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相続発生後

小規模宅地等の特例をわかりやすく|自宅の相続税評価が8割減になる要件・家なき子・二世帯住宅

公開日 2026年8月18日 ・ 更新日 2026年8月18日 ・ 7分で読めます

小規模宅地等の特例とは、亡くなった方の自宅や事業用の土地について、一定の要件を満たす相続人が取得した場合に、相続税の評価額を最大80%減額できる制度です。たとえば評価額5,000万円の自宅の土地が1,000万円として計算される——相続税の特例の中で最も減額インパクトが大きく、「使えるか使えないか」で納税額が数百万円単位で変わります。

それだけに要件は細かく、「同居していたつもり」「住民票だけ移していた」では否認される典型論点でもあります。この記事では、3つの類型と限度面積、自宅(特定居住用)の取得者別要件、老人ホーム・二世帯住宅・家族信託などの頻出ケースを、できる限り平易に整理します。最終判断は必ず税理士に——その前提で全体像をつかんでください。

制度の全体像——3つの類型と限度面積

  • ①特定居住用宅地等(自宅の土地)330㎡まで80%減額。本記事の主役です
  • ②特定事業用宅地等(個人商店・工場などの土地):400㎡まで80%減額。①と②は完全併用(合計730㎡まで)が可能です
  • ③貸付事業用宅地等(賃貸アパート・駐車場の土地):200㎡まで50%減額。相続開始前3年以内に貸付を始めた土地は原則対象外(駆け込み対策の防止)。③を使う場合は①②と限度面積の調整計算が入ります
  • 減額されるのは土地(宅地)の評価であり、建物は対象外です。また限度面積を超える部分は通常の評価のままです

自宅の土地:誰が取得すれば使えるか(3パターン)

小規模宅地等の特例(居住用)― 使える人・使えない人を示す図解
図:小規模宅地等の特例(居住用)― 使える人・使えない人

パターン①:配偶者が取得——無条件で適用

  • 配偶者は居住継続も保有継続も不要で、取得すれば適用されます。ただし配偶者には税額軽減(1.6億円)もあるため、一次相続で配偶者に寄せすぎると二次相続で特例が使えず課税が跳ね上がる——一次・二次セットでの試算が必須です

パターン②:同居親族が取得——申告期限まで居住+保有

  • 被相続人と同居していた親族が取得し、相続税の申告期限(10か月)まで引き続きその家に住み、かつ所有し続けることが要件です
  • 「同居」は実態で判断されます。住民票だけ実家に置いて実際は別のマンション暮らし——は否認の典型です。逆に住民票が別でも生活実態が同居なら認められ得ます。水道光熱費・郵便物・通勤経路などの実態が問われます

パターン③:別居の親族(いわゆる「家なき子」)——持ち家がないこと等

  • 配偶者も同居相続人もいない場合に限り、別居の親族でも適用の道があります。主な要件は、相続開始前3年以内に、自分・自分の配偶者・3親等内の親族・特別関係のある法人が所有する家に住んだことがないこと、相続開始時に住んでいる家を過去に自分が所有したことがないこと、申告期限までの保有継続、など
  • 2018年の改正で「自宅を子や同族会社に売って形式的に借家住まいを装う」等の抜け道は封じられています。「賃貸暮らしの子が実家を相続する」素直なケースが本来の対象です

頻出の応用論点——ここで可否が分かれる

  • 老人ホームに入居していた場合①要介護・要支援認定等を受けて ②法律に定める施設に入居し ③空けた自宅を貸したり別生計の親族が住んだりしていない——この条件を満たせば、自宅は「居住していた宅地」として特例の対象になり得ます。元気なうちの入居(認定なし)は対象外になり得る要注意点です
  • 二世帯住宅:構造上内部で行き来できない完全分離型でも、同居として扱われ得ます。ただし建物を親子で区分所有登記していると、別々の住まいと扱われ適用が大きく制限されます。二世帯住宅を建てる段階での登記の設計が重要です
  • 家族信託の土地:信託した自宅・土地でも、受益者を被相続人とする信託であれば、要件を満たす限り特例の適用は可能とされています(信託終了時の税金)。信託契約の設計と税理士の確認はセットで
  • 未分割では使えない:申告期限までに遺産分割が決まらない場合、いったん特例なしで申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出して分割確定後に還付を受けます(相続人に認知症の方がいて協議できないケースは相続人が認知症のとき

手続きの注意——税額ゼロでも申告が必要

  • 特例を使って税額がゼロになる場合でも、相続税の申告書の提出が必須です。「特例で基礎控除以下になったから申告不要」は誤りで、申告して初めて適用されます
  • 申告には遺産分割協議書または遺言、住民票・戸籍、家なき子の場合は借家の賃貸借契約書などの添付書類が必要です
  • 誰がどの土地を取得するかで税額が大きく変わるため、遺産分割の設計段階から税理士を入れるのが最も効果的なタイミングです
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よくある質問(FAQ)

特例を使うと、実際どれくらい税金が変わりますか?

例で見てみましょう。遺産が自宅の土地5,000万円+預金3,000万円、相続人が子2人の場合、基礎控除は4,200万円です。特例なしなら課税遺産は3,800万円で相続税が発生しますが、特例で土地評価が1,000万円になると遺産合計4,000万円<基礎控除4,200万円で税額ゼロ(ただし申告は必要)。「特例が使えるかどうか」がそのまま「課税か非課税か」の分かれ目になる家庭は非常に多いのです。

母と同居の兄が自宅を、別居の私が預金を相続します。何か影響はありますか?

その分け方なら、自宅は同居の兄が取得するため特例が使いやすく、家全体の相続税を抑えられます。注意点は、特例による減額は土地を取得した人の税額だけでなく遺産全体の課税価格を下げるため、あなたの税負担も下がるということ。つまり特例が使える分け方は家族全員の利益です。誰が何を取るかを決める協議(遺産分割協議書の書き方)の前に、分け方ごとの税額比較を税理士に出してもらうと、感情論でない話し合いができます。

賃貸アパートの土地にも使えますか?自宅とどちらを優先すべきですか?

賃貸用は「貸付事業用」として200㎡まで50%減の対象ですが、自宅(330㎡・80%減)と併用する場合は限度面積の調整計算があり、どちらにどれだけ割り振るかで減額総額が変わります。一般には㎡単価の高い土地・減額率の大きい類型を優先すると有利になりやすいものの、機械的には決められません。複数の土地がある方は、割り振りの最適化まで含めて税理士に試算を依頼してください。

まとめ

  • 自宅の土地は330㎡まで評価8割減。課税・非課税の分かれ目になる最強クラスの特例
  • 使えるのは配偶者(無条件)・同居親族(申告期限まで居住保有)・家なき子(持ち家なし等)
  • 老人ホームは要介護認定+自宅を貸さない、二世帯住宅は区分所有登記に注意、信託でも適用可
  • 税額ゼロでも申告必須。分け方で税額が変わるため協議の設計段階から税理士を

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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