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相続発生後

相続した土地・建物の評価額の出し方|路線価と固定資産税評価額の使い分け

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 10分で読めます

相続税の計算で使う不動産の「評価額」は、売れる値段(時価)とは別物です。土地は路線価(時価のおおむね8割水準)、建物は固定資産税評価額(建築費の5〜7割程度になることが多い)を使うため、時価より低い金額で計算できるのが通常です。

この記事は、自分で評価額の概算を出すところまでを解説します。出した評価額を使った課税判定は「相続税の基礎控除」で、自宅の8割減は「小規模宅地等の特例」で行ってください(本記事では特例には踏み込みません)。

全体マップ|土地と建物で「使う数字」が違う

不動産の相続税評価 建物 固定資産税評価額 ×1.0 土地 場所によって2方式 路線価方式(市街地) 路線価 × 補正 × 面積 路線価図に金額がある地域 倍率方式(郊外・農村) 固定資産税評価額 × 倍率 路線価図に金額がない地域 数字の入手先はどちらも 毎年届く「課税明細書」または 市区町村の「評価証明書」 ※ マンションは建物+敷地権で計算し、2024年から補正ルールあり(別記事参照)
図1:評価の全体マップ。建物は1つの数字、土地は場所で2方式に分かれます。
最初に用意するのはこの2つ

固定資産税の課税明細書(毎年4〜6月頃に届く納税通知書に同封。紛失時は市区町村で固定資産評価証明書を取得)
国税庁の路線価図・評価倍率表(Webで無料公開。「路線価図」で検索し、亡くなった年のものを見ます)
この2つがあれば、以下の計算はすべて自分でできます。

建物の評価|固定資産税評価額をそのまま使う

建物の相続税評価はシンプルで、固定資産税評価額×1.0=そのままです。課税明細書の「価格(評価額)」欄の金額が、そのまま相続税評価額になります。

計算例

課税明細書の建物欄「価格 8,500,000円」 → 建物の相続税評価額=850万円

新築時の評価額は建築費の5〜7割程度になることが多く、築年数とともに下がっていきます。「注文住宅に4,000万円かけたから評価も4,000万円」ではありません。なお、課税明細書に載らない未登記の増築部分や、固定資産税のかからない庭木・門扉などの附属設備は別途評価が必要になる場合があります。

土地の評価①:路線価方式(市街地)

市街地の土地は、道路ごとに付けられた1㎡あたりの価格=路線価で評価します。

基本式と計算例

評価額 = 路線価 × 各種補正率 × 地積(㎡)
例:路線価図に「200D」とある道路に面した150㎡の整形地
→ 200千円(=20万円)× 150㎡ = 3,000万円

路線価図の数字は千円単位です(「200」なら20万円/㎡)。数字の後ろのアルファベット(A〜G)は借地権割合を表し、借地・貸地の評価で使います(借地権の評価はこちら)。

補正率は土地の形や条件による調整です。概算段階では次の感覚を持っておけば十分です。

土地の条件評価への影響
間口が狭い・奥行が長い・旗竿地・不整形評価が下がる(各種補正率で減額)
角地・二方向が道路に面する評価が上がる(加算調整)
崖地・高低差・騒音・線路沿いなど利用制限下がる方向の個別調整があり得る

概算では補正を無視して「路線価×面積」で出し、やや高め(保守的)な数字として使うのが安全です。補正を正確に入れるほど評価は下がる方向なので、概算で基礎控除を下回るなら、実際はさらに余裕があると読めます。

土地の評価②:倍率方式(路線価のない地域)

路線価図に金額の入っていない地域(郊外・農村部など)は、倍率方式で評価します。

基本式と計算例

評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率
例:課税明細書の土地の価格 600万円 × 倍率表の「宅地 1.1」 = 660万円

倍率は国税庁の評価倍率表に地域・地目(宅地・田・畑・山林等)ごとに載っています。農地・山林は宅地と倍率がまったく違うため、地目を確認してから引いてください(農地の相続手続きはこちら)。

貸している不動産は評価が下がる

他人に貸している不動産は、所有者が自由に使えないぶん評価が下がります。代表的な3パターンです。

利用状況評価の考え方(借地権割合60%・借家権割合30%の地域の例)
貸地(土地を貸し、借主が建物を所有)自用地評価 ×(1−借地権割合)= 自用地の40%
貸家(アパート・貸家の建物)固定資産税評価額 ×(1−借家権割合×賃貸割合)= 満室なら70%
貸家建付地(アパートの敷地)自用地評価 ×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)= 満室なら82%

賃貸アパートを相続した場合の実務(家賃の帰属・確定申告・続けるか売るかの判断)は「賃貸アパートを相続したら」で解説しています。マンション(区分所有)の評価は敷地権の按分と2024年からの補正ルールが絡むため、「相続したマンションをどうする?」をご覧ください。

概算でよい場面・プロに任せるべき場面

概算(自分の計算)で足りる場面──基礎控除を超えるかどうかの当たりを付ける、遺産分割協議のたたき台にする、財産目録に載せる、といった用途なら「路線価×面積」+「固定資産税評価額」の概算で十分です。財産目録の無料ツールに評価額を書き込んで全体像を掴んでください。

プロ(税理士)に任せるべき場面

次のいずれかに当てはまる場合、評価しだいで税額が数十万〜数百万円動くため、申告は土地評価に強い税理士へ依頼する価値があります

・概算が基礎控除の±2割圏内にある(補正の精度が課税の有無を分ける)
・不整形地・広い土地(地積規模の大きな宅地)・崖地・私道負担がある
・貸地・貸家・借地権・農地・山林が混ざっている
・タワーマンションなど2024年新ルールの影響が大きい物件

費用感は「相続を専門家に頼む費用の相場」を参照してください。

よくある質問

評価額と「売れる値段」はどのくらい違うのですか?

路線価は公示価格(時価の指標)のおおむね8割水準に設定されているため、市街地の土地なら「評価額÷0.8」が時価のざっくりした目安になります。ただし実際の売却価格は個別要因で大きく振れます。売却時の税金は別記事をご覧ください。

遺産分割の話し合いでも、この評価額を使うべきですか?

決まりはありません。相続税評価額・固定資産税評価額・時価(査定額)のどれを基準にするかは相続人の合意で決めます。公平さを重視するなら、不動産会社の査定を複数取った時価ベースが納得を得やすい傾向です。基準を協議書に明記しておくと後日の蒸し返しを防げます。

どの年の路線価を使いますか?

亡くなった年の路線価です(毎年7月頃に公表)。年の前半に亡くなり公表前に計算したい場合は、前年の路線価で仮の概算を出し、公表後に確定させます。

共有名義の土地はどう評価しますか?

土地全体を評価してから持分割合を掛けます。評価額3,000万円の土地の持分1/2なら1,500万円です(共有の解消を考えている場合は共有名義の解消方法)。

出した評価額は、財産目録に書き込んで活用

不動産・預金・保険をまとめて書き出せば、基礎控除との比較も遺産分割のたたき台も1枚で完成。ブラウザで無料作成できます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な計算方法の解説であり、個別の事情に応じた税務助言を行うものではありません。補正率の適用・特殊な土地の評価は専門的な判断を要します。相続税の申告が必要な場合は税理士にご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)