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相続発生後

抵当権付き不動産を相続したら?ローンの確認から抹消登記・売却までの手順

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 9分で読めます

相続した実家の登記簿を取ったら「抵当権」の文字が──不安になりますが、慌てる必要はありません。抵当権は借金の担保の印にすぎず、肝心なのは「その借金がまだ残っているか」です。とっくに完済していて抹消登記を忘れているだけのケースが実務では非常に多いのです。

この記事では、抵当権付き不動産を相続したときの確認手順を、「完済済み」「残債あり」「借金のほうが多い」の3パターンに分けて解説します。

まず判断フロー|3つのパターンに仕分ける

登記簿に抵当権が付いていた 担保の借金は残っている? 完済済み パターンA 相続登記とあわせて 抹消登記をするだけ 費用:不動産1件1,000円+α 残っている 財産>借金? 財産が多い パターンB ① 団信を確認 ② 債務を引き継ぐ or ③ 売却して完済 借金のほうが多い パターンC 相続放棄・限定承認や 任意売却を検討 3か月の期限に注意
図1:判断フロー。「借金が残っているか」→「財産と借金のどちらが多いか」の2段階で仕分けます。

残債の確認方法:登記簿の抵当権者(銀行・保証会社)へ相続人として問い合わせるのが確実です。返済予定表・残高証明書・完済時の書類(抵当権解除証書等)が家に残っていないかも探してください。並行して、他の借金も含めた全体調査を行います(信用情報3社での調べ方)。

基礎知識:抵当権が付いていても相続・登記はできる

誤解されがちですが、抵当権が付いたままでも、相続も相続登記も普通にできます。抵当権者(銀行)の承諾も不要です。相続登記(自分でやる手順)をすると、抵当権は付いたまま新しい名義人に引き継がれる、という関係です。

一方で知っておくべき性質が2つ。①抵当権は「債務者が返せなくなったら競売にかけられる権利」であり、返済が続く限り何も起きません。②担保の借金(債務)は相続人に法定相続分で当然に分割承継されるため、「不動産を相続しない相続人」も債務からは自動では外れません(外れるには後述の免責的債務引受が必要です)。

パターンA:完済済み → 抹消登記をするだけ

ローンは完済していたのに抹消登記だけ忘れていた──最も多いパターンです。抵当権は完済で実体上消えていますが、登記は自動では消えず、申請しない限り残り続けます。残したままだと売却・新規の担保設定の支障になるため、相続登記とあわせて抹消しましょう。

項目内容
手順①相続登記で名義を相続人へ → ②抵当権者(銀行等)から抹消書類(解除証書・委任状等)を受け取り → ③法務局へ抹消登記を申請。完済時の書類を紛失していても、金融機関に依頼すれば再発行・再交付を受けられるのが通常です
費用登録免許税は不動産1件につき1,000円(土地+建物なら2,000円)。司法書士に頼む場合の報酬は1〜2万円程度が目安
注意抵当権者が合併・破綻した古い金融機関の場合や、明治・大正時代の個人名義の抵当権(休眠担保権)の場合は、承継先の調査や供託などの特殊な手続きが必要になり、司法書士案件です

パターンB:残債あり → 団信→引き継ぎ→売却の順に検討

① まず団信(団体信用生命保険)──住宅ローンなら団信付きが多数派です。団信が下りればローンは保険で完済され、あとはパターンAと同じ抹消登記だけ。相続発生後、速やかに金融機関へ団信の請求手続きを確認してください。
② 団信なし・対象外なら、誰が返すかを決める──不動産を取得する相続人が債務も引き受けるのが自然な形ですが、銀行に対して「取得者だけが返す」と主張するには、銀行の承認を得た免責的債務引受の手続きが必要です。協議書に書くだけでは、他の相続人の(銀行に対する)責任は消えません。
③ 返済が重いなら売却して完済──売却代金で残債を返し、抵当権を抹消して引き渡します(決済と同時に抹消するのが通常の実務)。売却時の税金はこちらを確認してください。

パターンC:借金のほうが多い → 放棄・限定承認・任意売却

残債が不動産の価値や遺産全体を上回る場合は、引き継ぎ方そのものを考え直します。

① 相続放棄──遺産全体が債務超過なら、3か月以内の相続放棄が第一候補です(手続きの解説)。
② 限定承認──「他の財産は受け取りたい」「自宅を先買権で残したい」場合の選択肢。ただし抵当権者は限定承認をしても競売を申し立てられるため、住み続けるには債権者との交渉が別途必要です(限定承認のしくみと限界)。
③ 任意売却──相続したうえで、債権者の同意を得て市場で売却し、売却代金を返済に充てる方法です(オーバーローンでも、競売より高く売れて残債務を圧縮できるのが一般的)。残った債務の扱い(分割返済等)は債権者との交渉になります。

この判断は「3か月」との競争

放棄・限定承認の期限は相続を知った時から3か月。残債の照会と不動産の査定を最優先で進め、間に合わなければ家庭裁判所へ期間伸長を申し立ててください。迷う事案は早めに専門家へ(費用の相場)。

相続税との関係|評価は下がらないが、債務は引ける

相続税の計算では、抵当権が付いていること自体は不動産の評価額を下げません(評価は通常どおり。評価額の出し方)。その代わり、残っているローンは債務控除として遺産総額から差し引けます。団信で完済されたローンは、相続開始後に保険で消える扱いのため債務控除の対象にならない、という点もあわせて覚えておいてください(基礎控除と課税判定)。

よくある質問

登記簿の抵当権の債権額が500万円とあります。500万円の借金が残っているということですか?

違います。登記の債権額は設定当時の金額で、返済が進んでも登記上は減りません。極度額が書かれた「根抵当権」も同様に、実際の残債とは別物です。現在の残高は金融機関への照会でしか分かりません

父の事業資金の担保として、実家に知人の会社の根抵当権が付いていました。

根抵当権は継続取引の担保で、扱いが通常の抵当権より複雑です(相続開始後6か月以内の合意の登記など期限のある手続きも絡みます)。放置せず、早急に司法書士・弁護士へ相談してください。

他人(親の知人)の借金の担保に実家が入っていました。相続するとどうなりますか?

いわゆる物上保証の状態です。借金自体は引き継ぎませんが、その知人が返済しないと実家が競売にかけられるリスクを引き継ぎます。債務者の返済状況を確認し、リスクが大きければ担保解除の交渉や相続放棄も含めて検討してください。

抹消登記は自分でできますか?

金融機関から書類一式を受け取れる通常の完済案件なら、相続登記より簡単で、自分で申請する人も多い手続きです。法務局の様式に沿って申請書を作り、1件1,000円の登録免許税を納めます。古い担保権・書類紛失・金融機関の合併が絡む場合は司法書士へ。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的・税務的助言を行うものではありません。債務引受・任意売却・根抵当権の処理は債権者との交渉を要し、事案により結論が異なります。期限のある判断を含むため、早めに弁護士・司法書士へご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)