

銀行によります。代理人届(代理人カード)で認められる範囲は、普通預金の入出金に限る銀行と、定期預金の解約まで認める銀行があります。届け出るときに「定期預金の解約と満期の扱いを代理できるか」を確認してください。また、本人の判断能力が失われた後は代理人届の効力を認めない銀行もあります。確実に家族が管理できる形にするなら、家族信託で預金を受託者名義に移すのが本命です。

定期預金のまま家族信託に入れられますか?

入れられません。家族信託は受託者名義の信託口口座に金銭を移して管理するため、定期預金は一度解約して現金化し、信託口口座に入金する必要があります。中途解約で利息は減りますが、判断能力がなくなって塩漬けになるリスクと比べれば小さい損失です。信託契約の作成と信託口口座の開設には1〜2か月かかるため、定期預金の満期に合わせて解約・移動できるよう、早めに司法書士など信託の専門家に相談してください。

まとめ

認知症の親の定期預金は、解約に本人の意思表示が必要で、満期が来ても自動継続で塩漬けになります。総合口座では定期を担保に普通預金の貸越が自動で膨らみ、利息がかかり続けることも。判断能力があるうちに、介護に使う分を普通預金や家族信託の口座へ移す、自動継続を解約設定に変える、代理人届を出す——これが対策です。なくなった後は成年後見か銀行の柔軟対応に頼るしかなく、亡くなれば相続人が解約できます。定期預金の満期一覧を家族で共有し、次の満期までに動くことが、最も現実的な一歩です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

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